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2023年12月01日 イイね!

日本海をのんびり南下し、イッタラ展で旅は結実する

日本海をのんびり南下し、イッタラ展で旅は結実する今晩の目的地、新潟市を目指して出発!



途中、いろいろ寄り道をしてお土産を買いまくっていたけれど、そんなことツラツラ書き連ねてもつまらないので省略。



海岸線のドライブは、新潟県との県境の手前からスタートした。

全然混んでいないのが本当に楽しい。



いわゆるドライビング・ミュージックをかけながら、鼻歌なんか歌っている。

ずいぶんと前にJ-Wave(東京のFM局)で、Tears for Fearsの “Everybody Wants To Rule the World”はドライブにぴったりの曲と言っていたけど、まさにそのとおりと実感する。


この「世界」って、自分自身のことでもいいよね。

たまには立ち止まって、自分の心の声を聴いてあげないとね。


ふとそんなことを思ったりした。




曇り空だけど1枚くらい海の写真を撮ろう。


chérieちゃんを停めた先に、釣りを終えて帰る準備をしている年配の男性がいた。


ご機嫌な気分なので声をかけてみる。

「何か釣れました?」

「タコを釣りにきたけど、全然ダメだ。
あそこにいる人達はイカ。イカのほうが釣れる」

「釣れるんですね」


海辺でタコとかイカが釣れるなんて、にわかに信じがたい海ナシ県在住者。



おじさんの軽自動車はよく見るとシートはレカロだった。

ここで「すごいですね~」と言いそびれる私は、本当に気が利かないと思う。



イカ釣りをしている人たち。釣れたイカは透き通っているのかな?





その日の夕食の買い出しのことだけ書いておこう。



せっかく海のあるところに来たのだから、夕食はホテルの部屋でお魚が食べたいということで「岩船港直売所」に寄った。



HPより拝借。食堂のメニューはほとんど売り切れだった!


まだ1時半前なのに、あんまり置いていない。
それに量が多すぎる。絶対におひとり用じゃあない。


それでも若い女将さんといろいろ話していくなかで、欲張った!


冷蔵庫で2日くらいは持つ
残った刺身は白だしに浸けておけば大丈夫



の言葉には不思議な魔力があった。


白だし、使ったことないんだよね。
今度買ってみようかな。





HPより拝借。10年以上も前に立ち寄った時、笹団子が美味しかったので再訪。


近くの「道の駅 神林」に寄る。

大好きな笹団子のこしあんと粒あんの5個セットの束をそれぞれ買う。



お土産に買ったお皿に載せて


ついでに夕食用のおにぎりを探すものの、ない!


平日だからなのか、それとも時間が遅かったのか。
と言ってもまだ2時だよ…



新潟市内の知っているお店を目指すことにしたけど、営業時間4時半まで?!


マジか!


のんびり景色を楽しみながら下道で向かうつもりだったが、そんな悠長なことはしていられない。


再び日本海東北自動車道でまっしぐら。

おにぎりを買うためだけに…


今日はこの道路にお世話になりまくり。



HPより拝借。水色は無料区域、赤点線は工事中


鶴岡西ICから、新潟との県境近くのあつみ温泉ICまで走る(無料区域)。

そこから先はまだ工事中なので海岸線まで出て、国道をのんびり南下した。


お刺身と笹団子を買ったのち、神林岩船ICから再び乗り、新潟市を目指してひた走る。
(ちなみに7km先の荒川胎内までは無料区域)



聖籠柴田(せいろうしばた)ICで降りて、新新バイパスに入る。


ここからは緊張を強いられる。
今までののほほんとした運転から一変、自然と肩に力が入る。


時間ではない。
時間は十分間に合うことはカーナビの到着予想時間で確認した。



道路環境が私にはムズカシイのだ。


今度こそ、成功させてやる!


