ここ2年くらいで週末のお山、たまにサーキット走行する機会もあり、そろそろLSDを付けてみたいと思うようになりました。候補はポルシェ純正(ZF)の機械式。調べてみるとG50ミッション搭載車の911のLSDは964でも共用とか、ZF製LSDは車種によってロック率、内部プレート構成も違うとか、なかなか面白い。Kaaz製なんかも良いな、と思っていたのですが、値段が高く、オークションでたまに安く純正LSDが出品されているのが分かり、しばらくみていると「964ターボ用LSD」というのをみつけたので落札してみました。
で、分解します。ロック率は加速側20%、減速側100%(20/100)という設定。カムリングの角度は10度、52度とか。
FF車用でよくある加速側のロック率が高い1way LSDの逆バージョン。クラッチプレートは左右に4枚ずつというタイプ。プレートは溝無し、溝有りが交互に組み合わされてます。溝は本数も少なめでちょっとおとなしそうな印象。ストリート用としてチャタリングも考慮しているのかな?
ちなみに930NA用はロック率40/40、993RS用は40/65だとか。2wayに近い感じですね。
入手したLSDの本体ハウジングの内溝にはダメージもなく、おそらくあまりハードな使われ方はされていない、と思いました。
LSDは清掃して組み立て。この時、カムリングを逆向きに組んでロック率を加速側80%にするとか、イニシャルトルクアップとか悪だくみも考えましたが、RR車のLSDは初めてなのでポルシェが推奨するノーマル状態で組み上げ。
車への組み込みはDIYで行いました。手順は追って整備手帳にしてみようかと思っていますが、過去やったことのあるFR車とは全然違っていて、超時間が掛かりました。丸3日は掛かったと思います。特にバックラッシュの調整が大変でした。911のバックラッシュはLSDに取り付けるサイドベアリングの内側にあるシムの厚みで調整するタイプで、調整のたびにベアリングを外す必要があります。特に車体左側がベアリングプーラーの爪が引っかからないくらいクリアランスがないので、バールで少し浮かせてからプーラーを使用するという手順でやりました。
腕力だけではなかなかベアリングが動かず、911の車重を使ってみました。
ベアリングが少し浮いたらプーラーが使えます。
また、バックラッシュもリングギアに直接ゲージを接触させられない構造のため、サイドフランジに板を取り付けて測定するのですが、LSD内部やらフランジやらのクリアランスも拾ってしまって超難しいです。
今回の作業では小さいミッションケースに収まるLSDでも本体を可能な限り大きくしたいというZF社の技術者魂が感じられました。しっかし、このLSDにはどんなベアリングプーラーが使用できるのか知りたいです。いろいろ手間はありましたが、ベアリングが簡単に外せるプーラーさえあれば、もう一度組みなおしも有りかと思っています。アメリカの911関連のサイトをみていると「ZF製だったら純正と互換ありなのでポン付けだ」という情報もあったのですが、My911の場合はシム厚で0.6mmくらい調整しましたよ。なんか愚痴っぽくもなってきましたが、作業中はバックラッシュ調整ではまってしまい、ダメだったらノーマルに戻すことも考えたので、組みあがったときは久々の達成感がありました。
組みあがってからのインプレですが、走り出しからチャタリング音や振動も無し。ガコガコ鳴るのが好みなので少し寂しいですが。ちなみにイニシャルトルクは4.45kgf/m (43.6N/m)。ちょっと低めなのかな?
山を走ったところでは、RR車ってもともとトラクションがすごくかかるのもあってアクセルも踏めないのもありますが、ごくごく平和な感じでした。それで、これはクローズド走らないと分からんな、ということでモーターランド鈴鹿(MLS)へ行ってみることにしました。(つづく)
Posted at 2019/11/12 21:27:23 | |
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