
趣味と実益を兼ねて比較的いろんな車に触らせてもらっているわけだけれども、所有したわけじゃないので経験としては浅いが、色々つまみ食いした体験を加味して、XFの際立つ美点なんだろう?と考える。
見た目の麗しさや、乗り心地の良さ、ハンドリングの良さ…など色々思い浮かぶが、うーん。。。結構、凡庸というか、どれも究極的に尖っているわけでもないので難しいのだけれど、何か一つを挙げるとするならば…それは、フィーリングの良さだと思う。
えーなにそれ、普通やん?って思うでしょ?でもフィーリングが漠として良い車というのは中々ない。
操作したら操作した分だけ車が動くという非常に基本的だが、それが技術的に出来ない、もしくは「商品性」という名のもとに一貫して出来ていない車ばかりの中で、ひとつの操作・シーンだけでなくて、漠然とした「運転」全体の領域で、操作系の重さ、及び、車の動き始めの時系列的な変化の”感覚”に違和感がないように造られている、
きわめて主観的な操作⇒動きのループの中で感じる”感覚”が、上手く3次元、4次元マップ的な繋がりを持って作られていてる所が美点だと思う。
もう少し感覚的に表現すると、大きい車なのに気が付くと、意識から「車の存在」が消えている事がある。
○○しようという漠然とした思いだけで勝手に手足が動いてしまい、そもそも○○しようという思いが、具体的な行動・意図として明確に意識に上らないまま過ぎ去っていく。
そしてふと気が付いたときに、じんわりと良さが感じられる…といったような感覚がある。
語彙力が無くて、この感覚がなかなか表現できないのだけれども…。
ボンヤリとした視界のなかで見るとなく見る、木を見ず森を見ているのに木の事が知らぬ間に分かる、そんな感じがある。
マツダの開発陣がNDロードスターの表現で「車が消える事がある」といった旨の発言をしたのを覚えているけれど、
感覚的にはそれに近いとは思う。ただ、NDは街乗りではちょっと全体がワナナワしているというか、ある領域に入った時には「消える」かもしれないけれど、NDと全部一緒と言っているわけではないので誤解なきよう。
他に比較するならば、ポルシェ…といっても997型、新旧ボクスターくらいしか運転してない…なんかは、確かに一貫した”重さ”を感じるんだけど、強く「こうしたい」という意識を持つことで、濃密なフィードバックと正確な動きによって微妙なコントロールが可能で、その成果をしっかりと感じられる…という感覚があるし、BMWもボルシェほど鮮明じゃないけど、ものすごくおおざっぱには同じ方向というか、
やっぱり意図を明確に持って走らせないといけない感じがする。
両者とも低速〜中高速への切り替えが如実で、クルマ側から「テキトーじゃなくてもっとちゃんと走れ」「もっとこうしろ」と言われているような感覚がある。
まあ最近のBMWの、特に小さい方のPFを使った車両は、揺れがラバーっぽい感じが強い気もするし、その正確且つ快適な感覚も薄まって来た感じがあって、適当に動かしても結果的に上手く走れて腹が立つというか、フィーリング的にはあまり好ましい感じがしないのに上手く走れてしまう「感じ」がするのが、なんだか解せんのだけれども…。e46なんかはもっと重々しくてスポーツしててフレッシュなインフォメーションがあったよなぁーみたいな。ただ、5シリ以上はもっと全体的に落ち着いていて、インフォメーションの適当さがよく合ってるなあーとは思うけれど。(f10までしかさわってないけどきっとGのほうも良いはず。)
話が脱線してきたので本題に戻すと…基本的にはフォーカスされたレンジがあって、そこに近づくにつれピントが合っていくのは両者の感覚としてはある。
そのフォーカスされたレンジに入ると水を得た魚のごとく車が動くし、視界が晴れたような素晴らしい感覚をもたらしてくれるので、ファンが多いのも納得は出来る。
ドライビングプレジャ…文字通り「歓び」を追求するならば、ポルシェ一択だとは思う。
一方、そういった運転全体から感じられるフィールが自然であっさりとした味つけで、ドライバーが気を使わないで済む、透明なフィーリングの領域が広いところがジャガーの美点だと思う。
逆説的に、最初にも述べたけれど、25tは、普段使い+αの領域なら何でも上手くこなせるが、尖った部分はあまりない、ともいえる。Eセグメントセダンなのに走らせて確かに楽しいけれど、どちらかというとジンワリとした良さが伝わってくるタイプ。
また、25tは「もっと飛ばせ!」とクルマ側から言ってこないから、ボーッとしていると、気分に引きずられて、ゆったりとした運転になりがちだったり、逆に、飛ばす時も「ガッチリ踏ん張ってるからいくらでもいけ!」という信頼感があるアウトバーン勢とは違って、「上手く出来る下地は作ったから、あとは上手くやってくれ」というような…ある程度の許容があるというか、ウエットでかっ飛ばしてると若干軽薄なフィールが帰ってきて、あ、タイヤグリップが落ちてるなぁ…ダイナミックモードで行くと滑る気がするなぁ…みたいな感覚がある。
まあうちの子はたかだか240馬力しかないし、軽くてフロントヘビーのXKとも違うし、WBも長いから、実際はぶっ飛んだりはしないんだろうけれど、自由度が高そうな感覚を受ける。
このへんはもう少し走って確かめてみようと思うけれど。
どんな運転シーンでも苦労せずタスクをこなすことが出来、どんな運転シーンでもそこそこに楽しい、合算してみると、いい車じゃないか…と感じるスルメ系車種。上品で旨味が強い料理なんけど押しが弱くて、焼き鳥バンバン焼いてるそばでは普通の人は焼き鳥かっちゃうよね、みたいな。
ということでXF prestige 25tの事をまとめると…。
美しい見た目と、必要十分な速さと、ラグジュアリーさと、スポーティーさ、を兼ね備えている万能な優等生、もしくは器用貧乏で八方美人の車という事になる。
刺激が欲しい方はSやもっと上のグレードをどうぞ、ってことだと理解すれば、合理的なグレードだなぁ…とおもう。
Posted at 2019/02/26 05:51:58 | |
トラックバック(0) |
jaguar | クルマ