
初めて乗ったEVはi-MiEVでもなくリーフでもなく、日産のアベニールEV。
量産初EVであるi-MiEVが出る10年以上前の話です。
資料整理をしていて昔のことを思い出したのですが、ネットにほとんど情報がありませんでしたので、最近記憶力も怪しくなってきたのでメモを書いておこうと思います。
出典:
https://global.nissannews.com/en/releases/release-745329929e3407eb4c295c25eb02d5a1/photos/10
当時、某電力会社で使われていた営業車に試乗させてもらう機会があったのです。
街中を少々運転しました。
駆動制御システムは日立製です。
出典:
https://www.hitachihyoron.com/jp/archive/1990s/1996/01.html
このアベニールEVのシステムは以下日立開発のEV向けシステムの改良版のようです。
電気自動車の性能向上を実現した交流駆動システム
https://www.hitachihyoron.com/jp/archive/1990s/1995/02.html
文献の書きっぷりからは、EVシステム全体を日立が開発して日産に納入したような感じです。
一般産業用、鉄道向けのパワーエレクトロニクス技術をベースにクルマ用を開発したとあります。
この時代の数年後に初代プリウスが登場しますがまだ自動車メーカ単独で扱える技術ではなかったのかもしれません。
アベニールEVの主要諸元です。
・車両
車両重量 1700kg
乗車定員 2人
最大積載 100kg
最高速度 115km/h
航続距離 80km(都市内走行)
・モータ
種別 交流誘導電動機
最大出力 55kW
最大トルク 235Nm
・電池システム
種別 鉛蓄電池
電池容量 17.3kWh
電池電圧 288V
・充電システム
今でいう普通充電のみ(交流入力6kVA 充電時間5時間 可搬式)
出典:
https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-9db13420d0f0986e23621432d60f8e27-19941221-j
後席に鉛蓄電池が搭載されていて二人乗りです!
車両性能ですが、起動トルクのトルクウエイトレシオは
最大トルク235Nm/車両重量1700kg=0.138Nm/kg
比較用にi-MiEVのトルクウエイトレシオは、最大トルク160Nm、車両重量1100kgから、0.145Nm/kg
ギア比にもよりますが、走り出しの最大加速力は数値上はi-MiEVより少し遅い感じですが、街乗りでは十分な性能と思います。
中高速域ですが、
アベニールEVの最大出力は55kWなのでパワーウエイトレシオは55kW/1700kg=0.032kW/kg、
対してi-MiEVは47kW/1100kg=0.043kW/kg
ということで、i-MiEVの74%程度のパワーです。
スペック上の最高速度は115km/hですが、さすがに高速運行は厳しそうです。
以下、記憶にある限りの試乗インプレッションです。
アクセルを踏むと、やんわり走り出します。
感覚的にはエンコしたクルマをおっさんが何人かで後ろから押している?ような感じでした。ほんとにふんわり加速を始める感じでした。
アクセルストローク全域をトルク0~100%に割り当ててあるような感じで、結構踏み込まないと十分なトルクが得られない印象でした。
アクセル開度に対するトルクの出し方には今のEVのような力強さはまったくありませんでしたが、当時軽のMT車に乗っていた身からするとそのスムーズで連続的な加速感にちょっと感動しました。
登坂ではやはり重々しく感じました。
当時のパワーエレクトロニクス技術と鉛蓄電池で何とかクルマとして構成した感じですが、
ヒートポンプエアコンも付いていたようで、いろいろ開発要素を盛り込んだクルマだったのでしょう。
基本的な構成要素は今のEVと類似ですが、現在の最新EVのスペックと比べると、各要素技術の25年間の進展を感じることができました。
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Posted at
2022/06/18 07:35:18