イグニッションコイル(点火コイル)の交換
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
![](/images/icon_difficult_on.svg) 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
昔からカー用品の定番、点火コイル。純正の黒いイグニッションコイルより綺麗でカッコいい?それともカッコだけ?…これは欧州車によく使われるイグニッションコイル。一次側の抵抗値は約3Ω。二次側は写真には無いですが10kΩと一般的な仕様。
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これもおなじみBOSCHのブルーコイル。これも上の写真のものとほぼ同仕様で一次側が同じく約3オームです。後期のサニトラでも交換用として多くのショップなどでも推奨しており 実際のユーザーの取り付けレポートなども多く、皆さん安心して使っているようです。
でも・・・ほんとにこれ私の乗っている後期のサニトラ仕様として合っているのでしょうか?結論から先に言えば適合としては厳密には間違っているようです。でも普通に使うにはそれほど体感できるような問題もないでしょう。
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R-B122の整備要領書を見ると純正のコイルの仕様としては 一次側は約1Ωです。(二次側は約10kΩですがとりあえずここは今はパスしておきます。)
交換は純正のコイルを使うべきですが、どうしても市販のカッコイイ見栄えのコイルにしたいなら、汎用的な1.5Ωの外付け抵抗を使うタイプのコイルにするべきでしょう。
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実際 後期のサニトラにショップ等によってはBOSCHのブルーコイルのような3Ωのものを推奨しているところもありますが R-B122の整備要領書の配線図を見ると しっかりECCコントロールとの間に抵抗が入っているようです。抵抗値は記載されていませんが、おそらく1.5Ωから2Ω以下と推測されます。
ただ、不思議なのは配線図にはあるものの肝心のレジスターが現車にはありません。もしかすると仕様変更でレジスターレスとなった可能性も・・・。(それとも1989年10月の整備要領書の配線図の間違い? どうやら部品カタログでも外付抵抗は廃止されているようですねー・・)
ただ、どのみち私のクルマの現車の新車からついているイグニッションコイルの一次側の抵抗値も約1Ωでした。
もっともフルトラの場合、従来のようなポイントで励磁時間を決めているわけではないので、抵抗の付け方はECCユニット側の設計次第でしょうけど。
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さてそれではまた話が戻って、3Ω程度の市販のコイル(この写真のものやBOSCHのブルーコイルなど)をそのまま抵抗を併せてつかうとどうなるか? 結論から言うと回路図の抵抗と組み合わせると合計の抵抗値が3+1.5Ω=4~5Ω程度になります。つまり抵抗が多く、もしおなじドエルアングルなら電流値が減ります。また少し専門的になりますがコイルのインダクタンスが大きくなるので、低回転ではほとんど問題ないでしょうが、高回転になると励磁時間が減り、結果的にスパークの力としては不足傾向になるでしょう。
つぎに車両の外付け抵抗を外して(あるいは抵抗が無いクルマの場合)3Ωのコイルだけにすれば合計では従来の点火システムと同じ抵抗値ですが コイル自体ののインダクタンスが1Ω程度の純正より大きいので 厳密に比較すれば理論的には特に高回転になるほど励磁不足傾向です。(ただ これでも実用回転域ではほとんど問題ないでしょう)
そもそもは高回転(短時間)でも十分励磁できるよう 純正ではわざわざインダクタンスの小さい1.5Ω程度のコイルにして、差分の1.5Ωの外付け抵抗をつけて3Ωにしているのですから・・・
ではなぜ多くのサニトラ後期のユーザーがBOSCHのブルーコイルのような3Ωのものをつけて あまり大きな問題がないのか? それは気が付かないからでしょう。そもそもサニトラでレースをしてTSサニーのように1万回転も回らないし、せいぜい街中では3000rpm以下でしょうから、多少スパークが悪くなっても気が付かないし、むしろ励磁時間をたっぷり取れればアイドリングに近いような低速域だけや始動時だけはもしかすると3Ωのほうが力強いスパークになるかもしれません。
まあ、そもそも昔は3Ωのコイルで抵抗なしというのが一般的でしたし・・・
まあ、心理的には純正の汚れた黒いコイルに比べてBOSCHのようなきれいなコイルや赤いコイルは気分的に火花が強い気がするのは誰もが感じることでしょうが わたしは理屈的にも心理的にもそうは感じません。純正通りの設計値が一番でしょう。BOSCHもイワシの頭と同じで自分がいいと思っていればそれはそれでプラシボー的な人それぞれ好みの問題と思います。
ただ、絶対に避けるべきは0.3Ω以下のようなCDI用のコイルの流用です。そもそもCDIは読んで字のごとくコンデンサに一度高電圧を貯めてスパークする方式のため まったく専用コイルとしてのシステムが異なります。 また可能性としては極端に抵抗値が小さくなり 勢い過電流ととなり、火花は大きくなっても ECCコントロールの焼損などのリスクもあります。
結論をいえば純正の1Ωのものを純正の抵抗と併せて使うべきですが、BOSCHのブルーコイルのような3Ωのもので抵抗なしでも 火花の低下は体感しにくいので 一言で言えば 薬にもならないが大きな毒にもならないといったところでしょう。(理論的には純正に比べれば毒になっているでしょうけど)
しかしCDI用のような0.3Ω程度のものは非常に焼損などの事故リスクが高まります。
昔のポイント式ならコンタクトポイントが速く荒れて、単に早めに交換となる(そもそも定期的な交換が必要な部品だった)。しかしフルトラ化されている今ポイントの接点はなくなり これをトランジスタのスイッチングで行っているのでここにダメージを与えると費用的にも大変なことになるでしょう。
また阪神やデンソーといった国産のコイルと BOSCHのような欧州製コイルですが、 私なら同じ新品同士なら確実に国産品を選びます。そもそも欧州、特にドイツの電装品の信頼性の低さは常識だからです。特に耐久性、信頼性など昭和40年代はひどいものでしたが、今でも決して良いとはいえませんね。
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