JB64W レインガーターの採用に拍手を!

　JB64Wは、屋根に住宅の雨樋にあたるレインガーターが前方を除く三方に配してある絶滅危惧種である。
　近年の乗用車のほぼ全てにはレインガーターがなく、ドアと屋根の境目から少し内側に雨水を落とす溝(ドリップレール?)としている車が圧倒的に多い。これは流線形の造形に寄与し風切り音も軽減できるのだろうが、年間の三分の一は降雨のある我が国では、案外あまり歓迎できないと考えている。
　レインガーター構造でない車では、雨天時の乗降で傘を閉じて片足を車に入れた瞬間に車が手前に傾いて、屋根の溝やドアとの間に溜まった雨水を頭からまともに被る結果になることが多い。暫く停車した後の降車時には、ドアに隙間を開けて折角傘を開いたのに、片足を外へ出した途端に屋根の雨水を被ったという経験を持つ方は少なくないと思う。
　大雨の日、このレインガーターのおかげで全く雨水を浴びることなく乗降できることを確認して、レトロ感というものは必ずしもスタイルばかりではないと、先人の優れた知恵に触れた瞬間であった。
　 しかもJB64Wのレインガーターはガラス面よりもやや外側に張り出しているので、ドアの開閉時に屋根の積雪を車内に持ち込むことがない。雨天時に窓ガラスを少し開けていても屋根の雨水が浸入してくることがないので、私は視界確保の方を優先して窓にバイザーを取り付けていない。
　Ｇクラスを真似したと言ってしまえば元も子もないのだが、流行りや恰好を優先せずに実用を大切にして古き良きものを復活させたスズキ自動車の勇気に拍手を送りたい。

　スズキ自動車様、JB64W XCのLEDヘッドライトは降雪時に役に立たないとか、銀色のリアワイパーの袋ナットは仕上げが悪いとか、ウインカーレンズの色を統一しろとか、散々書き叩いておりますが、JB64Wはレインガーターをはじめとする随所が他車よりもよくできた傑作車です。私をブラックリストに入れないで下さいませませ…。