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2020年06月07日 イイね!

令和元年度JNCAP(日本版自動車アセスメント)の予防安全性能評価試験内容

前回に引き続きJNCAPの予防安全評価のお話です。
どんなシチュエーションを想定した試験が行われているのか、その条件と、車種ごとの詳細結果などで突然出てくる略語(CCRsシナリオなど)の意味を解説してまいります。

まず、2019年度の予防安全評価ではおおきく
・衝突被害軽減制動制御装置性能試験
・車線逸脱抑制装置性能試験
・後方視界情報提供装置性能試験
・ペダル踏み間違い時加速抑制装置性能試験
の4種類の試験と
・高機能前照灯装備確認
の1種類の確認となっています。


■衝突被害軽減制動制御装置■
まずは衝突被害軽減制動制御装置ですが、これはいわゆる自動ブレーキ性能の試験にあたります。

この試験では衝突被害軽減ブレーキ(AEBS: Autonomous=自律的 Emergency=緊急 Braking=ブレーキ System=装置)と、前方衝突警報(FCWS: Forward=前方 Collision=衝突 Warning=警報 System=装置)の2種類の機能を確認します。

AEBSはいわゆる自動ブレーキがどの程度効くかという試験で、自動ブレーキ機能がキャンセルされない程度に軽くアクセルを踏んだ状態でぶつからせます。

FCWSは、警報が出てからブレーキを踏んでも間に合うかという試験で、警報から1秒後にアクセルを放してその後0.2秒でブレーキを決まった強さで踏み込むといった人間の認知、踏みかえの遅れを取り入れた内容となっています。ただし、警報が出てブレーキを踏むより先に自動ブレーキがかかった場合は自動ブレーキの結果が使用されます。

なお、試験では正確な操作が必要なので人ではなく専用のロボットが運転します。

そして、前回でも触れましたが試験される状況は
対車両
・対歩行者
  
  夜(街灯あり)
  夜(街灯なし)

の4種類となっていますが、2021年度から対自転車も追加される見込みです。

それではこの状況設定を順番に見ていきましょう。
なお、動画は満点を取ったアルファードの試験映像がわかりやすかったので参考に貼り付けました。

■対車両
渋滞などの最後尾へ追突してしまわないかを見る試験ですね。
停止している車への追突と、ゆっくりと動いている車への追突の2種類の試験で、ターゲットのど真ん中を狙って走ります。
試験時の車の速度は+1km/h以内、横方向のずれ±20cm以内の条件を外れると無効となります。



停止車両 (CCRsCar-to-Car=車対車 Rear=背後から stationary=静止中)

想定ターゲット:停車中の車
自車速度:10km/h~60km/h(AEBSのみ50km/hまで※)
 ※現在のダミーが50km/hの衝突までしか耐えられないので。
  FCWSでは衝突まで1.2秒を切ったら失敗扱いで回避行動をとります。



定速走行車両 (CCRmCar-to-Car車対車 Rear背後から moving移動中)

想定ターゲット:20kmで走行中の車
自車速度:35km/h~60km/h


EuroNCAP(ヨーロッパ)では他に車を半身ずらした状態での試験や、
ブレーキを踏んだ車への衝突(CCRb:Car-to-Car車対車 Rear背後から brakingブレーキ中)
といった状況の試験が実施中ですが、日本では採用されていません。
なお、EuroNCAPでは2020年度試験から、対向車が直進してくる時に交差点で曲がろうとする日本でいうところの右直事故を想定した試験(CCFtap:Car-to-Car車対車 Front前方から turn-across-path行く手を横断して曲がる)も実施する方向のようです。今後日本でも2023年度実施予定の交差点の試験で採用されるかもしれませんね


■対歩行者
横断歩行者に気が付かず撥ねてしまう状況を想定した試験です。
昼間と、夜間は街灯の有無の計3種類の状況で実施され、ダミー君はノーブレーキだと車の真ん中(ラップ率50%)で撥ねられるタイミングでスタートします。
試験時の車の速度は±0.5km/h以内、横方向のずれ±5cm以内の条件を外れると無効となります。
これくらいの速度になるとブレーキよりハンドルでの回避が重要というEuroNCAPの人の発表があるのでそれをベースにしたのかなと思いますが、ヨーロッパは思い切った配点をしますね。

