
NAVICARSの編集長である 河西 啓介さんと最近良く話すのは、「継続が大切」ということ。僕らはこの時代に相応しい新たなメディアや表現を常に探しているし、例えば河西さんは今の時代にNAVICARSを創刊したし、僕はSNSでLOVECARS!やCLUBRZなど、それぞれを実行に移している。けれど新たなものを模索しているからこそ逆に、継続することへのリスペクトと自身への戒めとして常に心に留めている。
そして今日、1980年に始まり、今回で第34回目となる日本カーオブザイヤーにおいて快挙が達成された。既に皆さんもご存知の通り、輸入車が初めて日本のカーオブザイヤーを受賞したのだ。そして僕は日本カーオブザイヤーの選考委員として、VWゴルフに満点の10点を投じた。
僕が初めて手にした愛車は、父から譲り受けたVWゴルフIIだった。免許取立の大学生だった当時はこのクルマがどれだけ偉大だったかなんて知る由もなかった。ただ単に、他にはなかなか見ない輸入車であることがオシャレだと思えた程度だった。
それから15年が過ぎて2005年に登場したVWゴルフVに、自動車ジャーナリストとして衝撃を受け自身の愛車とした。プロダクトとして圧倒的な実力の高さ、この時既に300万円を切っていた価格に、感動を覚えると同時に国産車との差に嬉しくない気持ちを覚えた。
そして今年、ふとしたきっかけで偶然にもVWゴルフIIを再び所有することになった。同時に新たに登場したVWゴルフVIIの、プロダクトとしてのさらに圧倒的な実力の高さと、もはや国産車と変わらない249万円からの価格設定には再び衝撃を受け、感動を覚えた。そして同時に、ゴルフVの時に感じた国産車との差が、この8年で縮まるどころか逆に離されていることを嘆いた。
今回、VWゴルフが初めて日本カーオブザイヤーに輝いたが、実はこの数年はこのレースにおいて輸入車の勢いが目覚ましかった。2007年には僕自身所有し、10点を投じたメルセデス・ベンツCクラスが追い上げたし、2009年にはVWポロがホンダCR-Zをあと一歩のところまで追いつめていた。しかし壁は厚く、高く、輸入車の前に立ちはだかった。それがついに今年、破られたわけだ。34年に渡る日本カーオブザイヤーの歴史が大きく動いたのだ。
いま僕の手元にあるVWゴルフIIは、オンボロを絵に描いたような1990年式だ。ただ、それでも乗る度に感心させられる。構造も古くガタピシしているしボデイだってヨレヨレのはずなのに、どこか安心感を覚える。そして足回りがヘタっているのも相まって、心地よい乗り味を提供してくれてホッとできる。古いクルマなのに悪くないな…いや、実際に乗ったらこれが良い! と感じる人も多いだろう。
対するVWゴルフVIIは現在の最新であり、世界のお手本といえるだけの高い実力をもっている。もはや装備に不足はなく、このクルマがあれば現代の自動車の全てを満たすことができる。高い品質、安全性、環境性、走行性…それら1つ1つの項目がベストであり、それらを併せた全てのバランスが圧倒的に高い。いうことなし、の現代の理想系だ。
そんなVWゴルフVIIに乗ると、僕のポンコツと同じ感覚がすぐに伝わってくる。2台の間には実に、約25年くらいの隔たりがあるにも関わらず、何ともいえぬ心地よいフィーリングと安心感が共通しているのだ。そしてこんな相棒とともに過ごせる、素敵なライフを想像できるだけのものがある。
そう、VWゴルフは優れた実用車であり、生活をともにする優れた道具である。でも同時にただの優れた道具ではなく、それは生活を「豊かにしてくれる」知恵と工夫に溢れた道具でもある。決してメカニズムが優れているだけでなく、それらを使って豊かな生活を描ける道具になっている。そここそが、優れた道具である日本のクルマとの違いのひとつでもある。
日本カーオブザイヤーを受賞したVWゴルフとその関係者の方に、心からおめでとうございます、と伝えたい。そして同時に激しい戦いを繰り広げたホンダ・フィットとその関係者の方にも、また今回の日本カーオブザイヤーの10ベストに選ばれたモデルとエントリーした全てのモデルとその関係者の方にも、素晴らしい戦いでした。次はもっともっと素晴らしい戦いをよろしくお願いします、ありがとうございました、と伝えたい。
僕は日本人として、日本の自動車メーカーを愛しているし、そこから生まれるプロダクトに常に期待をもっている。特にホンダに対しては皆さんと同じかそれ以上に、大きな期待をもって常にウォッチしている。だからこそ僕は今回、フィットに2点を投じている。ホンダは絶対、もっともっと凄いもので我々を驚かせてくれる!そんな期待もこめているつもり。そうして僕らがこの先、もっともっと笑顔になれる。そんなクルマが登場することを願っている。
僕は最近、常に新たなことをやっていきたいと思っているし、それを実行に移していることは皆さんもご存知のはず。でも、意外に(?)知られていないのは、実にコツコツとやっていて、新たに始めたものを継続していること。3年前に始めたLOVECARS!も、youtubeのチャンネルも、その他に関しても、時に伸びて時に停滞するけれど、コツコツと続けている。他には…今年4月までほとんど泳げなかった水泳とかもw
VWゴルフを見ていると、継続は力なりということを改めて痛感させられる。しかも継続したことで、不可能を可能にした、とさえ思う。そしてこの事実は我々に、生きる希望を与えてくれるものだとも思う。
コツコツは絶対に裏切らないし、コツコツは絶対に未来を作ってくれる。
本当に長々と失礼いたしました。さ、次を考えて今を全うし、僕は僕を続けようと思う。
Posted at 2013/11/24 00:16:14 | |
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