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2019年09月22日

運動エネルギーを最大限回収する!回生ブレーキマスターへの道。

運動エネルギーを最大限回収する!回生ブレーキマスターへの道。 PHVには回生ブレーキがついていますが、電費を最大化するには、この回生ブレーキを最大限有効活用する技を身につける必要があります。
回生能力を超えるブレーキングをすると機械ブレーキが動作してしまいます。そうなるとせっかくの運動エネルギーを捨ててしまい電費が悪化することになります。
では、一体どのくらいのブレーキングまで回生ブレーキのみで減速できるのか? 

回生ブレーキを最大限活用する方法としては、ハイブリッドシステムインジケータ(HSI)上の回生ゲージ表示がCHG上限を超えないようにブレーキングを行えばよいと取説に書いてありますが、どうもこの表示は嘘をついているのでは?と思うときがあります。回生ゲージがCHG上限を超えないようにブレーキを掛けているのに、Hybrid assistantのブレーキ表示が機械ブレーキの介入を表示していることがあるからです。

Hybrid assistantでは、ログデータの中に、全ブレーキ力(マスタシリンダでのブレーキトルク=回生+機械ブレーキ力指令の合計値)と、回生ブレーキ力(実行された回生ブレーキ力)があります。
これを分析することで、謎を解明し、回生ブレーキマスターへの道筋をつけたいと思います。

■回生ブレーキ動作領域の把握
まずは、なるべくブレーキの踏み方に強弱をつけてブレーキングを実施しながら、高速を含めあちこち走りHybrid assistantでデータ採取しました。
採取したデータを分析します。横軸には速度を、縦軸には全ブレーキ力(オレンジ)と回生ブレーキ力(青)をプロットします。
ブレーキ力(ブレーキトルク)は、負に大きくなるほど、強いブレーキということになります。



プロットデータによると、運転中の全ブレーキ力は最大-400Nm程度でした。ちょっと強めの減速をした場合にこのくらいになっているようです。ちなみに停車中目一杯ブレーキペダルを踏み込むと-1024Nmでした。

回生ブレーキ力のみを抜粋します。
全体的に、-221Nmでリミッタが掛かったようになっています。回生ブレーキはここまでで、これ以上のブレーキは機械ブレーキで補足となっていることがわかりました。
低速側は、10km/hから回生ブレーキはゼロに向かって直線状に絞られています。
ここも機械ブレーキで足りない分は補足されています。
ちなみに、HSI上で回生ゲージがCHG上限未満を表示していても、回生トルクは-221Nmで制限されて機械ブレーキが動作していることがありました。



速度50km/h以上では、回生ブレーキ力は-221Nmからさらに制限されています。トルク一定だと、速度が上がるほど回生電力が大きくなるので、電池側の充電制約による電力制限が存在していると考えられます。先日判明した充電側の電力制限値が最大-40kWでしたので、-40kWとなる速度・回生トルクのカーブを描いてみました。黄色線です。



回生ブレーキ力のプロットが黄色線に沿っていることから、50km/h以上での回生制限は、電池側の-40kW制限に起因するということがわかりました。

■HSIの回生ゲージの表示について
回生電力が-40kWのとき、HSIの回生ゲージは上限一杯の表示になります。50km/h以上の速度域ではHSI上限一杯のブレーキングで、-40kW目一杯の回生ができるようです。しかし50km/h以下では、HSIの回生ゲージ一杯のブレーキングでは、機械ブレーキ併用になります。(これまでHSIの回生ゲージが振り切れない範囲なら、回生のみのブレーキと思っていましたが・・だまされてました!)
つまり、HSIの回生ゲージは、あくまでパワーメータに過ぎず、-40kWを上限にそのときの回生電力を表示しているだけと思われます。

■どうやって-221Nm以内のブレーキングを実現するか
回生ブレーキの負担領域がわかったところで、つぎの課題は、運転中にどうやって回生トルク制限値である-221Nm以下のブレーキングを実現するか、です。わかりやすい指標が必須です。

そこで、平坦路で種々のブレーキ踏力で一定減速度で減速し、そのときの速度と全ブレーキ力・回生ブレーキ力の時間変化を分析しました。
なかなか一定減速度で停止するのは難しいですが、なんとかデータがとれました。

下図は、全ブレーキ力がおおよそ-221Nmで、ほぼ全回生負担となっているときのグラフです。このときの速度変化から、減速度は-6.0km/h/sであることがわかります。別の言い方をすると、1秒で6km/h減速するレートです。Gでいうと、0.17Gです。

ブレーキ立ち上げ、停止間際のブレーキ抜きを考えると、ちょっと余裕をみて、1秒で5km/h減速するレート(50km/hからのブレーキなら10秒で停止)でのブレーキングなら、全回生が可能であるということがわかりました。



