
走行距離がちょうど 66,666km になったタイミングで撮った1枚。
この写真を最後の記念にして、i3を降りることにしました。
i3自体は今でも大好きな車で、本当はずっと乗っていたかったのですが、
「技術的な事情」と「ライフスタイルの変化」が重なって、手放す決断になりました。
■ 3G停波とコネクテッド機能の終了
一番大きいのが 3G停波(2026年3月予定) の問題です。
i3は BMW のコネクテッドサービスを前提に作られていて、
スマホアプリからの リモートエアコン起動
バッテリー残量・航続距離の 遠隔モニタリング
走行ログやステータスの自動送信
など、通信ありきで成り立っている機能が多いです。
ところが3Gが止まると、車載モジュールが通信できなくなり、
これらの便利機能がすべて「ハード的には付いているけど、事実上使えない飾り」になってしまいます。
EVはバッテリーの残量管理や温度管理がガソリン車以上に重要なので、
そこが“オフライン車”になってしまうのは、正直かなりのデメリットだと感じました。乗車前遠距離からのエアコンONが無くなってしまうのはかなり痛かったです。
■ 観音開きドア(コーチドア)の構造的な弱点
次に、後席の観音開きドア の使い勝手です。
構造としては、
前ドアを先に開けないと後ろドアが開かない
閉めるときも「後ろ → 前」の順でしか閉まらない
隣に車や壁があると、前後両方を開くスペースが必要
という仕様になっています。
独身の頃や二人までなら「ちょっと変わったドアで面白い」で済んでいたのですが、
子どもが生まれてチャイルドシートを付けるようになると状況が一変。
後席の人が先に降りて
そのあと前席の人が外に出てから
それぞれのドアを順番に閉める
という「一手間」が、乗り降りのたびに発生します。
しかも、隣に壁や車が寄っている駐車場だと、
二人同時に降りると物理的にドアが閉められず、身動きが取りにくい場面も多々ありました。
観音ドアは構造的にピラーレスで見た目はクリーンですが、
赤ちゃんのいるファミリー用途での「繰り返しの乗り降り」には相性がよくないと痛感しました。

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やっつけですが、横に壁があって二人同時に降りるとドアも閉めれず、前後に移動できないのが伝わればと思います💦
■ 室内パッケージングと“今どき感”のギャップ
i3は車格のわりにホイールベースもあり、数字だけ見れば決して狭い車ではありません。
ただ、自分の感覚が 2000年代セダン基準 なのもあって、
後席は「まぁこんなもんかな」という印象だった一方で、
今の軽ハイトワゴンやミニバンを基準にすると
後席にチャイルドシート+大人が乗ると、やはり「狭い」と感じやすい
というギャップがあります。
電気自動車なので床下にバッテリーが入っており、
フロアが若干高めになる構造上、
どうしても“スーパーハイト系の広さ”を期待すると違和感が出てしまいます。
子どもが生まれてからは、
「常に後席にチャイルドシート+妻が同乗」という状況になり、
このパッケージングの差が毎回の移動でジワジワ効いてきました。
■ 10年目の節目と保証のこと
もう一つは 車齢10年 の壁です。
多くの販売店の保証は外車の場合「初度登録から10年」が上限
電気自動車は高電圧系・電子制御部品が多く、故障時の修理費も高額になりがち
という事情を考えると、
「中古車保証が付けられるうちに次のオーナーへバトンタッチする」のは一つの解だと思いました。
今回の個体は、車検が 令和8年12月 まで残っている状態での売却になりました。
次のオーナーさんが保証を付けているかどうかは分かりませんが、
10年ギリギリで購入
不具合はこの1年で洗い出して保証で修理
その後、もう1回車検を通して数年乗る
という使い方をしてもらえれば、
まだまだ戦力になる個体だと思っています。
自分で乗り続けるにしても、
さすがに 10年オーバーのEV になってくると、
電子部品や高電圧系のトラブルリスクは無視できません。
その前に区切りを付ける、という考えもありました。
■ 乗って感じた、i3という車
技術的な話ばかりになりましたが、
i3はやっぱり「攻めた設計の車」だったと思います。
カーボンボディ+アルミシャシーの軽さ
モーターならではの太いトルクと静かさ
独特のパッケージングとデザイン
今見ても、10年前の設計とは思えない部分が多いです。
だからこそ、コネクテッド機能の終了や保証の期限といった
“システム側の寿命”が、車本体より先に来てしまうのは、
ちょっと寂しくもあります。
■ まとめ
i3は、二人までなら最高に楽しいEV でした。
ただ、家族が増え、チャイルドシートを載せて日常の足として使うには、
観音ドアや室内パッケージング、そして今後の保証条件など、
いろいろと折り合いをつける必要が出てきます。
本当にいろんな場所へ連れて行ってくれた相棒でした。
技術的にも、思い出としても、忘れられない1台です。
ありがとう、BMW i3。
Posted at 2025/12/01 18:34:18 | |
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