
純正のブリジストンECOPIA EP150を捨て、ヨコハマADVAN dB V552に履き替えたら、EV航続距離(電費)が1割悪化。
しかしなぜ1割も悪化するのか? 釈然としません。
純正タイヤより、転がり抵抗が悪いのでしょうが、それにしても転がり抵抗等級Aのタイヤで1割も悪化する理由は? 純正タイヤはそんなに転がり抵抗性能が良いのか!?
数字でハッキリさせたい。転がり抵抗と電費の関係を明らかにします。
クルマがある速度で走行するには、タイヤの転がり抵抗、車体が受ける空気抵抗等からなる走行抵抗に打ち勝つ駆動力が必要です。また駆動系の損失、空調等補機消費電力も生じます。これらの駆動力、損失を駆動用電池から供給することで、速度を維持して走行が可能です。
参考:https://www.isuzu.co.jp/cv/cost/manual/knowledge_2.html
クルマの走行抵抗式に基づき、検討することとします。
まず、走行抵抗式としては、以下となります。
走行抵抗Rrr=転がり抵抗Rr+空気抵抗Ra+勾配抵抗Re+加速抵抗Rc
クルマが加速するには、シャフトやホイール、タイヤ等の回転体の加速エネルギー分も含め車体の加速エネルギーを電池から供給することになりますが、EVの場合にはブレーキ時には回生ブレーキで回収できるので、この要素(加速抵抗Rc)は省略します。
また同じくアップダウンでの位置エネルギーも回生ブレーキで回収できるので、平坦路での検討として勾配抵抗Reも省略します。
そうすると、走行抵抗は以下となります。
走行抵抗Rrr=転がり抵抗Rr+空気抵抗Ra
この走行抵抗により生じる損失(仕事率)を計算します。
速度vにおける走行抵抗損失は、以下になります。
走行抵抗損失Prr=転がり抵抗損失Pr+空気抵抗損失Pa
上記の走行抵抗損失に打ち勝つパワーをモータが発生することで、クルマは所定の速度を維持できます。
電池が出力すべき電力Pbatは、上記走行抵抗損失Prrに加えて、駆動系損失Ploss、空調・補機消費電力Pauxを加えたものとなりますので、以下となります。
電池出力Pbat=走行抵抗損失Prr+駆動系損失Ploss+空調・補機消費Paux
これが走行に必要な電力となります。
上記の式を使って、転がり抵抗係数、車両重量、速度を入力すれば、その速度を維持するために必要な電池出力を計算できるシートを作りました。
車両の前面投影面積の数値は以下から頂きました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/1594506/blog/36993768/
駆動系損失は走行抵抗損失の10%を想定、空調補機消費はこの時期の平均を想定して400Wとしました。
さて、今回のタイヤ履き替え前後の電費を計算してみます。
入力パラメータは以下です。
ECOPIA EP150 195/65R15 の転がり抵抗係数RRC=7.4
ADVAN dB V552 195/65R15 の転がり抵抗係数RRC=8.6
速度は、都市内走行での平均速度である30km/h、
車両重量は二人乗り想定での車重1650kg
なお、
転がり抵抗性能は、純正装着ECOPIA EP150のデータは公開されていないので、同等とされるEX20のデータを流用します。等級AAで、RRC=7.4です。
https://www.tftc.gr.jp/files/performance/bridgestone_ECOPIA_EX20_20C.pdf
交換後タイヤであるADVAN dB V552は等級A、RRC=8.6です。
https://www.tftc.gr.jp/files/performance/yokohama_ADVAN_dB_V552.pdf
計算結果です。
純正装着ECOPIA EP150 195/65R15での電池出力は1738W
交換後ADVAN dB V552 195/65R15での電池出力は1916W
とでました。
ADVAN dB V552 195/65R15は、ECOPIA EP150 195/65R15の1.1倍の電力が必要であることが判明。
すなわち、電費は10%悪化ということです。今回の電費悪化の裏付けがとれました。
それにしても、電池の仕事の60%が転がり抵抗損失で失われているという事実。
タイヤの転がり抵抗が電費(EV航続距離)に非常に大きな影響を与えていることがはっきりしました。
いろいろ検討事項がありそうです。
とりあえず今日はここまで。
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Posted at
2019/10/10 23:12:40