目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
古いバイクや車を触るにあたり、概ね戦わないといけないのが、「錆」です。
「錆」とは、「酸化」のことですね。
金属に酸素がくっつくことにより、状態が変化すること。
必ずそうなるわけですから、鉄は酸化している状態が実は一番自然な状態というわけですね。
上記は一般的に知られている「錆」ですが、意外と知られていないのが「電蝕」(でんしょく)というものです。
2
電蝕とは。
2つの異なる金属の接触面が電気を通す液体中にあるとき、金属のイオン化傾向の差(電位差)から特定の金属が腐食していく現象をさします。
たとえば・・・
アルミのエンジンブロックに無垢の鉄のボルトで締め付けた場所に水が入り込むと・・・
アルミが非常に早い速度で錆びてしまう。と言うことが起こります。
鉄よりもアルミの方がイオン化傾向が高いです。
イオン化傾向が高い=電子(-)を放出しやすいということです。
鉄とアルミの接触面を導電性液体(水)が隙間を埋めることにより、互いの金属が自然と接触面の電位差を平均化しようと働きます。つまり、アルミが電子を放出して、鉄との電位差を埋めようとするわけです。
微弱ですが、電気が流れているんですね。
そうすることにより、非常に早い速度で錆が発生するわけです。
これを応用したのが、電池になります。
3
さて、chappyのクランクケースはアルミで出来ています。
そこへ鉄のボルトでカバーやシリンダーをとめているわけですが、車のようにその部分に屋根があるわけでもありませんし、雨天を走行すれば、前タイヤが巻き上げた水が、ボルトの隙間に必ず進入してきます。そうでなくても、湿気でしめったりもします。
そうすると、上で説明した「電蝕」が起こりやすい状態になりやすいですね。
それを少しでも抑えるのが「メッキ」や「塗装」です。
鉄のメッキの場合、一般的に亜鉛やクロムでメッキするのですが、これは、鉄よりも少しイオン化傾向が高い金属です。
鉄→メッキ→アルミとすることで、イオン化傾向の差に緩衝材的な働きをしてくれます。
もちろん、メッキの皮膜は薄く、接触している異なる金属である以上「電蝕」はおこります。しかも、完全に覆われていればいいのですが、メッキにピンホールやクラック・傷があれば、そこから「電蝕」は発生します。
というわけで、定期的なメンテナンス(再メッキ等)or交換が必要となるわけですね。
4
ちなみに。
アルミやステンレスは錆びないといいますが、厳密に言うと違います。
アルミやステンレスは、地肌が出た瞬間に錆びています。
そこで、ごく薄い酸化皮膜を作ることにより、母体を守っているんですね。
ちなみに、画像のアルミの部品は、ハンドルポスト(ハンドルホルダー?)です。
これは、鉄のボルトにアルミがくっついている上に、上下のホルダーを止めているのは鉄のボルトです。
ものすごい錆ですね(笑)
5
よく、ステンレスのボルトは錆びないから・・・と車両のボルトをステンレス製のものに交換される方がいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。
考えてみてください。
なぜ純正部品が鉄のボルトなのかを。
ステンレスは主成分が鉄にニッケルとクロムを化合した物ですが、この化合をすることにより、ステンレス表面に水に溶けず非常に緻密で電気を通しにくいクロムの不導体膜(クロム錆の皮膜)をはり、結果錆びにくくなります。
電気を通しにくい=イオン化傾向が低いとなりますので、主成分が鉄にも関わらず、通常の鉄とはイオン化傾向に差が生まれます。
ということは、ステンレスより電位が低い普通鋼の腐食速度が増すとなるわけです。
ボルト本体は守ることが出来ても、車体のボルト穴がやられてしまっては、どうにもなりません。
高いステンレスボルトを使って、車体の痛みが早くなるなら、本末転倒ですね(笑)
結局、鉄の車体には鉄のボルトがよい。ということです。
ついでですが、鉄よりもイオン化傾向が高いアルミにステンレスのボルトを使用すると・・・もうどうなるかお分かりですね?
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