去年の末にBEレガシィのサスペンションのブッシュを打ち替え、一昨年のダンパーオーバーホールと併せて、足回りが新車になりました。
超高速域では抜群の安定感を披露してくれますが、一方で街乗りでのリヤからの突上げ感は相変わらず残っています。
調べてみると、BEBHのリアサスペンションは、すべてのリンクをピロボールにするとストロークしなくなり、ブッシュで逃げる設計です。
サスペンションの自由度(Degree Of Freedom)の計算についてはMotor-Fan TECH.の「超基本サスペンション講座」にわかりやすくまとめられています。
https://car.motor-fan.jp/tech/10019960
リンク・アーム類の構成と拘束条件からリンクの自由度を計算し、自由度1ならばタイヤの描く軌跡がひとつに定まります。0なら拘束されて動きません。もし計算結果が0ならば、必ず逃げ道があります。
BEBHのリアサスペンションの自由度を計算すると0でした。通常このようなリンク配置にするならば、トレーリングアームを板ばねで作って、過干渉を回避します。ところがBEBHレガシィのそれは鋳物で作られており、ブッシュだけで逃げる設計です。
トレーリングアームに板ばねを設けて、過干渉をさける設計の例。
Motor-Fan TECH.の「超基本サスペンション講座」より引用。
また、ラテラルリンクFの長さがラテラルリンクRに対して極端に短いことも問題です。
2本のラテラルリンクが描く軌跡と、トレーリングアームが描く軌跡が大きく離れており、これも動きが渋くなる原因になっています。
なんとかスムーズに動くサスペンションに改造できないか考えました。よーく分解図をみてみると、ラテラルリンクリンクFを取り払えば、自由度1となり、機構学上はサスペンションとして機能します。ただし、強度が不安なので、取り外して一般道を走行することは避けたいところです。
そこで、中古のラテラルリンクFのブッシュにドリルで「すぐり」を入れ、軸方向に柔らかく動くようにして、過干渉を避けることにしました。図のブッシュにドリルで穴を空けたのがわかりますか?
万が一、大きな力が掛かったときは、ブッシュの内輪と外輪の輪っか同士が衝突するため、タイヤが吹っ飛ぶような事故は避けられます。せいぜい異音がする程度でしょう。
以下は実際に取り付けて街乗りと高速道路を走ってみた感想です。
・リヤのトーの位置決め精度が悪くなり、直進時にわずかに車体の後方がフラフラする。
・ブッシュが柔らかくなったことによるストロークのスムーズさは感じない。
現実はそれほど甘くありませんでした。残念。
この問題の対処療法として、STIのピロボールリンクを入れてブッシュの動きの抵抗を減らすことが挙げられますが、リンク4本で4万円超と高価なところがつらいです。うーん。
レガシィランカスターの乗り心地は、同じサスペンションを用いているとは思えないほどスムーズでフラット(の代わりに柔らかく動きが大きい)ので、そこにヒントがありそうです。
リヤの車高を上げることで、トレーリングアームを水平から下向きにしてやることで、目地段差を乗り越えたときの突上げを、後方に逃してやれないか、など、いろいろ考えています。。。
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Posted at
2023/07/09 08:05:16