ペイントプロテクションフィルム(PPF)の客観的評価
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
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10年ほど前から本格的に実用化し、特にスーパーカー御用達となっているPPFによるボディ保護。嘗て一世を風靡したガラスコーティングも2020年現在、出番を失うほどの雲泥の性能差ではないだろうか。
ところでPPFの効果は値段に見合うか、また何年持つのか。考え方によっては本質的に両者は同じ質問のように思う。
本邦においては3年~5年で貼り替え(再施工)をするよう推奨しているWebサイトを散見する。しかしながらPPFあるいはラッピング技術が登場してまだ10年経っていないので、そもそも論、真の答えは「闇の中」と言うのが皆の本音だ。
施工費も年々コストダウンはしているもののフルボディで100万円程度、あるいはフロントで30万円程度出費からは下がらないだろう。故に私見ではあるが、仮に耐用年数わずか3年であれば厳しいし、反面10年も持つのであればコスト的にガラスコーティングは完全にシェアを奪われると言えるのではないか。
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さて、自分の愛車のPPFがどれほどの傷をボディの代わりに吸収してくれたかを知るにはとても簡単な方法がある。
XPEL製のPPFの素材は0.15mm厚のポリウレタンであり、経年による黄変が少なく透過性が高い。
この「透過性が高い」ということは、光を伝送する。これは当然のことであるが、経年の傷を知る上で重要な要素となる。このような透明度の高い物体を周囲を反射率の高い素材で覆った「光ファイバー」の実験理論を考えてもらえば理解されやすい(PPFは有機物だが)。
早速、暗い環境でボンネットの裏側から実際にLEDで強い光を当てると、写真のごとく光はPPF内部を通り表面まで回折する。
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すると本来透明度が極めて高いポリウレタンの膜の中で、屈折率のおかしな部位(つまりPPFの傷)がある場合は光がその場所で中断して拡散するため、さながらプラネタリウムにおける星座のごとくPPFの傷が浮き上がる仕組みだ。
(当たり前だがこれはボンネット自体が透けて光っているわけではない。しかしながら分厚いアルミニウム板が全体に光っている様子はある種のギミックじみた面白さを感じる。)
本来、自己再生機能を持つTPUが不可逆な傷を受けるのは相当な衝撃だ。つまりPPUが無ければガラスコーティングなどではボディ損傷は回避出来なかった傷という事だ。
皆様の愛車はいかがだろうか。
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余談だがこれは洗車時にワイパーを立てたままボンネットを開けてしまった時の接触傷。日中の太陽光下ではグレーの線傷に見える。…そういった場合一見すると塗装に損傷が無いか悩ましいが、この確認方法で傷が光っていてボンネットにその影が出来るならば、心配せずともフィルムまでの深さの傷である(もっと言うと、爪で押すと傷が動く)。
PPFのおかげで自分の愛車はボディ塗装を損傷することから何度も救われている。強力なワイパー傷などは、PPFが無ければ洗車時にその場で号泣していたことだろう。GT3RSヴァイザッハPKGのカーボン製ボンネットであればワイパーヒット一発で、修理費は300万円だ。
5年のPPF使用で若干黄変しているものの、それが気にならなければこのまま10年は耐用可能なのではないかと見ている。重要なことに、TPUの白濁は全く見られない。
もちろん剥がせば全く傷の無い新車当時のボディが蘇ることだろう。
今後PPFはより万人に馴染みのある価格へ落ち着いてくると思われる。信頼の出来るメーカーの商品を選択することが安心にも繋がるであろう。
【追記】XPELのブースで確認。ULTIMATE〝PLUS〟なら屋内保管で10年は余裕そう。
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