つい先日偶々送迎を目的とし、BMW118i(F20)に乗車する機会を得た。
BMWの売り筋はMスポーツモデルだが、こちらは2016年式の非Mスポーツ。
エンジンをかけると、耳に入るポロポロというアイドリング音は、「ああ、やっぱり3気筒」と思わせる。 走りだし、一つ目の信号からの加速時、ポロポロという音の高まりと、アイドルストップからの復帰時にグラッとくる微振動が、エンジンの存在をドライバーに感じさせる。目的地に到着、あとは自由にして良いということだったので、これがどんな車なのか少し走ってみることにした。
先ずは乗り心地が良い。たっぷりとした標準のシートはスポーツシートのようなタイトさも無く、ゆったりと腰掛けることが出来る。タイヤの当りも柔らかく快適。ウレタン製と思われるステアリングは若干太目で、その感触はあまり良いとは思わない。
山道に入る。直線路で加速を試みると、3気筒エンジンは回転上昇を続け、後輪をスムーズに回していく。高回転まで引っ張ると次のギアに自動で送り込まれるが、4気筒とも異なる回転フィールで、得もいわれぬ音を奏でながらストレスなく回りきるのがとても良い。3気筒と聞くと4気筒に比べがさつなイメージがあるが全くそんなことは無く、むしろ3気筒の方が好印象に感じた。
いくつかのコーナーで少し頑張ってみたところ、Mスポより明らかに高い車高がもたらす、ストロークの長い足回りと標準で履くタイヤはしなやかで快適。まるで猫足という言葉を彷彿とさせるようなマナーを示す。8速ATはブリッピングすることは無いものの、適切にシフトダウンを受け付け良い仕事をする。シフトパドルが無いのは惜しいところ。タイヤがRFTのエコタイヤであるBS製エコピアだと知ったのは車を降りてからであり少し驚いた。
非力であり、車室が広い訳でもなく、目立つことも無い旧型のF20。ポロポロという音で始まったこのエンジンの印象は一変し、直6を半分にした縦置き3気筒エンジンの魅力を発見した。マイナス点をあげつらえばキリがないが、このエンジンがもたらす得も言われぬ心地よさは、スポーツモデルに疲れた体と懐にも優しく、横置きFF化したF40では味わえない世界を見せてくれるのではと思った。
Mスポーツが格好良いし、新型は多分もっと良いのかもしれないが、F20の非Mスポーツモデルに、今更ながら目から鱗が落ちる感覚を得た。手頃な欧州製ハッチバックを探している貴方に一度乗って見て欲しい。もしかしたら歴史に残るモデルになるかも知れない。
山道走行中、ベタっと踏んでは離すことを繰り返していた右足を攣りそうになったのは、ここだけの話である。
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くるま | 日記
Posted at
2021/06/16 22:38:23