対歩行者・昼間
横断歩行者(CPNCar-to-Pedestrian車対歩行者 Nearside近い側から)

想定ターゲット:横断歩行者(180cmの大人、速度5km/h)
自車速度:10km/h~60km/h



横断歩行者 駐車車両あり(CPNOCar-to-Pedestrian車対歩行者 Nearside近い側から Obstructed遮蔽された)
想定ターゲット:路駐車両※後ろからの横断歩行者(180cmの大人、速度5km/h)
自車速度:25km/h~45km/h
 ※ワンボックスタイプの小型車又は普通車(黒)と、ミニバンタイプ軽乗用車(白)が縦に並んだ1m後ろから出てきます。

Nearsideということで、道の左側から歩行者が歩いてくる試験です。
日本における昼間の事故では左側からの横断者によるものが多いという調査から、歩行者が出てくる方向が選ばれているようです。
車の中心から4m横に離れた位置からテクテクと5km/hの速度でやってきますよ。計算してみると、2.88秒で衝突のようですね。
5km/hは歩行者が飛び出してくる時によくある初速だそうです。
遮蔽ありは路駐車両が2台並んだ後ろから飛び出してきます。

上の基準試験に加えて、40km/hの条件でのみ少し設定を変えた部分評価試験も併せて行われます。この40km/hは代表車速といい、昼間横断事故の速度別の社会損失額が一番大きい速度なんだそうです。
 ・ラップ率25%(CPNのみ)
   ダミー君がスタートするタイミングが直前になる厳しい側試験
   ノーブレーキでの衝突予定位置を真ん中から、車幅の1/4左へ移動
 ・ラップ率75%(CPNのみ)
   ダミー君がスタートしてから衝突までに余裕が出る優しい側試験
   ノーブレーキでの衝突予定位置を真ん中から、車幅の1/4右へ移動
 ・歩行速度 8km/h(CPNのみ)
   横断者の速度が速くなる厳しい側試験

 ・子供ダミー(CPN/CPNOともに)
   ダミーを115.4cmの子供ダミーへ変更




対歩行者(夜間街灯あり)
夜間の街灯がある条件です。
街灯があるので、ロービームでの試験となります。

横断歩行者(CPFCar-to-Pedestrian車対歩行者 Farside遠い側から)
想定ターゲット:横断歩行者(180cmの大人、速度5km/h)
自車速度:30km/h~60km/h


横断歩行者 対向車あり(CPNOCar-to-Pedestrian車対歩行者 Farside遠い側から Obstructed遮蔽された)
想定ターゲット:対向車※後ろからの横断歩行者(180cmの大人、速度5km/h)
自車速度:30km/h~60km/h
 ※対向車は走行させず停車状態
 ※ロービーム点灯のミニバンタイプ軽乗用車(白)を衝突1.08秒前の位置に設置
  →対向車通過の1.08秒後に横断歩行者が出現

Farsideということで、対向車線側から歩行者が歩いてくる試験です。
そう、昼間と違い対向車線側からなんですね。夜間は対向車線側からの事故が多いからなんだそうです。
ちょうど車の真ん中にぶつかるよう6m先からテクテクと5km/hの速度でやってきますよ。

上の基準試験に加えて、CPFシナリオ(対向車なし)のみ代表車速の45km/hで下記の部分評価試験も併せて行われます。
 ・ラップ率25%
 ・ラップ率75%
 ・歩行速度 8km/h



対歩行者(夜間街灯なし)
夜間の街灯がある条件です。
こちらではオートハイビーム搭載車であればオートハイビーム、なければロービームでの試験となります。

横断歩行者(CPFCar-to-Pedestrian車対歩行者 Farside遠い側から)
想定ターゲット:横断歩行者(180cmの大人、速度5km/h)
自車速度:30km/h~60km/h