闘志を燃やし、カーナビと道路上の青い看板を交互に凝視しながら運転に集中した。



HPより拝借。全区間が盛土された立体構造となっている


新潟市内には、まるで高速道路のような立派な道路が3区画(新潟バイパス、新潟西バイパス、新新バイパス)あって、総計40kmにわたって東西を貫いている。

全線4~6車線あるし、信号はないし、皆飛ばすし、なのにタダ。



HPより拝借。道はこんな感じで混んでいた。


さっきまでお世話になった日本海東北自動車道は、この高速道路みたいなバイパスと並走している。
暫定2車線の対面通行で、追越しスペースもないまま。

どっちが高速道路なのかわからない。



HPより拝借。場所は新潟市じゃないけど、道路はこんな感じ



やっぱり新潟だけに田中さんの存在がいまだに大きいのかな。
(角栄さんのことね)

こういう道路をうちの県にも作ってほしいよぉ。



とぶつぶつ思いながら走っていると、やっぱりロクでもないことが発生。



結局、ホテルにつくまで3回もぐるぐるするハメになった。


<1回目>
カーナビ通りにバイパスを降りたのに、あらぬ方向へ向かってしまい、生活道路に入ってグルグルしてから軌道修正。


<2回目>
おにぎりを買うために向かった「ピアBandai」に入ろうとして失敗。
道路向かい側にある駐車場入り口を通り過ぎてしまう。



<3回目>
ホテルの地下駐車場に入るのに失敗。
ここがそうなの?とあまりに狭い地下入口が疑わしく、試しに一周してみようとしたら、かなりな大回りとなった。

ちなみに駐車場は、かなりの老朽化が進んでいた…



パイパスを降りた新潟市内も、道路が整備されまくっているので、運転するだけでとってもくたびれる。



片道3車線もあるのに、さらに道路建設に勤しむ


ロクに道路がない地域で暮らしているから、まともな運転もできないのかと少々気落ちした。






フロントの風景。シャンデリアは右にもあって、左右対称だった


やっとこさホテルの地下駐車場へ入れて、チェックイン。


もう今日はどこにも出かけないでのんびりしよう。
新潟の夜は早いからね。





ふふふ、今晩の夕食はこれ!


エビの殻でおみおつけを作りたかった!


ナマモノだけに、明日持ち帰るのもねぇと思いなおし、時間をかけて完食。


上:アジの刺身。道中立ち寄った製塩所で入手した試供品のお塩で食べる

右:甘エビ。新潟では「南蛮エビ」と呼ばれていて、若い女将さんに「これって南蛮エビですよね」と訊いたら、「そうです」と返ってきた。
新潟市のお寿司屋さんでは、南蛮エビを使った魚醤を楽しむことができる。

左:ピア Bandaiで購入。佐渡島のタコを唐揚げにしたもの。さすがに食べきれず、残りは翌日食べた。




この3点セットがあれば、冷蔵品も冷たいまま持ち帰れる。

今回は鶴岡の農協で買った焼肉用の牛肉を、無事に自宅まで持ち帰った。





朝食はワクワクするバイキング。


大好きなフレンチトーストはとりあえず1つだけ(右奥)


スプーン左のピンクの切れ端の載ったお料理はのっぺい汁。
これもおそらく北前船の影響っぽい味。決して関東風ではない。


洋食が食べたくなったので、ひたすらそっちだけと思ったけれど、魚沼産コシヒカリと、十日市の棚田米の食べ比べがあれば試さずにはいられない。



左が魚沼産、右が棚田米


それぞれ小さな山を作って、カレーをちょっとだけかけてもらった。

食べ比べてみるけど、そんなに変わらない。
棚田米のほうが気持ち柔らかな歯ごたえ。

炊き具合の差もあるかもしれないし、好みの違いなんじゃないのかな。



…お腹いっぱいすぎる。





天井の高い美術館だった


「さあ、明日は何をしよう」と、昨晩ネット検索をして見つけたのが、イッタラ展。
新潟県立万代島美術館で絶賛開催中らしい。


おしゃれでモダンでおもしろそうということで、鑑賞しに行くことにした。

新潟の美術館は2020年に訪れたバウハウス展以来だ。
しかも感じも似ている。



HPより拝借。入場してすぐの展示


「イッタラ」をご存じだろうか。


1881年創業のフィンランドを代表する食器メーカーで、近年はインテリアデザインにも進出している。

今回は創立140年を記念した展覧会とのこと。
2022年の東京展を皮切りに、島根、長崎と巡回してきたそうだ。


イッタラを知ったきっかけは、結婚式の引き出物カタログに頻繁に食器が掲載されていたから。
おもしろいマークがついているなぁと思っていたので、長く記憶にとどめていたのかもしれない。



