10年間セカンドレンジ(以下、レンジ)を所有した結果、感じたコトやこんなクルマでしたというようなことを書き残してみたいと思う。
文章をまとめるにあたって、全てを語りだしたらキリがないので、おおよそ「こんなことが聞きたいんだろーな」ということを記してみる。<この記事は数人からのリクエストによるものなので。
尚、文体は"ですます"調ではなく、"だ・である"調でいく。理由は「提言」であるから。
(コメントへの返答に関しては通常通りですます調にするのでご安心を)
まず、押さえていただきたい前提としては、私の所有したレンジは、前期モデル。
レンジには前期と後期モデルがある。
具体的な年式や情報はそれぞれで調べてほしい。
で、1999年式のオートバイオグラフィというグレード。
バブル崩壊後の売れ残りをさばくために、国内ディーラーが限定50台と称して販売してしまおうと目論んだシリーズだと認識している。(20数台も売れ残った様だが)
先に、所有していたレンジは"前期モデル"と書いたが、1999年式はちょうどこのころ、後期への移行を進める過渡期で、パーツの一部は前期・後期が入り混じっている部分がある。(例 : トランスミッションパーツ他)
とゴタクを並べたところで、後期モデルに関してはBMW思想の入ったモデルであり、私の考えるセカンドレンジではない。だから、ここで書くレンジは正真正銘最後のランドローバー社の個体の話である。
以上を前提として、下記進めていくことにする。
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01 : レンジに乗っていた時の周囲の反応
ドライブしている際に周囲からの目線はそれなりにある。ただ、どのように感じているのかは解らないが。
後ろからスピードのあるクルマが追い付いてきたとしても、基本的には車間距離を詰められないクルマである。
意外にも"ランドローバー"や"レンジローバー"というメーカーおよびブランド名を知らない・認識していない方々は多いため、かなりのスピードで追い付かれても、その後に距離を取って落ち着くクルマが多い。
レッカーにお世話になる際や、トラブった時、ガレージで洗車している時などに話しかけてくるヒト等は、総じて「いいクルマですねぇ~」と言ってくる。
02 : 購入を考える際の心構え
国産車ではなく、輸入車であることをちゃんと知ることが重要。
どういうことか?
これはレンジに限ったことではないが、輸入車、特に欧州車の場合は日本の気候にハナから合っていないことを理解すること。
季節の変わり目や温度差の激しい時期など、オイル滲みまたはオイル漏れ、クーラント漏れなどはよくあることだと思っておく。
理由はガスケットやシーリング、樹脂(プラパーツ)やゴムパーツの質の違いにある。
ヨーロッパ諸国の気温を知ればそれも頷けるはず。気温差の激しい日本ではゴムの弾性が追従できないため、不具合が起きやすい。
高級車だからと大丈夫だろうという考え方は欧州車には通用しない。逆に東南アジアや南米などで大活躍している大衆車クラスの欧州車のほうが耐久性が高い場合もある。
となると、良い状態を保つためには屋外保管するよりも室内保管のほうが、不具合頻度が圧倒的に少なくなる。最適解はガレージを用意することだ。
ガレージが用意できなければ、しっかりとした習慣やルーティーンを決めて、メンテナンスを怠らないようにすれば維持は可能だと思う。
不具合や故障が起きた場合、プロに頼るか自分で対処するかによって、かなり大きく経済的負担が変わってくる。
03 : ガソリン代
目先の経済的不安を考えると、まずはガソリン代だろう。
燃費は都市部の渋滞の多いエリアで主に走ると3~4km/L程度。都市圏から約20km以上離れた郊外で利用する場合は4~6km/Lくらい。高速道路利用時で7~8km/L辺り。
