86BRZとS2000は
・FR
・2リッター級の自然吸気エンジン
・車重1200kg台
という点で似ている車同士ですが、エンジン馬力は200PSと250PSと大きな差がありますね。
私自身が、近い条件で実走した場合にラップタイムがどれくらい違うのかというところが気になっていたのと、同じように知りたい方もいらっしゃるのではないかと思いますので、比較してみました。
動画の内容と重複するところもありますが、以下に補足を書いていこうと思います。
ロケーションはGOLDEX本庄モーターパーク。
撮影日は、BRZが昨年4月12日、S2000が同4月28日。
走行時点の気温はどちらも14℃。
運転しているのはどちらも私です。
この比較では僅差でS2000のほうが速い結果となりましたが、ほぼ全く同じといってもよいタイムでした。
S2000のほうが圧倒的に速いだろうと予想していたので意外でしたね。
(決してBRZ贔屓ではなく、むしろS2000のほうを頑張って運転していました)
【車の仕様と動力性能について】
車の仕様は以下の通りです。
パーツに関しては書かれているもの以外は純正品を使っています。
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■S2000
年式 :2007年
グレード :Type-S
タイヤ :DUNLOP DIREZZA Z3 Fr215/45R17 Rr245/40R17
フライホイール :SPOON
運転席シート :RECARO RS-G
■BRZ
年式 :2017年
グレード :R Customize Package
タイヤ :DUNLOP DIREZZA Z3 225/50R16 前後通し
ホイール :ENKEI RS05 7.0J インセット48
エキマニ :TOMEI等長
マフラー :POWER CRAFT シングルテールマフラー
フラホ&クラッチ:ORC SEクラッチ 309D 軽量タイプ
ダンパー&バネ :SHOWA TUNING Evolution 極
ブレーキパッド :DIXCEL Z type
運転席シート :RECARO RS-G
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動力性能について補足しておくと、2台ともノーマルの状態から有意に上乗せ/差し引きされるものはないとみてよいと思っています。
いずれもエンジン未開封、ECUはノーマルです。また、いずれも軽量化らしい軽量化はしておらず、シートやエアコンなどはついたままです。
S2000は12万km走行の過走行車ですが、もともとサーキットを走っていたような車ではなく、すべての点検整備が正規ディーラーで行われてきた、状態のよい個体です。
当時はクラッチや点火プラグ、エアフィルターやバッテリーなど一通りを新品に交換したばかりでした。また、ブレーキの引きずり、チェックランプの点灯といった症状はありませんでした。
BRZは2万km走行で当然まだまだフレッシュな状態。
エキゾーストパイプが変わっているのですが、これはパワーアップには繋がっていません。
BRZはハードウェアを変更しただけでエンジン出力が増大してくれるタイプの車ではないようで、私は実際にシャシダイを利用してエキマニの交換前後の出力変化を測定したことがあったのですが、交換後にアップしたのは数馬力であり誤差程度と言えるのものでした。
※ちなみに、マフラーを交換しただけのノーマル状態で測定したときは、修正なしの正味の馬力が180PSでした。後期型だと普通にこれくらい出るようですね。
【S2000のほうがエンジン出力が優位であるのに、なぜタイムがほぼ同じだったのか?】
今回のテストで、S2000のほうがエンジン出力が優位であるにも関わらずなぜラップタイムがほぼ同じだったのかということを考えてみて、主な要因になりそうなのは以下3点かなと思っています。
①踏みっぱなしのストレート区間が短い
②サスペンションのセッティング
③駆動系におけるエンジン出力の損失
まず①。
本庄はミニサーキットで、単純にストレートが短いので、エンジンパワーの優位性が生きにくいように思います。
またセクター3のシケインは、S2000の場合、
3速に入れてエンジントルクの低い回転域で走る、あるいは、2速でレブリミットに当てながら走る
という風にせざるを得ず、ここはS2000が苦手なポイントだと思います。
いっぽうのBRZは、3速に入れてもぎりぎりトルクバンドを維持して走れます。
(実際セクター1&2はS2000が速かったですが、セクター3はBRZのほうが速かったです。)
次に②。
S2000は、本庄では曲げづらい脚になっている印象がありました。
S2000の純正ダンパー&バネはストロークがたっぷりとあり、フロントはリバンプ側のストロークスピードが速い感じがします。それでいて前後車重分配もほぼ50:50という車なので、ブレーキペダルを離すとすぐにフロントがリフトしてしまい、フロントタイヤの荷重が抜けてアンダーステアとなります。
そのため、本庄のヘアピンのようなコーナーでは、ターンインでブレーキを多めに残しつつ進入していく必要があるのですが、そうすることでボトムスピードが落ちてしまっているように思います。くわえて、リアのスタビリティが高くグリップが逃げてくれないので、ヨーモーメントが出づらく向きの変えにくさがあります。
また、ターンアウトで加速していく際は、トラクションのかかりが良い反面プッシングアンダー気味となるため、コーナリング中に頭がしっかりと出口を向くまで待ってやる必要がありました。(動画の1ヘアではそれを待てずに加速して、若干プッシングアンダー状態となっています)
個人的には、この脚はもっとRの大きな高速コーナーをターゲットにした脚になっており本庄にはミスマッチだと感じました。
そして③。
感覚的な話になりますが、2台を乗り比べると、S2000のほうが明らかにエンジンがトルクをモリモリと発揮している感じがするのですが、BRZのほうが駆動系での損失が少なくエンジンの出力がスムーズにタイヤに伝達され伸びやかに加速しているようなフィーリングがあります。
ボールベアリング軸受を手で回すと、精度のよいベアリングでは少ない力でスムーズに回すことができますが、その感触に似たようなものを運転していて感じます。
エンジンの出力は約250PSと約200PSとなっていますが、実際にタイヤに伝わってくる出力はそれほど差がないのかもしれません。
と、補足としてはこんなところになります。
ロケーションを変えてTC2000あたりで走ったり、S2000の脚のセッティングを変えたらどうなるかは気になるところですね。
それからS2000は、触媒によって出力が制限されているという噂がある?ので、触媒を変えてどれくらいパワーが上がるのかも気になります。
また、上記の③については、S2000のパワー測定をすればはっきりとすることなので、S2000もシャシダイに載せてみたいですね。
この辺、実際にやるかどうかわかりませんが、またネタができましたら投稿します。