ターボチャージャーで過給するエンジンを知るようになるのは、BMW2002ターボや後付けのターボが世に出始めた時代。日本で初めて市販車に装着したのは日産自動車(こういうのは早い)なのはご承知の通り。その時代のターボは出力を向上させることが目的であり、それ故にターボ装着車がもてはやされたとの記憶がある。
時が過ぎ内燃機関に効率が求められ、排気量を縮小した直噴エンジンにターボで過給することとなったのは周知の通り。その後、ポート噴射の自然吸気エンジンを懐かしむ声があることも、よく知られていることと認識する。
自身そのような考えの下、自然吸気エンジン搭載車に興味を持つものの、その年式や維持に対する不安から、所有する前提で選択肢に入ることは少ない。
そんなところに、今回触れることになったエンジンはE87の130iに搭載されるN52B30A。アイドリングからいかにもエンジンらしい音を奏で、回せば快音を発し、ブリッピングの音も良い。気持ちの良いエンジンを味わい、昔乗っていたM54B30の記憶が甦る。
過給された現代のエンジンは、出力も高い上に回転上昇も早く、急かされるようにシフトアップを迫られるように感じている。久し振りに乗ったこれは出力こそ低いものの、アナログのタコメーターの回転上昇に人間の感覚が合い、クラッチを踏みシフトゲートにレバーを送り込むという動作が心地よい。早く走るというよりも、エンジンの息吹を味わいながら、車と対話する行為を楽しむような感覚が強い。
実はこれ、愚息の初めての車。20年落ちの車を買うなど冗談を言っているのかと思い、止めた方が良いと言うのも聞かずに購入。早速各所に手を入れるところがあるようだが本人は気にすることもなく、どこから手を入れようか金策に走っているのが面白い。
聞くとATかMTか迷ったようだが、MTにして良かったと言っている。この愚息2号の周りには普通は選ばない車選びをする連中が複数おり、刺激も受けていたようだ。愚息1号からは2台目にMTのオープンカー入手の報告があり、若者の車離れと言われて久しいが、少なくともこの界隈にそのような若者は存在しない。
あらためて乗った自分の車に搭載されるB58B30。ターボで過給されたこのエンジンは現代の感覚においては評価されるところはあるものの、自然吸気エンジンと比べれば味付けは薄い。N52が出汁の効いた旨味豊かな味わいだとしたら、B58はフレッシュだがコクが乏しく物足りない印象、といえるだろうか。出汁の良く効いた味わいが懐かしい。
先の若者たちが今後どのような車を選ぶようになるのか、興味深い。
Posted at 2025/08/03 09:16:22 | |
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