HPより拝借。赤丸に白抜きの「i」マークが印象的




展示数も適量だった。多からず、少なからず。
平日の昼間ということもあり、鑑賞者も少ないのがいい。

じっくりと説明書きを読みながら、ゆったりと展示品を眺めることができた。



もっとも心に残ったのは、第1章「イッタラ140年の歴史」である。


一般市民の生活に根ざしたモノ作りが素晴らしいと思う。

3つほど例を挙げてみると、


①「貧乏人のクリスタル」

最初期のプレスガラスの製品は、クリスタル・カットの柄を模倣していたことから、「貧乏人のクリスタル」と呼ばれることもあったそうだ。


HPより拝借。ガラス種をプレス加工した製品

HPより拝借。まるでクリスタルのように繊細な加工だ


これを読んで、クスっと笑顔になった。

そうそう、クリスタルは高いものね。


②デザイナーのアルヴァ・アアルトは「優れたデザインは日常の一部であるべき」の思想のもと、プロダクトデザインも手がけた。

日常生活で使う製品にも、美しさやおしゃれといったデザイン性を追求しましょうということらしい。

このあたりは、同時代のドイツで起こったバウハウスと同じ哲学を感じさせる。


HPより拝借。アルヴァ・アアルト コレクション ベース


こういう先人たちの試みがあって、私達は安価で使い勝手もよく、そしてデザイン性にもすぐれた製品を手にすることができるのだ。


③スタッキング

第二次世界大戦後、ライフスタイルの変化により、人々はマンションなどの集合住宅に住むようになる。
狭い収納スペースにはスタッキング(重ね置き)できる製品が人気となった。


HPより拝借。まるで芸術作品のよう

HPより拝借。棚に一つ一つ並べてじゃあ、本当に困っちゃうよね。




自分がいいと感じる食器を使うだけでも、生活に彩りがでてくるとあらためて感じた。



そして一番いいと思ったのは、「ウルティマ ツーレ」のデザイン。
ラップランドの氷が溶ける様子に着想を得たという。


背景の大型の写真の効果もあり、幽玄の美そのものを表わしているかのようだった。
私の心の中でも、静けさのなかに突如崩れ落ちる氷柱のイメージが湧いてきた。



館内撮影可。でもこの写真じゃあ、幽玄さは伝わらないなぁ




帰り際にはお土産としてお皿を購入した。
ここまで素晴らしい展示を観たら、何か記念にほしくなったのだ。


ちょっと私にはもったいないほどの高さだけど、美術館の運営資金の一部になればと思うことにする。



Kastehelmi カステヘルミ/リネン(色のこと) 
お土産で買った平田牧場のレバーペーストを載せたパンとともに



11月中旬には入場者数が1万人を越えたそうだ。

来年には高知と京都でも開催されるとのこと。



カステヘルミのキャンドルホルダーのオブジェ

美術館の入る同じビル内のレストラン「セリーナ」の入口脇に鎮座していた。





昨夕おにぎりを買うのに立ち寄った「ピアBandai」にもう一度寄って、お土産を物色して帰宅することにした。



海の向かいにあるビルに万代島美術館が入居する





3時半すぎに新潟バイパスの桜木ICに乗る。


「バイバイ新潟!楽しかったよ。また来るからね~」


これがいつもの別れの言葉。


そのまま北陸自動車道の新潟西IC、そして関越自動車道と乗り継いで東松山ICに6時すぎに到着。


道路もほぼガラガラだったので、走りやすかった。


Chérieちゃんは、本当に長距離向きのクルマなんだなと実感する旅だった。
たまにはこうやって思いっきり走らせてあげないとね。

私も非日常に浸る旅を思う存分楽しめた。
思い切ってでかけてよかった!



