
4.高価な電気自動車が消費者を苦しめる?
自動車保有者・利用者の税負担は、所得が伸びないという制約の中、既に限界に達していると想定されます。(表7-0)(61%+30%+7%=98%の方が税負担を感じている。)
さらに、今後、電気自動車の販売比率が増えることは必然ですが、電気自動車の車両価格は、ガソリン車に比較して、極めて高いことから、消費税額の税収が増えるものと想定されます。ただし、電気自動車の車両価格が高すぎることから、購入を見合わせる消費者も増えてくるかもしれません。
(表7-0)
出所:JAF(日本自動車連盟)アンケート(2021年8月~9月実施)
以下が国内メーカーの電気自動車の車両価格の一例ですが、ガソリン車に比較して著しく高いのは明白です。消費税率は、一律10%ですから、消費税額も高額ということになります。電気自動車に手が届かない人にとっては、引き続きガソリン車に乗り続け、国際的な使命であるカーボンニュートラルを達成できない可能性があります。
(表7)電気自動車の価格(エントリーモデル)
電気自動車の購入に際しては、現在、最大で92万円の補助金が出ますが、補助金が出たとしても、電気自動車は高い買い物になりますし、一時的な支援策で、今後も継続されるかは明らかではありません。
電気自動車は高額であるが故、消費者には大きな負担をもたらします。今後、増税ということにでもなれば、消費者に大きなダメージを与えることは必須ではないのでしょうか?
5.1台当たりの自動車保有コスト
世界の主要各国と1台当たり(13年間の合計)の課税額を比較してみましょう。いうまでもなく、日本が一番高いことが明確です。
(表8)

出所:日本自動車工業会の資料を筆者が一部修正(13年間の合計値)
(表9)
出所:「自動車関係課税のあるべき方向性を考える(2019年)」(JRI調査部 副主任研究員 立岡 健二郎氏作成)から抜粋
(注)総費用は、実質車両購入費、ガソリン・電気代、駐車場代、その他の自動車維持費、税負担額の合計額
実質車両購入費には車両本体価格のほか、リサイクル料金・ディーラー手数料を含む。電気自動車は、国や自治体からの補助金(40万円、東京都30万円)を適用しているほか、戸建ての普通充電設備費用(8万円)も含む。
日本は、G7諸国の中でも、一番所得の伸び率が低く、所得金額も下から2番目という国となってしまったことは、ご存知かと思いますが、この低所得の制約の中で、最も高い税負担を強いること自体が致命傷であり、自動車課税と心中せよと脅迫されているかの様です。
(表10)
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Posted at 2022/12/22 14:04:50 | |
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