復帰早々、ウンチク話です。
近年、車業界で流行っている?アイスヒューズですが、一体どんなものか?という話をします。
発売元のWPを見ると、以下のような説明が書かれているのを目にします↓
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-196℃の液体窒素で凍らせて金属原子の並びを整頓させる方法によって、電気の流れをスムーズにすることに成功した商品です。 この冷却技術は『極低温冷却処理』と呼ばれ、宇宙開発、医療機器、発電所など様々な分野で活用されています。
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金属、非鉄金属の熱処理というと、素材強度を変更する焼き入れ、焼きなましや、透磁率低減目的などの加熱方向にイメージが行きがちですが、逆に強冷却する熱処理も行われます。
この冷却熱処理を
サブゼロ処理と言います。
冷却媒体は、0℃以下になるものが使用されますが、コスト度外視でもない限りは、沸点が最も低い(-196℃)液体窒素を利用することが多いです。
化学の周期表でお隣の族である、液体酸素でも沸点は-183℃ですが、液体酸素は爆発(高圧破裂)しやすいので、あまり使われません。
サブゼロ処理の中でも、-100℃より低い処理を、クライオ処理と言います
サブゼロ処理は歴史が古く、40年前くらいから行われていますが、
高校の一部や、大学の研究室などで液体窒素を扱う事がありますが、液体窒素にブッ込めば、サブゼロ処理(クライオ処理)が出来る。。。と考える人も出てくると思いますが、残念ながら、そんな簡単な話ではありません(;^_^A
サブゼロ処理やクライオ処理は、金属、非鉄金属の原子配列を整えて(←原子の並びを整えるという意味)、強度を増したり、導通抵抗を下げたり、寸法精度を安定させたりするように利用されますが、
温度管理もせずに無造作に液体窒素にブッ込むと、整えるどころか、逆に原子の並びが荒れてバラバラになってしまいます
なので、真空窯の中で、徐々に液体窒素の沸点である-196℃までゆっくり冷却し、ある一定時間、-196℃を維持した後、離脱させるために室温までゆっくり温度を戻していきます(だいたい、24時間から48時間くらいを目途に)。
真空状態を作るのにはコストが掛かるため、クライオ処理を行う装置はさほど大きくできないので、処理する部材の量に制限が掛かります
アイスヒューズなど、クライオ処理したモノが値段が高くなる理由でもあります。
電子パーツのクライオ処理は、電気導通部分の銅素材の原子配列を整える目的で行われます。
導通部分が銀色してるけど銅製なの?
という意見をよく聞きますが、あれは銅素材に錫メッキや、ニッケルメッキがされているだけで、ニッパーで切断すると切断面は銅色しています
よく、ネット上で見掛けるのが、
アイスヒューズに代表される、クライオ処理された物がオカルト扱いを受けている事もありますが、科学的には証明されるので、オカルトではありません
ただ、1㎝、2㎝そこらのヒューズの導通抵抗が若干下がったところで、何かしらの効果が感じられるか?と言えば、まあ、人それぞれ感じ方の違いってところですかね。
ちなみに、ケーブルなどで長尺物になると、効果は大きく出る事もあります
その効果が本人が気に入るか気に入らないかは別としてですが・・・・
ちなみに、家電製品でも以前、クライオ処理のヒューズなどが出回っていましたが、今では絶滅危惧種?です(;^_^A
家電で使われるガラス管ヒューズだと、大出力のアンプでもない限り、ヒューズ管の芯線は0.5A程度だと髪の毛よりも細いので、芯線の銅線抵抗を下げたところで、元々の線が細いので意味ないという意見が結構あった理由と思われますが・・・・
Posted at 2022/07/12 15:49:30 | |
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