11月6日の移動地図
移動距離:170km

11月7日の移動距離:294km

総移動距離:989km





【おまけ】
鶴岡の農協で青い実の未熟イチジクが300円で売っていたので買ってみた。


甘露煮。

私が仙台で赤ちゃん~5才だった頃の話。

母が近所の家に遊びにいくと小さなイチジクの甘露煮を出されたそうだ。
東北地方のお菓子らしい。
レシピをネットで出してあげたら、懐かしそうに作りだした。


ジャム。奥にはお土産で買ったイッタラのお皿

甘露煮と同時進行で作りだしたジャム。
もちろん母が。
Posted at 2023/12/19 00:06:10 | コメント(9) | トラックバック(0) | 美術館・博物館めぐり | 旅行/地域
2023年04月26日 イイね!

王義之と蘭亭序 ~中国の書道史の一端にふれる

王義之と蘭亭序 ~中国の書道史の一端にふれる「興味あるかしら?」



2月下旬、20年来の友達WさんからLINEが届いた。


「うん、行く行く!」


ということで「王義之と蘭亭序(おうぎしとらんていじょ)」展へ行くことになった。




これを読んだ多くの人は、たぶん「?」だと思う




さあ、ちょっとだけ書道の世界に触れてみましょう。
(もちろん興味がなければスルースルーでOK!)




【書体とは】

字の書き方の種類のことで、書道の漢字には大きく分けて5つの書体があります。
古い順に、篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)、草書、行書、楷書があります。








<篆書(てんしょ)>
時  期:秦の時代(紀元前221年~206年)
きっかけ:中国を統一した秦の始皇帝が、文字の統一を図るため制定した
特  徴:左右対称・縦長・静かで無表情
(例えば「皇」「天」の字は完全に左右対称になる)
生息場所:印鑑やパスポートの「日本国旅券」、切手の「日本郵便」など






<隷書(れいしょ)>
時  期:漢*の時代(紀元前202年~西暦220年)
きっかけ:篆書(てんしょ)が書きにくかったので、漢代の下級官吏の間で発明された
賤しい者が使う文字という意味で「隷書」
(あ、だから「隷」なんだと、今回調べて納得!)
特  徴:左右に波打つような筆使い(はたく=波磔という)
生息場所:紙幣の「日本銀行券」「壱万円」や新聞の題字、看板など

*前漢と後漢の二つの王朝を総称して漢という。






<草書>
時  期:秦の時代に原形が成立し、漢の時代に発展
きっかけ:隷書のなかでも使用頻度の高い文字から単純化されていった
日常用の早書きで使われる
特  徴:点画が大きく省略。読み解きには専門知識がいると言われる。
生息場所:書道の展覧会(?)



<行書>
時  期:西暦100年代半ばの後漢時代(西暦25年~220年)に初期の形が成立
きっかけ:隷書の速書きから生まれる
公務や祭礼など正式な場で使われ、随・唐時代(西暦589~907年)にかけて標準的な書体となる
特  徴:一筆書きのような筆記だが、読みやすい
生息場所:看板やのれん



みんカラではお馴染みのマーク



<楷書>
時  期:西暦200年頃の後漢から三国時代(西暦220年~280年)に初期の形が成立
きっかけ:隷書から転じたもの。
唐(紀元後618~907年)の初期に書体が確立する。
特  徴:文字を崩さずに、一画一画を正確に丁寧に書く
生息場所:あらゆる場所で




右から左の順に書体が誕生していった



紙の普及により、筆と墨で文字の美を追求する高度な文化として「書」が確立する。
つまり、それ以前の竹簡や木簡では美を表現するにも限界があったということ。


草書、行書、楷書は隷書から派生したが、それぞれの表現方法を磨き上げていったのが五胡十六国時代の王義之(おうぎし)である。








3月初旬、WさんとはJR鶯谷駅で待ち合わせた。



CANNONBALL DINER (キャノンボール ダイナー)というお店で、まずは腹ごしらえ


アボカドバーガーをオーダー



ランチを楽しんだ後、台東区立書道博物館へと向かう




歩きながら、Wさん相手にぽつりぽつり王義之にまつわる思い出話をした。


大阪で高校生になったときの話である。


芸術クラスを美術、音楽、書道から選択することになり、はたと困った。


音楽はオンチだから、ムリ!
美術は絵も下手だし、ロクに仕上がったためしもないから、やめておこう。
書道は字も下手だから、やめておこう。



選択必修科目なので、何かしら選ばないと…
でも、選びようがない!