横断歩行者 対向車あり(CPNOCar-to-Pedestrian車対歩行者 Farside遠い側から Obstructed遮蔽された)
想定ターゲット:対向車※後ろからの横断歩行者(180cmの大人、速度5km/h)
自車速度:40km/h~50km/h
 ※ロービーム点灯のミニバンタイプ軽乗用車(白)を後述の位置に設置

街灯なし試験では、オートハイビーム搭載車が有利になるような試験となっています。
対向車は停止して試験しているものの、本来のすれ違いならもっと前に来ているはずということで、その分前に出した位置に設置されます。
実際、この位置の違いでオートハイビームの切り替え時間に0.6秒の遅れが出たんだとか。

こちらも上の基準試験に加えて、CPFシナリオ(対向車なし)のみ代表車速の45km/hで下記の部分評価試験も併せて行われます。
 ・ラップ率25%
 ・ラップ率75%
 ・歩行速度 8km/h


といったところで、かなり長くなった上にいろんな機能を使った画面構成に力尽きてしまったので残りの試験内容については次回。
Posted at 2020/06/07 19:06:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2020年06月04日 イイね!

JNCAPの予防安全性能評価でダミーに衝突した場合でも満点を取れる理由

さて、前回に引き続きJNCAPの予防安全評価のお話です。
今回はなぜダミーに衝突した結果でも満点なのかについて、試験結果の計算方法のカラクリを解説したいと思います。

いわゆる自動ブレーキ性能を示す、被害軽減ブレーキの試験はおおきく
対車両と、対歩行者の夜(街灯あり)夜(街灯なし)の4種類となっています。

その中でも速度など様々な条件を変えて試験を行いますが、試験条件ごとに決まった配点がされています。
そして、各試験ごとにぶつからなかったら満点ぶつかった場合も減速できた割合(速度低減率)に応じて部分点がもらえるわけですね。
例えば、タントのCPNOシナリオ(物陰からの歩行者飛び出し)試験結果を抜き出して説明すると、
alt
25km/hの条件では、25.2km/hから自動ブレーキが作動して15.8km/hで衝突
すなわち衝突まで 25.2-15.8 で9.4km/h減速できたことになるので、速度低減率は 9.4÷25.2 で「0.37」(ぶつかるまでに37%は減速できた)となるわけです。

alt


こうして、この25km/hの条件では本来の37%の部分点がもらえます。
なお初期速度は車速条件の25km/hを目指しますが、ピッタリには合わせきれないので実際に計測した速度を使用します。

同様に30km/hの条件では30.3km/hから1.9km/h減速できたので、速度軽減率は「0.06」(ぶつかるまでになんとか6%は減速できた)となり、本来のわずか6%の部分点がもらえるわけです。


ここで感の鋭い方は空白となっている試験回数と、一番右端にある速度軽減中央値という謎項目に気が付かれたと思います。
実は試験によっては一発勝負の場合最大で3回繰り返し行う場合があるんです。
そして、繰り返しの場合は基本的に中央値を取ることと試験方法が指示されています。
この中央値とは何かというと、順番に並べた時の真ん中の順位の数値を選ぶことを指します。例えば、50,7,6,5,2の5個の数値がある場合、平均値では14ですが、中央値では順位の真ん中に当たる3位の数値「6」となるわけです。
alt

平均値と比べて中央値は何が良いかというと、大きく外れた数値があっても平均値に比べて影響を受けにくいということが挙げられます。
上のグラフの例でいうと、2,5,6,7と一桁台の数値に固まっているのに50という大きく外れた数値が1個あるせいで、平均値で見ようとすると押し上げられた14という中途半端な値になってしまいますよね。それに比べて中央値ではより実態に近い6という数値を選ぶことができます。

この中央値を3回繰り返し試験に適用すると、3回中2回衝突回避できれば2位の結果は衝突回避なので、3位の衝突はたまたま大きく外したとみなして減点なしということになるわけですね。
alt

逆に1回だけ衝突回避できても2位の衝突した結果を採用するので、この場合は減点されます
alt



満点のはずの4車種も実は止まり切れず、ヘタすると結構な高速度で衝突していることもあるといった理由が見えてきました。つまり、3回繰り返し試験の場合は1回だけであればたとえブレーキが作動しなくても減点されないのです。
これが本当にたまたまであれば良いのですが繰り返し回数が少なすぎて実際は判断しにくいと思います。どの程度の条件では確実に止まれるかといった観点からは他の条件の結果を見て総合的に判断した方が良いでしょう。

次回はどのようなことを想定した試験が実際に行われているのか、その条件を読み解いていきたいと思います。

Posted at 2020/06/04 00:57:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2020年06月02日 イイね!

