
BMW M3/M4 Competition xDrive (G80/G81/G82) の標準ブレーキは、Mコンパウンドブレーキ(スチールローター+アルミハットの2ピース構造)です。
Mカーボンセラミックブレーキは凄いと自動車ジャーナリストが言っていますが、実は標準ブレーキも凄いんです。
単なる「大径ブレーキ」ではなく、熱、剛性、制御の三位一体の設計がされています。
① 2ピース構造(フローティング)による「熱マネジメント」
鋳鉄ローター(制動面は高炭素鋳鉄(ハイカーボン))+アルミハットをピンで結合しています。2ピース構造の結合精度は、熱膨張を計算したクリアランス設計で、回転時の同心度が極めて高く、熱膨張後も面振れが増えにくくなっています。設計思想はほぼレーシングカーです。
高温時にローターが半径方向へ自由に膨張でき、歪みやジャダーを抑制します。熱がハブやベアリングへ伝わりにくいので、サーキット級の連続高温でも制動フィールが崩れません。

約380mmフロントコンパウンドローター
② 圧倒的な熱容量
フロントは大径(約380mm、リアも約370mm)✕ベンチレーテットでフェード耐性が高く、重量級AWDセダン、ワゴンを何度もフルブレーキできる熱容量を持っています。

約370mmリヤコンパウンドローター
③ 剛性の高い固定キャリパー
フロントは、対向6ポット、リアはシングルピストンの片押し(フローティング)キャリパーを装備しています。
フロント対向6ポットキャリパーは、高剛性モノブロック鋳造でピストンボアの同軸精度が非常に高く、ピストン作動差がほぼ出ません。ペダルストロークが短く、踏力に対する応答がリニアで初期制動が明確です。Mらしいダイレクト感(人によっては、カックンブレーキ)が味わえます。

フロント対向6ポッドキャリパー
④ 電子制御との統合設計
ブレーキ単体ではなく、ABS、DSC、M xDrive、ブレーキブースター制御と統合されています。制動配分の緻密な制御とAWDとの協調制御で、コーナー進入時の安定性が高く「止める」だけでなく「曲げるためのブレーキ」になっています。
⑤ ばね下重量と耐久性のバランス
カーボンセラミック(CCB)ほど軽くはないですが、価格が現実的でローター交換コストが比較的抑えられています。
街乗りでの扱いやすさが高く、実用とサーキットの中間点として非常に優秀です。
➅ 高い組付精度(工場ライン)
ここが一番「量産車とは思えない」部分です。
Mモデルは通常BMWラインとは違い、M専用ラインで組まれます。
ハブ面の振れ測定、トルクレンチ管理、ローター取り付け面の清浄度管理、センタリング精度確認…。
ローター単体精度+ハブ精度+締結精度、全部が揃わないとあのペダルフィールはでません。
G80/G81/G82の標準ブレーキであるMコンパウンドブレーキの凄さは、「超高速域から何度でも、安定して、ドライバーの意思通りに減速できること」。単純な制動力ではなく、熱制御+剛性+電子制御統合の完成度の高さが理由です。
Posted at 2026/02/22 20:23:07 | |
トラックバック(0)