SOHCからS/Cへの載せ替えについて。
| 目的 |
修理・故障・メンテナンス |
| 作業 |
DIY |
| 難易度 |
 初級 |
| 作業時間 |
30分以内 |
1
【前置き】
この書き込みは、エロカワ号のS/C化が『実験』であるという事を告知するために行いました。作業・運用・維持には、多くの労力と重い責任が伴います。ですので、S/C化をお勧めするつもりは毛頭ありません。またここに記載した以上の情報提供をする意思もありません。勝手を申しますが、上記の旨、ご了承下さい。
【妄想】
S/C+CVT+FFの、のらな号を所有額していましたが、悪魔のささやき声が聞こえました。『スバルなら、加給機+MT+AWDだろ?』。
それからというもの、黙々と資料を集め、保安基準を調べて、検討を重ねました。そしてのらな号では変速機や駆動方式の変更となるため、改造申請が必要だという結論に達しました。
しかし保安基準を読み返すと、エンジン型式が同一であれば改造申請は不要である事がわかりました。運良くR2はどのグレードもエンジン型式は同じ。となると答えは一つ。MT+AWDのR2を購入して、そのエンジンと交換すれば良いのです。
2
【構想】
始めに必要な物をリストアップします。
・MT車輌
・エンジン一式
(補器類を含む、シリンダブロックとクランクは流用可)
・オートエアコン一式
(エパポレータや配線を含む、コンデンザは流用可)
・S/C用エンジン&メインハーネス一式
・プレオRS用クラッチ一式
・解説書のない整備をしてくれる工場
・折れない心と、ある程度の資金
・不動車の存在を容認してくれる家族
調査の結果、MTなら、どのR2でもOKというわけではありませんでした。もちろん潤沢な資金を投入すれば不可能はありませんが、『R』は相違点が多いため、却下しました。
・電装系のハーネスが、カプラを含めて全く違う
・電スロなので、車体にワイヤーを通す穴がない
・アクセルペダルが固定できるか不明
・用意する部品点数が、SOHCと比較して多い
ということで、上記に関しては変更の少ないSOHC車に照準を定め、検討を重ねました。とにかく、100万円以上の家庭内ローンを組むのですから、完成することは絶対条件でした。
3
【購入】
これ以降は顛末記みたいな記述となります。
F+を購入しました。『+』なのはABSやフォグランプ等が欲しかったからです。それ以外にも違う箇所があると思いますが、とにかく総額100万円以下で購入できる新車がコレでした。
ディーラーの営業氏は、当初はこのプロジェクトが冗談だと思ったようです。丁寧に説明して、現実的なプランであり、合法でもある事を理解して頂けました。上司との値引き交渉を頑張ってくれました。また登録されたナンバーは、『このプロジェクトそのもの』の意味があると、別の営業氏に教えられました。もちろんこのナンバーは偶然なのですが、波がきた時には有りがちな事です。
新車でなく中古車であればもっと安上がりですが、ディーラーさんに『強力に』協力頂いていますし、新車ならバラしやすいと考えました。今回の場合、F+でバラした部品はのらな号に移植するのですから。
つまり、ワタシは2台のR2を同時に改造するわけです。
4
【作業計画】
実物や配線図を比較して、必要な箇所をリストアップします。実際の配線が近いかどうかはハーネスをバラさなければわかりませんが、どうにでもなる作業ですから、あまり気にしません。
R2はエンジンが下抜きのため、交換するためにはリフトが必要です。しかし我が家にリフトを設置する資金などあるハズもなく、そもそも作業場所も1台はカーポートの下、もう一台は露天です。
エンジンを整備工場で交換してもらう事も考えましたが、10万円以上掛かると言われました。リフトがあれば自分でできる作業に、そんな出費は無理ですし、自分でやった方が絶対に楽しいですし。そもそも直ぐに自走できるハズもないため、依頼する事も躊躇されます。整備工場にしたら、迷惑な客でしかありません。
下がダメなら上から。上からの作業方法を考えます。エンジンがそのまま抜けないのであれば、分解して抜けば良い。手間は掛かるけれど、ある程度の工具はあるのは幸いです。実際に購入した工具は、ヘックスのソケット1つと、2本のトルクレンチ。あとはハーネスの組み換えさせたのため、電工テープを10巻きほど(笑)
必要と思われるパーツ(S/CエンジンのOHを含む)をリストアップして、購入。15万円程度だったように思います。作業前に各車両をディーラーに持ち込み、エアコンのガスを回収してもらいました。
5
【作業開始】
