
そして、何本かの枝木を切ったところで、電動ノコギリのバッテリーが切れてしまいました。DさんはKさんに指示して、軽トラに置いてある予備のバッテリーを取りに行ってもらう間、背負っていたナップザックをロープに固縛して、地上に降ろしていました、Kさんが予備バッテリーを持って戻ると、予備バッテリーをナップザックの中に入れる様に指示します。最頂部からロープを引っ張り、ナップザックを回収したDさんは、電動ノコギリのバッテリーを交換して、再び、伐採作業に入りました。
その後、全ての枝木の伐採が終わったDさんが、途中で引っ掛かっていた枝木を落としながら、慎重に地上に降りて来たタイミングで、Kさんが合流して、遅めの昼休憩となりました。2人は、近くのコンビニに昼ごはんを買いに出掛け、私も朝イチにコンビニで購入していた、オニギリと菓子パンを頬張って、暫しの休憩タイムとしました。短めの休憩の後で、Kさんから、「これから、切断作業に入ります」と言う言葉があったので、私も物置きから、椅子を取り出して、その動向を注視する事にしました。
しかし、その後、私の予想外の事が起こります。その直前までは、松の木の根元を切断するのは、熟練者のDさんで、間違いないと考えていた私に、冷や水を浴びせ掛ける光景を、目にする事になるのでした。それと言うのは、松の木の計測に入ったのは、熟練者のDさんでは無く、半年前までは、会社勤めしていた元同僚のKさんだったのでした。切断作業を担当するのはDさんだと思い込んでいた私からすれば、正に寝耳に水の出来事でした。しかも、ただ単純に切断すれば良いと言う話ではありませんでした。
松の木は、車用のゲート方向に少し傾いており、しかも、その方向の上部には、中国電力の電線が走っているので、切断の理想的な方向としては、正面ゲート(門)の方向に向けて斜め左に倒す必要があり、おまけに、正面ゲートから古家の玄関に掛けてには、2007年に母親が終の住処としてリフォームした際に、水洗トイレを導入する為に、浄化槽が作られていて、その上に倒す訳にも行かないので、浄化槽と橙(だいだい)の木の間のスペースに、ピンポイントで倒す精密な技術が必要でした。
そんな重責をKさんが担うと言う事実に、居ても立っても居られない輩がそこに居ました。Dさんと言えば、自分の仕事は終わったとばかりに、悠然と構えてお茶を飲んでいましたが、一応は、Kさんに対して、アドバイスをしてる風ではありました。しかし、私にとっては気が気では無く「Kさんに、切断を任せるのでは無く、Dさんが切断してよ!担当してよ!」と言う、怒りにも似た、何とも言えないモヤモヤした葛藤が、心の中の大勢を占めていました。
一方で、Kさんは、松の木の周囲にマーキングすると、何度も、倒さなければならない方向を、指差しながら確認していました。そして、チェーンソーを取り出してエンジンを掛けると、徐ろに、松の木を切断し始めたのでした。ある程度の深さに到達してからは、倒すべき方向の上側にもから、斜めに切り込みを入れる作業に注力し、それが完成してからは、裏側にも切れ込みを入れて、その場所に3箇所の楔(くさび)を打ち込んだかと思うと、ハンマーで順番に叩き始めたのでした。
しかし、最初のアプローチでは、松の木は少し揺れたものの、倒れるまでには至りませんでした。Kさんは、一旦、3箇所に設置していた楔(くさび)を外して、再び、チェーンソーで追い込み掛け、再度、楔を打ち込んだところ、今度は、ミシッ!ミシッ!ってと言う異音と共に、松の木が傾き始め、ドーン!と言う地響きを伴って、松の木が倒れたのでした。しかも、倒れた位置は、シュミレートしていた通りの、浄化槽と橙(だいだい)の木の間と言う、正にミラクルの位置でした。私は思わず、感嘆の声を上げました。
それと同時に、Kさんの技量を完全に疑っていた自分を反省したものでした。Kさんは、定年退職してから、ボランティアで某森林組合の伐採作業に従事していましたが、師匠のMさんに指導を仰ぐ中で、理論と実践を通じて習得していた成果が、今回の松の木の切断と、理想的なピンポイントの位置に倒すと言う快挙により、高い次元で、結実した瞬間に立ち会えたのでした。Kさんは、Mさんに見せる為の写真を、切り株の側でDさんが撮影していましたが、その後でKさんに不幸が訪れます。
その不幸とは、Kさんの両足の太腿の内側が、いきなり攣り出したみたいで、足を引き摺りながら、車に戻って、足攣りの特効薬である芍薬甘草湯を飲み、更には塩飴も頬張ったものの、足攣りが一向に改善され無かった事から、私に対して、「〇〇さん!ゴメン!今日は、これ以上は作業出来そうも無いわ!また、後日、もっと大きなチェーンソーで松の木を細断するね!」と言ったので、それを了承した私は、Kさんの太腿の内側が「攣った」の原因に対してある確信を得たのでした。
それは、私も、以前、仕事中に熱中症の熱痙攣を経験した事がありましたが、その所為かは、本当のところは、判明していませんが、その熱痙攣の発症以降、ほんの僅かな塩分不足であっても、足が攣るように体質が変わったのでした。つまり、熱中症のハードルが下がってしまったイメージですね。それ以降、私も、芍薬甘草湯は手放せなくなっていますが、今回のKさんも、私が経験して来た様に、熱中症へのハードルが下がってしまった事で、暑い日でも無いのに症状が出てしまったと考える事が出来たのでした。
その後、徐々に、足攣りが治って落ち着いて来たKさんを促して、今回の伐採の謝礼金を手渡しました。その金額は、Kさん、Mさん、Dさんに対して、1人当たり幾らと言う金額でしたが、あのまま業者に頼んで、松の木の高さの電線に接触しない長さ(約3分の1程度)にしか切ってくれず、おまけにKさんのグループに支払った金額の倍額を支払っていた事を考えると、9月1日と23日の事前の伐採作業を含める上に、後日、松の木の細断作業にも従事してくれるアフターフォローを、気持ちで実施してくれる、Kさんには頭が下がる思いで一杯になりました。
10月29日にKさんからLINEが来て、11月6日は天気らしいので、松の木の細断作業をしたいのですが、都合は良いですか?と連絡が来ました。それよりも先に、倒した松の木の細断作業は、11月の中旬にどうでしょう?との問い掛けがあった際、11月の15日から18日は、京都に行く予定があると伝えていたので、それを踏まえて、11月6日を指定して来た流れですが、その際には、今回は10月24日の様にお任せの傍観者ではいけないので、私もKさんの作業に追随して頑張りたいと考えています。
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2024/11/29 00:32:13