じゃあ、字を書くだけで済むから、ということで書道クラスにした。



しかし、現実は甘くはなかった。


私以外のクラスメートは皆、達筆。
自分の字のあまりのヘタクソさぶりに、劣等感にさいなまれることとなった。




書道の先生は、
「書道は芸術やから字のうまさ云々より、どれだけ個性が出せるかやで」
とやさしく言う。



いやあ、そうは言いましてもね…

書の基本があって、初めて芸術なんじゃないの?とイジケていた。




字を書くのは好きじゃなかったけれど、それでも楽しかったことは2つあった。



一つは篆刻を彫ったこと。

自分の姓名の最初の一字ずつ篆書の字体で、二つの大理石に刻んでいった。
無心になれて、これはこれで楽しかった。


HPより拝借。もう一回り大きな石で、何時間もかけて彫った



もう一つは書道の歴史を学んだこと。

先生が薄めの教科書を片手に、「王義之(おうぎし)」だとか「蘭亭序(らんていじょ)」、「顔真卿(がんしんけい)」などと語っていた。

しかも何度も何度も、熱を込めて。

刷り込み効果なのか、単語だけはいまだに覚えている。





だから、Wさんに誘われたときに、ピンときた!

せっかくだから、行ってみよう。



「でもさ、むちゃくちゃ混むんじゃないの?」



2019年冬、顔真卿(がんしんけい)の肉筆が東京国立博物館で公開されたときの大混雑ぶりを思い出して尋ねてみた。


おそらくもう二度と見られない作品がやってきた!

なんせ台湾国内でも非公開の代物が公開されたのだから、中国系の人たちの間でも大騒ぎだった。でもビザの発給が間に合わず、実際は日本在住者しか見学できなかったとか。

現場はかなりの熱気に包まれ、延々と長い行列が続いたそうだ。

私も珍しいもの見たさに行こうかと思ったけれど、都合がつかなかった。




「大丈夫!絶対混まないから」

力強くWさんは言う。



そうなのかなぁと半信半疑だったけれど、建物と周りの環境を見て納得。


これは地味だ、目立たない。



「台東区立書道博物館」は路地裏に立地している






王義之について、もう少し情報を追加すると、
・五胡十六国時代(西暦303~361年)の東晋時代の人で、「書聖」と仰がれる
・流麗で清爽な書法
・肉筆はない!
 あまりに古い書だから、やっぱり現存は難しいのでは?と思うかもしれない。
 実はそうではない。その300年後、唐の太宗皇帝(598~649)が王羲之の書を愛するあまり、執念をもって散逸していた書を収集し、挙句、自分のお墓まで持っていってしまったからだ涙
・その代わり、太宗が作らせた精巧な複製が残っている。
 これらの複製が現在、奇跡的に世界で10例伝わっているという。
 そのうち4例も日本にあるというのがスゴイ!



デザインがおしゃれー
 

王義之の「蘭亭序」について
西暦353年3月3日、王羲之は会稽山陰の蘭亭に41人の名士を招いて詩会を催した。
水の流れに盃を浮かべ、詩を吟ずる宴、「曲水流觴の宴」である。
せせらぎに浮かべた杯が流れ着く前に詩を吟じ、詩ができなければ罰として酒を飲む文人の雅宴である。三十六人が詩を吟じた。
この詩集に叙した序文が王義之の傑作と言われる「蘭亭序」である。
酩酊したまま書いたとされ、のちに何度も清書するものの、それ以上の出来にはならなかったという。
行書で書かれた書である。




ところで「曲水の宴」を聞いたことはあるだろうか。


HPから拝借。和風の蘭亭序といったところか。

平安装束を身にまとった人々が小川のそばで和歌を詠むという、平安絵巻物さながらの行事である。

蘭亭序は男性のみの参加だけど、平安時代ものなら女性を抜きにしては成り立たないのがイイね。


高校時代の教科書に載っているのを見て、平安時代をこよなく愛する私はいつかは見に行ってみたいと思っているうちに、かなりの年月が経ってしまった…


今回調べてみると新たな発見があった!

