みきらでぃんのブログ一覧

著者は、夏川草介氏。

医療系のフィクションのような小説ばかりだと思っていたら、これはファンタジー。

喋ることが出来るトラネコのトラ(なんとも安直なネーミング)が本好きの高校生・林太郎を使って、異常な世界に入り込んでしまった元は本好きの３人＋本１冊をもとの世界に戻すという物語。

みんながたくさんの本を読めるようにと、「あらすじ」をさらに短く、「走れメロス」を「メロスは激怒した」にしてしまった学者の発想もすごいが、それのおかしさに気づかせるためカセットテープの第九を早送りで聞かせるという荒業に出た林太郎もすごい!!

また、著者の小節には必ず気が利く女性がでてくる。この小説でも柚木委員長はなかなか素敵な立ち回りをする。

著者の本は読後温かい気持ちにしてくれる何か独特のものがある気がする。
まだ数冊しか読んだことないが、すべてを読んでみたい。
他の作品はどんな話なんだろう?と思うとワクワクがとまらない。

著者は、森永卓郎氏。

昨年膵臓癌ステージⅣを公表してから、たくさんの本を執筆している著者。
これは「がん」と診断された著者がその後どの様に生きることを望んだのか・・・という本ではなかった・・・

もちろん、癌についても書かれている、半分弱ぐらい。
それ以外は著者がどこでどのように仕事をしてきたか、これまでどう生きて来たか、そして「モリオ童話集」が掲載されている。

がんについてはほかの著書でも大体同じようなことが書かれており、特に目新しいものはなかった。

仕事については大学のゼミの話があるが、「こんな先生いたら面白いだろうな」と学生をうらやましく思った、たとえ「芸人養成所」と言われても（笑）。

童話が単独で出版されないことに著者は不満なようだが、率直に言って、面白くない（笑）、感動しない、誰かに話したいと思わない。

人間、いつかは死ぬが、著者にはもうしばらく生きて好きなことを好きなだけ喋って欲しいと思う。

著者は、小林正観氏。
著者が亡くなる6日前に「はじめに」を書いた遺作。

「豊か」とはどういうことか、どうすればその「豊か」な暮らしができるのかを著者が約４０年かけて築いてきたものを記している。

第１章では「豊かな心」について、第２章では「見方道」について、第３章では「うたし焼き」について、第４章では暮らしを豊かにする提案について書かれている。

著者は、「ものの見方は一生かけて会得すべきもの」として、剣道や柔道、華道や茶道の様に「見方道」という名前を付け、たくさんの人に「家元」になって欲しいという。

また「うれしい」「楽しい」「幸せ」「役に立つ」「興味深い」の頭文字をとって「うたしやき」＝「うたし焼き」として、その窯元になって欲しいとも。

笑顔で、不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句を言うことなく、感謝すること、それが出来るようになれば「人間卒業」の日も近いのかもしれない。

著者は、一穂ミチ氏。
6つの短編からなる。

どれもそれぞれに面白い。
特に「魔王の帰還」の姉はなかなかキャラが立っている。
「ピクニック」はほのぼのとしたタイトルの割に最後が怖い。
「花うた」は、設定は違うのに「アルジャーノンに花束を」を思い出してしまった。

これは「光のとこにいてね」より先にかかれたものだが、こちらの方が私は好みかもしれない。

著者は、夏川草介氏。

映画を先に見ていたが小説とは少し設定が違っていた。
砂川先生は映画ではイケてる外科医だし、安曇さんは夫婦で学校の先生、グレーの紳士も出てこないし、榛名姫も男爵から絵を２０円で買ったりはしない。

が、一止の医療に対するひたむきな考えや榛名のどこまでも優しさにあふれた行動は変わることはない。

著者の作品はとても読みやすく感情移入もしやすいのであっという間に読んでしまう。この後、神様のカルテ2・3と何冊かあるようなので読むのか楽しみ。