いろいろわかったところで、5km/h/sのブレーキングをやってみました。下図左は訓練前、右は訓練後です。まだ-221Nmを超えるブレーキングも散見されますが、最大回生ブレーキ力を超えるブレーキングの回数は減っています。まだ訓練が必要のようです。



■まとめ
結論としては、回生ブレーキを最大限活用し、運動エネルギーを最大限回収する方法は以下となりました。
・50km/h以下:5km/h/s以下のレートで減速する。(1秒で5km/hの減速度)
・50km/h以上:HSIのCHGゲージが振り切れないように減速する。

ブログ一覧 | クルマ
Posted at 2019/09/22 18:54:31

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この記事へのコメント

2019年9月22日 19:12
プレーキャリパーに温度計仕込むとわかりやすいかもしれないですね。
(^ ^)
コメントへの返答
2019年9月22日 20:31
そうですね。たまにブレーキディスクを触って温度見たりしていました。大抵冷たいままですのですごいシステムです。
2019年9月22日 22:41
こんばんは、
こんなソフトで車両の実際の減速Gを測りながら回生力を見るのも良いかも。
https://ifulsoft.com/
コメントへの返答
2019年9月23日 7:20
おはようございます。
ありがとうございます。設定したGで音が鳴ってくれるのが良いですね。訓練に使えそうです。
2019年9月23日 8:35
おっさんくん さん、おはようございまーす。

toro_555にとって難しい内容で理解度が低いですが、
結論だけ学びまーす。
ところで、評価の停止で100点に近づくにはどうすれば良いのでしょうか?
ブレーキ協調の影響やディスクの状況(温度?さび?)の影響もありますが、
何とも腑に落ちない評点でよく悩みます。
(最近はクルーズで見てませんが 汗;)
コメントへの返答
2019年9月23日 9:02
toro_555さん おはようございます。

100点は見た記憶が無いのですが、機械ブレーキ不使用率?のようなものから算出しているのでしょうか?あまり興味をもって見てなかったのでよくわかりません(^_^; いろいろ試してみます。算出方法を開示して欲しいですね~
2019年9月23日 13:24
こんにちは、時間をかけたレポートありがとうございます。
小生も回生制動最大化したいので、別のアプローチでEVモードでBレンジで回収しています。こんど減速加速度を測ってみますね。
コメントへの返答
2019年9月23日 14:07
こんにちは。
Bレンジなら、確かに回生オンリーで減速が可能ですね。
停止間際のフットブレーキの踏み方のみが課題でしょうか。e-power車のように停止まで回生効かせてくれたら理想ですね。
2020年7月9日 10:39
失礼します!
私も回生ブレーキが大好きでもはや狂信者レベルです(笑)
「ブレーキペダルを踏んで、回生が強まるだけで機械ブレーキは動いていない」状況はあるのか?回生と機械の同調があまりにもシームレスすぎて判別できず謎のままでしたが、やっぱりあるのですね。

ブレーキ踏力一定で、速度が10km/h以下になれば突然ブレーキパッドの擦れる大きな音が鳴り始めるので、あるようには思っていたのですが確信には至りませんでした。

「機械ブレーキの介入を表示」してくれるシステムがあるということは、やはりそういうことですもんね。

今マイブームなのは、「アクセルオフによる回生ブレーキで、ブレーキランプが点灯するが、おそらく減速率を指標に点灯タイミングが決められているので、後続車にとっては点いたり消えたりがウザいのではないか?」が気になっており、どれぐらいの減速Gで点灯消灯するのかを探っております。

緻密な考察、大変有難く参考にさせて頂きます。有難うございます!
コメントへの返答
2020年7月9日 19:00
SiSoさん こんばんは。
コメントありがとうございます。
回生のみなのか、機械ブレーキが介入しているのか、感覚ではなかなかわからないですよね。うまく作ってあるもんですね。(^^ )

アクセルオフによる回生でのブレーキランプ点灯条件ですが、H26-1/30以降に型式指定を受けたクルマでは、減速度0.7m/s/s(2.5km/h/s)以下では点灯禁止、0.7m/s/s~1.3m/s/sでは点灯任意、1.3m/s/s(4.7km/h/s)超では点灯義務となっているようです。それ以前のクルマでは点灯禁止だったようです。

ご参考:https://www.mlit.go.jp/common/000132162.pdf#search=%27%E5%B0%BE%E7%81%AF+%E6%B8%9B%E9%80%9F%E5%BA%A6+%E5%9B%9E%E7%94%9F%27

普通のクルマのエンジンブレーキ程度の減速度では点灯しないとおもわれますが、アクセルオフで強回生するクルマでは点灯する場合があるのだと思います。点灯義務となる4.68km/h/s(1秒で4.68km/h減速するペース)という減速度は、信号停車などで普通にブレーキを踏んだくらいの減速度なので、そういった条件では必ず点灯させる基準のようですね。

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何シテル?   05/22 09:31
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