京都のどこかでやっているとばかり思っていたら、大宰府天満宮が1963年(昭和38年)に再興したのが最初とのこと。
今では京都で3か所、そのほかにも全国いろんなところでやっているらしい。


知らなかった!




最後に、王義之と双璧をなす「顔真卿(がんしんけい)」について触れておこう。
・中唐時代(西暦766年~835年)の人
・力強さ、穏やかさを兼ね備えた独特の楷書を書く。
 行書・草書も文句なしの賞賛を受けている
・肉筆は数例現存するのみ
・明朝体は顔真卿の書風を基に作られた



博物館の中庭より



「王義之と蘭亭序」というタイトルの展覧会とは言え、王義之の作品は一切なし。(しつこいけど、太宗がすべて墓場へ持っていってしまったから)

後世の人々による「蘭亭序」の複製を見比べたり、「蘭亭序」に着想を得た絵画をじっと眺めた。



博物館のイメージキャラ?



展示数もそれほど多くないし、Wさんの断言どおり人もまばらだったので、ゆったりのんびり眺めることができた。





博物館を後にし、いよいよお楽しみのお茶の時間に入る。



今回はすべてWさんがプランを練ってくれたので、ものすごく楽ちんなお出かけだ。


ドラマ「孤独のグルメ」にも登場した喫茶店「DEN」へ連れていってくれた。


入るのに少々戸惑うような、しぶーい外観の喫茶店である。



五郎さんはグラパンとコーヒーフロートを頼んだらしいけれど、メニューの写真の鮮やかなグリーンに惹かれて、クリームソーダにした。



HPより拝借。五郎さんの頼んだコーヒーフロート



いつもはこんな色付きなんて…思うんだけど、

出されたクリームソーダは、それはそれは美味しかった。



こっちのほうが断然おいしそうに見えた


ソーダの緑色も味も、控えめでさっぱりとしている。

ソフトクリームは濃厚なのにすっきりとしている。
量もたっぷりで満足だったんだけど、季節柄、寒くなってきた!





帰りがてら上野公園までお散歩した。



中学校の塀から顔を出していた紅梅


上野公園の寒緋(かんひ)桜


水をつかって即興でイラストを描く人がいた




思った以上に運動不足で、足が重たくなってきた。


じゃあ、そろそろ帰りましょう、ということで上野駅から電車で帰宅した。


Wさんとも久しぶりに会えたし、充実した一日を過ごせてよかった!
Posted at 2023/04/27 01:24:58 | コメント(7) | トラックバック(0) | 美術館・博物館めぐり | 趣味
2021年08月10日 イイね!

夏のお出かけ先は涼しくないとネ ~栗田美術館で陶磁器に酔いしれる~

夏のお出かけ先は涼しくないとネ ~栗田美術館で陶磁器に酔いしれる~車検から帰ってきたchérieちゃんと、せっかくの4連休だからふらっと出かけたい。
だけど暑いなか、車を出たり入ったりはしたくない。それだけでくたびれる。
それにせっかく遠出した挙句、ランチだけで帰るなんてもったいないし…


熟考すること数日…


美術館とか博物館へ行くことを思いつく。


中は涼しいし、一度入れば2時間くらいは鑑賞しているはず。
それにランチをつけて帰ってくればいいではないか。

ではどこへ行こう?
それほど遠くはないどこかをネットで探していると、「栗田美術館」がヒットした。

伊万里と鍋島の陶磁器に特化した美術館。
そして三万坪の庭園を有するという…



悪くな~い
焼き物大好き!
お庭も好き!




というわけで4連休初日に出発。


そんなに急いでもつまらないので、下道でのんびりと向かうことにした。
連休初日にも関わらず、それほど混んでいないのがいい。





あ、利根川
坂東太郎だ!