令和元年度JNCAP(日本版自動車アセスメント)の予防安全性能評価を見て

令和元年度のJNCAP(日本版自動車アセスメント)の結果が出てまいりましたね。

今回、メルセデス・ベンツCクラスも評価に入っていて、予防安全性能(=ぶつからない車)は私の乗っているBクラスと同等の機能のはずなので興味深く結果レポートを読みました。

試験結果や試験条件を読み込んでいくと、評価点だけではわからない試験のあれこれが見えてきて面白いですよ。
せっかくなので、少し各社の自動ブレーキ性能について書いてみたいと思います。


さて、予防安全評価は去年の夜間(街灯あり)の対歩行者試験に続き、今回の試験から夜間「街灯なし」の対歩行者試験が追加されました。(他に踏み間違い防止機能の試験も追加。これは去年の追加内容でした。)
その中でも16車種中で満点の車が4車種も出ているのは喜ばしいことですね。

いくつかある評価の中で、自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)の性能に興味があったので、今回の結果をそれだけに絞って搭載のシステムを大まかに分けてみることにしましょう。
評価点はわかりやすいよう100点満点に換算しています。

■たいへんよくできました(100点付近)■
 ・トヨタ(ライズなどのダイハツ製除く)/レクサス日産(セレナ)メルセデスベンツのシステムは、暗い夜道の歩行者飛び出しさえも安心できる最高性能

■よくできました(90~95点付近)■
 ・ホンダスバル日産(デイズ)VWのシステムは、条件によっては止まり切れないことはあっても夜間を含めて普通に活躍

■もっとがんばりましょう(40点未満)■
 ・ダイハツ(他社向けOEM含む)、MINIのシステムは、検知容易な車相手でも追突する論外レベル!当然歩行者は昼間でも止まり切れず、夜間は検知すらできない残念仕様

こうやって見ると、一世を風靡したスバルアイサイトが普通クラスになるくらい各社の猛追が激しいことがわかります。
一方で「もっとがんばりましょう」に分類したMINI、ダイハツのシステムは圧倒的に性能不足でかなり衝撃的な結果と言わざるを得ません。
実際、試験結果を詳しく見ると、
・最下位のMINIは検知距離が短いのか、最大で20km/h程度しか減速できず速度差が20~30km/hを超えると対車でも対人でも止まり切ることが確実に不可能
・ブービーのダイハツは歩行者検知が不安定なのか、昼間でも対人は止まれた条件の方が少なく10km/h走行時ですら人を撥ねる
といった残念極まりないものになっていました。
ダイハツはASV++取得を謳っていますが、正直なところこの程度では全然安心できないと思います


さて、話を上位陣に戻して車種別に見てみましょう。
大賞取得の100点満点
 ・トヨタのアル/ヴェル
 ・日産のセレナ(スズキのランディ)
 ・レクサスのNX
 ・もう一つレクサスのUX
次点でメルセデスベンツCクラス99.8点が続きます。

この結果だけ見ると、自動車を作った責任から安全性には云々のベンツ様惜しかったな、さすがトヨタ日産スゲーとなりそうですが(実際すごいわけですが)、実はこの辺の差は誤差レベルでしかなかったりします。
なぜかというと、個別の試験結果を見ると満点のはずの4車種も実は止まり切れずダミー人形に激突しているのです。それもヘタすると結構な速度で衝突していることも。

それなのになぜ満点なのか、次回は試験結果の計算方法について詳しく見ていきたいと思います。
Posted at 2020/06/02 21:44:19 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2020年05月15日 イイね!

半年乗っての感想

国産車に比べると遥かに高価ですが、小型ながら価格に見合った高級感のあるよい車だと思います。
Posted at 2020/05/16 00:39:23 | コメント(0) | クルマレビュー

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