元旦の朝から作業開始です。当初の予定からどんどん遅延していきますが、とにかく丁寧に分解。この辺りはたぶんblogに書いてますので省略です。
ちなみにR2は、CVTがスバル製(前期)からアイシン製(後期)に切り替わった時点で、エンジンのシリンダブロックが一部変更されています。変更箇所はミッションとの接合部であるため、交換するなら世代を合わせた方が無難です。
けれどものらな号は前期、エロカワ号は後期。実はこれも計画の一部で、新しいSOHCエンジンのブロックやクランク流用して、S/Cエンジンに組み換えるというプラン。どうせ交換するなら、より新鮮なエンジンが良いに決まってますから。このプランは、自分で作業するから可能な贅沢です。
ということで、ボンネットから分解作業を開始。シリンダーブロックとクランクになるまでエンジンを分解して、無事に上抜きしました。こうした作業を日没まで行い、夜はハーネスの加工作業です。こちらは事前調査がとても役立ちましたが、現物合わせに加えて、十分なチェックが必要です。
6
【のらな号の完成】
のらな号はディーラーで販売されている仕様と大差ありません。CVTとエンジンブロックを合体し、元の(SOHCの)状態に組み立てます。なのでパーツさえ正しく組み立てれば、動いて当然。ということで、当然のように動きました。この『エンジンを車載状態で上から組み立てる』方式は、後日にディーラーの整備士氏から『ボトルシップみたいだ』と言われました。これだけでも稀有だと思います。
しかしエアコンは配線を間違えたので、その修正が必要でした。前述しましたが、エアコンも一式の交換が必要です。これはコンプレッサや配管の違いと、エアコンの制御にエンジンコンピュータが絡んでいるためです。しかも絡み方が違うので、避けようがありません。
ともあれ、のらな号が無事に組上がった事で、考察や作業計画は間違っていないと確信出来ました。それが、その後の困難においても『心掛け折れなかった理由』だと思います。
7
【長期化】
一方で、エロカワ号の作業は長期となりました。エンジン組み立て時のミスでシリンダをキズ付けたため、戸田レーシングさんでエンジンの修正をして頂きました。しかも、組んでからも、点火はするけど回らない日々、というか、数ヶ月。正月に開始した作業も、秋を迎えました。
再度考察を重ねましたが、原因を特定できませんでした。心が折れそうになりますが、機械的にではなく、制御系と判断して、配線の見直しや確認を繰り返しました。
全ての結果は自分で解決しなければなりません。これは、もし作業を整備工場に依頼したとしても同様です。これには走行中のトラブルや、それによる事故の責任を含みます。
8
【完成と始まり】
ディーラーの整備士氏に症状を伝えると、『もしかしたら・・』とのこと。確かに私の考察が間違っていました。その箇所を変更すると、軽やかにエンジンは回りだしました。
思わぬ失敗で数ヶ月遅れの完成となりましたが、今となっては楽しく勉強できた日々でした。また、そも後のカスタマイズの始まりにもなりました。
完成後、数ヶ月でSOHC用のクラッチが滑り始めました。完全に容量不足です。フライホイールが痛む前に、プレオRSの純正相当品に交換しました。予見していた事ですが、ここまで早く終わるとは。
よりスバルらしく。ということで、リアブレーキにプレオRSのディスク式を移植しました。これには改造申請が必要ですので、その資料作成のための勉強もできました。
ステラD型のOBD2対応部品を移植し、その結果、エンジンの各種データを収集することが出来るようになりました。また同時に、ハイオクからレギュラーガソリン対応となりました。
R2はSOHCでさえギア比が低いです。S/Cであれば1~2速の扱いには神経を使いますし、高速巡行ではエンジン回転数がかなり高くなります。そのため、現在ではプレオRSの1~5速ギアに交換(ファイナルはそのまま)しています。エンジンの回転数は適切になりましたが、低域のトルク特性を改善が必要になりました。
S/CのプーリーをBLITZのローブーストタイプに交換しました。またエアクリーナーを純正部品に戻しました。これによりモッサリ感は低減して、概ね満足出来る特性が得られました。
低回転域のトルク特性をさらに改善して燃費を向上させるため、R2前期型(C型)のECUやセンサー類に戻し、ハイオク仕様としました。現在はその効果の検証中です。
ブーストコントローラー(PROFEC)により、ブースト圧100kpaで制御。なかなか良い感じです。
とりあえずこの辺りで。また追記するかもしれません。
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