まるで大きな沼のような見晴らしに感動を覚える。




栗田美術館・玄関


自宅から2時間ほど走った田園地帯の先に、お目当ての美術館はあった。
近所には藤棚で有名な、あしかがフラワーパークもある。


それにしても駐車場が広大すぎる!
しかもchérieちゃんともう一台しか停まっていない!



緑の先に見えるのは本館



左手奥から本館へ入る


そして中も広大だった。
豊かな緑の中に、建物が点在していた。
そこを歩いて見て回るのだ。

サンダルに素足はあまりいい選択とは言えなかった。
砂利がどんどん入ってくる…


本館・昭和50年開館


さあ、陶磁器の鑑賞に入りましょうか。


ため息の出るような陶磁器の数々。
また作品に添えられた解説もまた、読んでいておもしろい。


【伊万里】
日本で最初に作られた陶器
ヨーロッパ人の好みに合わせて、絢爛豪華な作品が多い一方、造作が雑なもの、美的センスに難があるものもたまにある。
ちょっとばかりいい加減でも、売れてたからかな。
でも国内向けにはキチンと作る。じゃないと目の肥えた人たちには売れないよね。




伊萬里色絵赤首輪犬置物

愛嬌があって、あまりにカワイイのでお土産に絵葉書を購入
今にも動き出しそう。
ビクターのワンちゃんみたい!


His Master's Voiceね。(HPより拝借)



【鍋島】
肥前鍋島藩御用達の陶器
藩主の自家用、贈答用、献上品として、門外不出に近い扱いを受ける。
上品で美しい。シンプルなデザインであっても手の込んだ造作が見て取れる。




染付紗綾形大根文皿(HPより拝借)





歴史館・昭和54年開館


まだまだ、見せてくれるらしい。本館だけでも、かなりの量だったけど…




唯一撮影の許可された空間

左手後ろのとっても大きな壺は、今年の大河ドラマ「青天を衝け」でも描かれた、パリの万国博覧会に出品されたものだ。そして、これら大壺に魅了された見学者たちにかなり売れたとのこと。




(HPより拝借)

イギリスのロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーが、プライベートで訪れた際の写真も残っている。
この写真のフレディと大壺を見ても、大壺の大きさが想像できよう。



歴史館の階段をどんどん登っていくと、展望室がある。




資料館ではおもしろい解説文にであった。趣旨は以下のとおり。

伊万里の初期は、中国の景徳鎮の陶器を真似て作るようにとヨーロッパ人に言われて焼きだしたが、出来は稚拙であった。
そのうち景徳鎮を上回るような作品を作りだすようになると、中国から真似をされるようになった。
その後、価格破壊的な陶器が中国で出回るようになると、高価な伊万里は大打撃を受け、結果として、伊万里は国内需要へ目を向けるようになる。



う~ん、歴史は繰り返すと興味深く読んだ。
しかし今の日本の製造業には、国内需要を掘り起こすのは至難の業だし、それが伊万里とは違うところなのかもしれない。



みっちり2時間、鑑賞してまわった。
見学者もほとんどいなくて、ほぼ独占状態。



帰るころには、ポツポツと来館者もやってきた。



天気もそれほど暑くなくてよかった。
日本一暑いといわれる熊谷に近いのに、川一本渡るだけで気温が違うものなのかしら。




出発点は在住する区役所にしておいた

今回のドライブは片道56km
平地をずっと走りつづけた。


次回は紅葉の季節に来て、ふたたび陶器の世界に浸りたいと思う。
Posted at 2021/08/10 23:49:48 | コメント(3) | トラックバック(0) | 美術館・博物館めぐり | 旅行/地域
2020年05月06日 イイね!

