この冬、シボレー・クルーズのことを知る直前に、ウチの除雪機の故障をきっかけに「機械は大切に扱うべし」と思い至った出来事を振り返る。
ウチの除雪機の事情
我が家には除雪機が2台ある。一台はホンダ製で4年前にエンジンがかからなくなって使わなくなった。代わりにヤンマー製のかなり古いものを知人に譲ってもらい、以後の冬を乗り切ってきた。
ヤンマー製のはかなり古くて、型番からすると20年落ちのものだった。「動くあいだは…」と思って使っていたが、今季の冬に入ってからいよいよおかしくなってきた。
・ギヤが低速/高速の内、高速しか使えない
・エンジンがかかりにくい → 全くかからなくなった
・辛うじてエンジンがかかっても、前進も後進もしない。刃が回るだけ
そして年が明けて、寒波がもうすぐ来るという予報のときに、とうとうニッチもサッチも行かなくなった。車関係の仕事をしているOさんに相談して、診てもらうことになった。
機械との付き合い方 1
「俺も除雪機のことは(専門外なので)分からんゾ」という断りを受けた上で、さまざま診てもらった。
氷点下5度くらいの小雪がちらつく天候の中、今まで開けたことのない蓋を開けて、今まで見たこともなかった様々な機構を覗かせてもらった。
・ギヤが高速しか動かないのは、低速用ベルトのゴムが外れていため
・エンジンがかかりにくいのは、鍵の真下にあるヒューズの接触がおかしいため
・前進も後進もしないのは、、、ギヤが削れすぎてイカレてしまったため
…このような原因を、機械オンチのこの頭でも容易に理解できるくらいにハッキリと確認させてもらった。
全ての原因が明らかになるまで5時間くらいかかった。
「どうしてこんなになるまで放っておいたのか」
「機械は小さな故障の内に原因を探り当てて対処していかないとダメ」
「放っておくと、小さな故障が大きな故障、取り返しのつかない故障に繋がって買い替えることになる」
…このような極意を時折厳しい口調も交えながら、切々と教えてもらった。
結論としては、「この除雪機はもう使えない」ということだった。ギヤがこのようになってしまっては、メーカーでもどうしようもないハズとのことだった。「ヤンマーの支店に行ってこい」とのことだった。
機械オンチの私にはそこまでのことは理解できなかったが、翌日、支店に行ってみると、確かに「もう年式が古すぎて修理するよりも新品を買った方がよい」と言われた。

後進に入れると赤丸部分からギヤが飛び出してくる。私の目にはこれしか映らないし、探し当てるのにもだいぶ時間がかかったが、この一点で以て使い物にならないらしい…。
機械との付き合い方 2
まだみんカラのことも知らず、機械弄りが好きな感覚も全く分からない自分には、この時点でもまだ半信半疑だった。
「ギヤさえ交換できればまだまだ使えるのでは!? 刃は立派に回るのだし…」
このように思っていたが、機械オンチな以上、修理のしようがない。部品がまだ出回っているとして、それを手に入れる方法も知らない。部品が手に入ったとして、重い除雪機を持ちあげて、ミッション部分を弄る手段もない。
明日から最強…とか言われる寒波が来る状況で、今まで頼りにしていた除雪機が使えなくなってしまった。正確には、いま置かれている位置から一歩も動かせないことを認めるしかなかった。
頼りにしていたモノを失う不安
除雪機が動かせないとなると、家の入り口の雪を片づけられないため、車を出すのも一苦労になる。除雪車が寄せていった雪の山を除けないと車を出せない。いわば日々の外出が困難になる。
車検を前に車の買い替えが必要なことも知っていたため、除雪機が先か車が先かの状況に置かれた。「(合計で)いくら金かかるんだ…」という不安に駆られた。
ただし残るホンダ機の故障の原因も分かってきたので、そちらを試すことになった。いわばセル・スターターがかからないだけであり、手動で動かすことが可能だった。
今だから「マニュアル」とか「リコイル・スターター」という名前を知っているが、とにかく、その始動方法は消防団の小型ポンプとか草刈り機で経験済みなので、私でも動かすことができた。
お世話になったOさんからは、、、
「長い間使っていなかった機械は、いきなり動かすと壊れることがある。グリススプレーでギヤとか金属が擦れる部分を円滑にせよ」
…と電話で教えてもらった。もう吹雪もそこまで来ていたので、急いで試した。
機械の性格の違い
そうしてこの冬は何とか乗り切ることができた。新しく買うのは、車だけで済んだ。
ギヤがダメになったヤンマー製の除雪機は、今も動かすことができず、雪が融けた駐車場の中央付近に置きっぱなしになっている。
ホンダ機はいちいちリコイルを回すのが面倒だが、「除雪するぞ!」って気合いが入るので、やがて気にならなくなった。弓を引くような動作も何となくカッコいいかも(!)。
また、ヤンマー機とホンダ機の違いも如実に知った。いわば農機具メーカーと乗り物メーカーの違いがある。
結論から言うと、豪雪地帯ではヤンマー機の方が断然いい。積もったばかりの雪はどちらも飛ばせるが、一度晴れ間を迎え、融けて圧縮された厚い雪になると、違いが生じてくる。ホンダ機は厚く固まった雪にぶつかると、その上に乗り上げていってしまうのだ。
何度もバックして、自分が作った坂道に突入し直すことになる。
今まで馴染みだったヤンマー機には、そんな使いにくさはない。
ホンダ機は乗り物として優れていて、高速ギアだと積もったばかりの新雪の上をまるでスノー・モービルのようにスイスイ移動する。しかしそれは「除雪」の役には立たない。
固い雪に激しく突っ込むと、刃を守るためだったか何だかで、頻繁にピンが飛ぶ。いちいち購入して嵌め直さなくてはならない。大雪のときには、買うのも嵌めるのも一苦労である。
このように、ホンダ機はどちらかというと豪雪地帯には向かない。
まとめ
今回の一件で、まず
赤文字で記したような機械の極意は、痛いほどに分かった。【機械は整備しながら大切に扱うもの】という当たり前のことが、ようやくこの歳になって自分にも分かってきた。
まず除雪機にギヤやエンジンのオイル交換が必要なことも知らなかったのだ。何となく知ってはいたが、具体的にどうするかの方法を知らなかった。調べる手段も考えつかなかった。
…けれども、この一件のおかげで、今は何でも自分で調べて整備して長く使っていこうという気構えがある。
あと前述したメーカーによる機械の性格の違いも、何度も味わった結果、何となく面白く思えてきた。
そして何より、機械が機械としての役目を果たせなくなったときの残念無念な感じも、嫌というほどに知った。機械は使えなくなると、単なる重たい鉄の塊になる。
ヤンマー機は、もう業者さんに頼む以外に、今ある駐車場中央付近から動かすことができない。人の力では50cmも動かせない。軽トラに積むにしても、どうやって持ちあげて積むのか私たちはまるで知らない(これから考えていく)。
つい数か月前まではまずまず私たちの役に立っていたものが、今はとにかく残念な鉄の塊でしかない。大切に扱ってこなかった自分たちが悪いのだが…。
このように、機械は大切に扱うもの、大切に扱わないと悲惨なことになるという意識が芽生えてから、シボレー・クルーズと出会うことになったのだった。
年式の古いタイプなので、大事に使っていかないと早々にお別れすることになるかもしれない…。