上手く運転すれば、それぞれの数値はもう少し伸びる期待値はある。
当然だがハイオク。
レギュラーとハイオクで半々入れてオクタン価を95にするアイデアは、私は破棄する。
理由としては、そこに節約を持ってくる程度の経済力では、必ずレンジは維持出来なくなるからだ。
これまでにも、こんな程度の節約をしていても1年や2年で降りてしまったユーザーを見てきた。
タンクは全容量で100Lだが、メーターでエンプティまで走り続けることは危険。
日本車ではエンプティ(E表示のこと)まで走っても更にあと20km程度余裕がある場合が多いが、レンジのEは"もうガソリンが空ですよ"の意味である。
少なくとも残り2メモリは残した状態で給油すること。
更に、これはフューエルポンプの状態を良好に維持するためでもある。<実はクルマ全般に言える話だが。
ガソリンが空に近い状態で1週間も置くと、日本の夏の場合には不具合が発生しやすくなる。
フューエルポンプの仕組みが解っているヒトは、レンジでなくても、タンク半分になったら給油に向かっているはずだろう。
フューエルポンプは燃料に浸かって錆びずに動作を維持できるので、空に近い状態にしたまま1か月以上乗らないと、トラブルの原因になりやすいことを知っておいて欲しい。
04 : 税金
次に大きな経済的負担は否が応でも毎年やってくる自動車税だ。
重課税を足して年間10万円を超える。
10年乗れば税金だけで100万円以上払ってきたことになる。
大排気量のクルマのオーナーは、この自動車税負担で維持をやめていく場合が多い。
05 : エアサスのトラブル
一般的に言われている"エアサスの故障"というのは、私は経験していない。ただ、ココはウイークポイントのひとつであることは間違いない。
エアサスに関するトラブルに遭うユーザーは、保守ポイントを知らないだけ。
予防策はいくつかあるが、一番大事なポイントはエア漏れしないようにすること。
エアサス車には、いわゆる"ベローズ"と呼ばれるエアを溜めるゴムのパーツがあるが、レンジはスリーブタイプ。
表面に汚れが付いたら柔らかいウェスで拭き取っておく。この時、パーツクリーナーやラバープロテクタント等の溶剤を付けてはならない。水で湿らせて絞ったウェスで優しく拭き取るのみ。
出来る限り、キレイな状態を維持する。
エアサスコンプレッサーから各所へエアホース配管が繋がっているが、接合箇所を上からシーリングする。
液体ガスケットは薦めない。フツーのシリコンシーラント(コーキング)が良い。出来れば耐熱で。なぜコーキングを薦めるかというと、ホース交換の際に取り除きやすいし、密封が可能であるから。
エンジンルームに配置されているエアサスコンプレッサーは、時々フィルタを掃除すること。かなり熱を持つので、少しでも負荷が掛からないように日々配慮する。
また、駐車時や保管時にはスタンダードな車高を出来るだけ維持するように務めること。
レンジは8時間毎に車高を自分で監視しているため、乗らない時間が長くなるとエアを抜いてLowポジションまで下げてしまう。
これ自体は問題のある設定ではないが、Lowポジションの状態が長く続いてしまうと、ベローズに癖が付いてしまい、ヒビ割れを発生させ易くなってしまう。
06 : DIY整備とクルマ屋頼み
これは人それぞれの考え方や捉え方があるが、ここでは私の考え方を。
欧州車のパーツの劣化や不具合というのは、日本の気候では必然的に起こりうるものだということは認識できたかと思う。
ここで、"メンテナンスはほぼすべてクルマ屋におまかせ"という一般的な日本人の姿勢では、維持費は相当な金額になるのは想像できるだろう。
「金はいくらでもある」という方は、信頼できるクルマ屋を見つけてメンテナンスはお任せしてもいいとは思うが、そのようなヒトは多分セカンドレンジを選択したりはしない。
では、DIY環境をどうやって整えるか?