「きたれ、バウハウス」展 ~アウディ乗りには少々関係あり~

「きたれ、バウハウス」展 ~アウディ乗りには少々関係あり~5月下旬に静岡県立美術館へ見に行く予定だった。
美術館のHPには、6日まで臨時休館。以降、準備が整い次第、開館予定と掲載されている。

バウハウス(BAUHAUS)とは、1919~1933年にドイツに存在した美術学校のこと。モダンデザインの礎を築き、現在でも建築やデザインの分野などで大きな影響を与えているそうだ。

私がバウハウスを知ったきっかけは、去年7月29日に開催された「Audi TT 日本導入20周年記念 “bauhaus 100 japan Talk Live”」の記事である。
デザイン関係にはとんと疎いので、バウハウスについては恥ずかしながらまったく知らなかった。

記事を読むと、どうやらTTのデザインはバウハウスの系統につながるらしい。なのでサブタイトルは「~アウディTT乗りに関係あり~」のほうがより正しい。

巡回展「開校100年 きたれ、バウハウス-造形教育の基礎-」を、アウディジャパンも協賛しているので見に行ってみようと思った。

 2019年8月3日~9月23日 新潟市美術館
 2019年10月12日~12月1日 西宮市大谷記念美術館
 2020年2月8日~3月22日 高松市美術館
 2020年4月10日~5月31日 静岡県立美術館
 2020年7月17日~9月6日 東京ステーションギャラリー

善は急げとばかりに新潟展へ向かった。
新潟は縁もゆかりもない地なのだが、知人の勧めで訪れて以来、独自の文化性に魅かれ、かれこれ6回も遊びにいっている。また道中のドライブがとても心地よい。

(HPより拝借:下中央にあるフォーリングスに注目)

新潟展が気に入ったら、静岡展をまた見に行くのもいいと思った。静岡へのドライブには気を付けないといけないこともあるが悪くはない。

ただしどんなに気にいっても、東京ステーションギャラリーは行く予定はなし。人混みのなかで見るのはストレスフルだし、ちょっと苦手。美術鑑賞はゆったりした気分で、のんびり眺めるのがよい。


ウナギ(インプレッサ)から交代して、chérieちゃん(A3)と行く初めての新潟 

新潟展について、少し。
9月16日(月祝)に開館時間に合わせて入館。館内は人もまばらでゆっくり見学できた。あまりの展示量の多さに2時間半滞在したが1/3は残してしまった。残りは静岡展で見ようと決める。

展示品を見るというより、それに勝るとも劣らない説明文の量。せっかくなので、一つ一つ読んでいくことにする。

印象に残った2つを紹介。


ワシリーチェアー(左)
世界初のパイプ椅子。木や布で作るのが当たり前だった時代に、スティールパイプで作ったことがスゴイ!
座ることもできたので、もちろん両方とも座る。右側(バルセロナチェア)は何となくchérieちゃんと座り心地が似ていると感じたのは、私の大いなる勘違いかもね!


(HPより拝借)
ユニバーサル・アルファベット
ドイツで何種類もあったアルファベットの表記を簡単にしてしまおう、という趣旨のもと考案された書体。(説明書きはいろいろあったが忘れてしまった)今見てもおしゃれな感じがする。こういうアルファベット、中学校の美術の授業でなぞったなぁ。

写真撮影がOKのところで撮影。

光を当てるといろんな色が見えるでしょうという体験ができる


目を閉じていろんな素材の肌触りを感じましょうという体験ができる

映画もあったけど、かなり独特でその意図は私にはよくわからなかった。ホラー映画じゃないけど、小さな子供が見たら確実に泣く。静岡展ではこれを最初から最後までとりあえず見たい。


(HPより拝借:下中央にあるフォーリングスに注目)

年末、美術館めぐりの好きな友達を誘ったら、「行く!」と言って先月これを郵送してきた。ラッキー!



4日にchérieちゃんの車内清掃をした。リアからフロントにかけてみっちり2時間、すみずみまで掃除機をかけ、キツく絞った布で水拭きをする。
一応、出かけるための準備のつもりだったけれど、今のところ開館されても私たちが県境を越えることはできないだろう。開催期間を延長してくれるといいのだけど。

chérieちゃんの中もキレイになった。
今週中におそとも洗ってあげないとね。バッチすぎるよ、chérieちゃん…苦笑


*もしバウハウスに興味を持たれたのなら、こちらのHPもおススメ
https://bulan.co/swings/about_bauhaus/
Posted at 2020/05/06 19:11:53 | コメント(2) | トラックバック(0) | 美術館・博物館めぐり | 旅行/地域

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