新東名高速の建設現場、神奈川の天空に巨大な橋が出現[空中ルポ]
新緑が輝く丹沢山地の南西部、神奈川県山北町に巨大な橋の建設が進んでいる。川面から橋桁までは30階建てのビルの高さに相当する最大約120メートル。あまりのスケールに、飛ばしたドローンと橋との距離感がつかみにくい。
2027年度に全線開通予定の新東名高速道路(神奈川県海老名市―愛知県豊田市)で、唯一未開通区間の新秦野インターチェンジ(IC)―新御殿場IC間にある 河内川こうちがわ 橋。「バランスドアーチ」と呼ばれる形式の橋で、橋脚からバランスを取りながら橋桁を左右に延ばすと同時に、それを支えるアーチ部分も張り出していき、最終的に大きな橋を完成させる。
東名(左奥から右手前に延びる道路)と新東名(右奥から左手前に延びる道路)が交わる伊勢原ジャンクション。交通量が多い東名に比べ、新東名を走る車は少ない。新東名の全線開通で、東名の渋滞緩和などが期待されている(神奈川県伊勢原市で)
「 急峻きゅうしゅん な地形にこの規模の橋を造るのはなかなかの難工事ですが、環境に配慮し、安全かつできるだけ短い工期で建設するために様々な工夫をしています」。中日本高速道路の秋山 渉あゆみ ・山北工事区工事長は説明する。
口を開けた顔のようにも見える先端部の足場は一辺約20メートル。移動式で、作業が進むと足場ごと動く。そのペースは2か月で6・5メートルほど。
山北町は足柄茶の産地。河内川橋の周囲にも、日当たりのよい斜面に茶畑が広がる。新茶の季節を迎え、緑が明るく輝いていた
オレンジ色のクレーンは「トラベラークレーン」と呼ばれ、こちらも工事の 進捗しんちょく に合わせて移動する。急斜面に立つ橋脚の麓に設けた作業スペースには、工事車両が通るために掘られたトンネルも。「経験豊かな作業員も、こんなのやったことがないと驚くことをたくさんやっています」
完成すれば、橋の長さは771メートル(上り線)、アーチ部分は220メートルで、バランスドアーチ橋としては国内最大級となる。橋の西側には山北スマートICができる予定で、観光振興のために同県山北町は、橋の景観を楽しむ眺望スポットの整備などを検討している。
新東名が開通すれば東京、名古屋、大阪の3大都市圏を結ぶ新たな大動脈が完成。災害時などには東名高速道路の代替道路としても期待される。天空の建設作業は、今も続いている。(写真と文・上甲鉄、伊藤紘二)
空中から精密に測量[ドローン最前線]
東京ドーム5個分にあたるエリアで造成が行われている山北スマートICの工事現場では、ICT(情報通信技術)がフル活用され、その一翼をドローンが担っている。設定した経路を自動航行する高性能ドローンがレーザーで地形を精密に測量している。
担当者によると、広大な現場の測量は、従来の方法だと1週間かかったが、ドローンだと3時間で行え、正確性や効率性が飛躍的に高まったという。データは担当者間で共有、施工の正確性を確認し、今後の施工計画などにも活用している。最先端の土木工事現場として多くの見学者が訪れている。
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2025/06/25 05:40:17