私の場合は、少しずつ、その時に必要なものだけを購入しながら工具やメンテナンスに関わる材料などを揃えている。
最初からツールセットを購入できる方はそれでいい。が、長く乗ろうと考えた車両に合う工具が必要である。
例えば欧州車なら"ポジドライブ"が必要。特に英国車やイタ車によく使われている感じ。また、"トルクス"も多い。
アメ車ならインチ規格のソケットなども必要になってくる。
そして、有ると助かるのがテスター。いわゆるダイアグツールだ。
OBD2端子から得られる情報は必ず整備の役に立つし、情報を得るだけでなくデータの書き換えが可能なダイアグツールを所持できると、ほぼディーラーでの作業レベルまで対応可能になる。
レンジの場合、Blackbox Solutions社のNanocomがあれば高いレベルでの作業が可能になる。
自身でパーツを入手するにあたって、どうしても「英語」という壁が立ちはだかるが、Webを利用しての機械翻訳も充実してきているし、AIなども利用すれば、容易に海外とやり取りできる時代になった。
故障診断や不具合に対する対処方法は、何度も失敗して慣れていくしか方法はない。自身のスキルを上げるためには、日々の情報収集が必要である。
DIYで整備するメリットは凄く多いと考える。まずは整備費用の節約につながるし、自分のクルマの構造を必然的に理解できるようになる。
また、クルマ屋ではアッセンブリ交換での対応しかできないところが多いが、自分で整備可能なら部分的なパーツだけ交換してしまえば修理完了になってしまったりする。
10年間のレンジの整備費用をクルマ屋にすべてお願いしたと仮定すると、私の場合では合計100万を下らないだろうと思う。
07 : 20年経つとクルマはこうなる
ウチのクルマは2台ともに20年を経過したクルマである。
数か月前にプジョーのエンジンオイル交換をした際にあったことだが、オイルを抜き終えてドレンボルトを再装着する際、ボルトにトルクが掛からなくなってしまった。
空回りするようになってしまったのだ。
これまでに何十回とオイル交換をしてきた。ドレンボルトもトルクレンチを使ってメーカー指定値で締めてきた。
なのに、この状況・・・ ということは受け側ネジ溝が寿命を迎えたということ。
アルミのオイルパンではよくあることらしい。
仕方がないのでいろいろと調べた挙句、"リコイル"という方法で対応した。これが一番安く済ませる方法だったから。
更に先日、追い打ちをかける事態が発生。
同じくプジョーのATFを交換しようとした際、ドレンボルトは問題なく外したが、内部にある樹脂のシリンダーが外せなくなってしまった。
これも20年経った証し。
樹脂側のネジ(スレッド)が逝かれてしまった様子で、抜けなくなってしまった。
現在、こちらはパーツ手配中。抜くのはいくつか方法を考えているので、パーツが届き次第、対応することにしている。
このように、年月が経つとクルマも寿命を迎えるパーツが増えてくる。特に樹脂パーツは注意。外すだけでも割れたりヒビが入ってしまう可能性が高くなるため、修理をためらいがちになるが、上手く付き合っていくしかない。
ダッシュボードも紫外線で歪んでくる。クルマを購入した時から、私はいつも駐車時にはサンシェードをフロントガラスに配置するようにしている。雨の日でも。
少しでも紫外線を防いで、樹脂の寿命を延ばしたいからだ。
おかげでプジョーのダッシュボードは未だに変化がない。
レンジは購入時にすでに歪んでしまっていた。だからそれ以上歪まないようにサンシェードを使って保護するようにしていた。
08 : 一応締めくくり。
とりあえずこれだけ書き出してみた。
セカンドレンジというクルマはホントにいいクルマだし、あの乗り心地を味わうと他のクルマに乗りたくなくなるほどである。
さらに視界が開けていて後部も見易く、運転し易い。
大雨や暴風の時でもビクともしない強さは、凄く乗っていて頼もしいし、安心感がある。
また、ドライブポジションが楽な姿勢になるので、腰が悪い私には非常にうってつけのクルマだった。腰痛持ちの方は一考してみては?
他に質問があれば、随時追記していきたいと思う。
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すぐに返答できないが、必ず対応はしようと考えている。