
ゴールデンウィーク真っ只中の5月某日…晴天に恵まれたスーパーGT第2戦 富士スピードウェイ500Kmレースの火蓋が切って落とされた。
■出発前夜
戦地へとおもむくRYUへの餞別として頂いた”お供え物”…でそろえたといっても良い装備品をチェックする。
一つ一つ手にとって最終チェックをしてゆくその中に…RYUを初めてレースの世界へと迷い込ませた”乙かれ!さん”からもらった高級レーシンググローブがあった。
グローブを手に取り思いにふける。
2010年、今でも忘れることの出来ないデビューレース。大会数週間前にいきなりS耐出場が決まり、”乙かれ!さん、よっちゃん、RYU”の3人で灼熱の岡山を汗だくになりながら4位完走を果たしたことを思い出す。
楽しさよりも周りに迷惑をかけないように、壊さないように、と緊張していた。
…あれから、わずか10数レース後
今度はスーパーGTという舞台で、忘れかけていた”あの緊張”を再び味わうことができるのかとおもうと、少しなつかしくもうれしい気持ちになっていた。
■予選日
12時間の自走の末、たどり着いたFSWでは、朝のフリー走行、そして公式予選の準備が黙々と進められていた。
ほとんど練習走行が無い状態で本番へと突入するGTはそこが難しい。持ち込みのセットとタイヤがある程度決まってないと…丸腰で戦地の最前線へ送り出されるようなものだからだ。
今年お世話になる360号車は同じ地元のTanaka選手とYoshida選手…そしてRYUの3人ドライバーがいる。今回のFSWや鈴鹿1000kmの長丁場は3人で乗り、その他のレースは編成を入れ替えながらの戦いとなる。
朝のフリー走行後、予選はYoshida選手がQ1…そして、上位13位以内でQ1突破に成功すればQ2はRYUの担当になった。。。
■公式予選
皆が固唾を呑んで見守る中、Q1が開始される…
経験豊富なTanaka選手がRYUの横でモニター見ながら
「RYU君、緊張してきた??笑…どうする?Yoshida選手がQ1突破したら、いきなりのデビューレースでQ2予選だよ(笑) いやぁ~たのしいなぁ♪ ギリギリ13位で突破ならいいけどそれ以上だったら順位落とせないからなぁ~ハハハハハ☆」
いきなり経験の無いRYUを予選に乗せてくれるTanaka選手に感謝しながら、緊張を極限まで高められるRYUなのであった。
そして、Yoshida選手Q1を11位で突破(RYU泣笑)
すぐさまQ2の準備にとりかかる。
マシンに乗り込み、開始時間を待ちながらコース1周をイメージする。
いよいよQ2開始の時間が来た。
マシンのエンジンを始動するように指示が飛ぶ。
イグニッションスイッチをオンにするRYU。しかし…あれ!?、電源が入らない???
何度もスイッチをパチパチする…が、、
見かねたメカニックが助手席のドアを開け「こいつ大丈夫か?」という生暖かい目線でRYUを見ながらコンソールのメイン電源のボタンを押してイグニッションに電源が来た。。。
…そう、RYUはメイン電源があることさえも知らなかった(押したことがなかった…もう少しマシンに慣れなければ(T_T))
Q2はQ1よりも走行時間が短く、10分程度しかない。
タイヤは本番ローテーションの問題で5周程度使ったユーズドだが、状態は良い。
GTマシンの経験が少なく、グリップの良いタイヤと軽い燃料の状態での走行が始めてなのでタイヤを壊さないようにタイムを上げてゆく。
そして、順位は落としたくない。(むしろ上げろとの指示が飛ぶ…)
ライバルも鬼の形相でタイムを刻んでくる。。。
アタック2~3周目のタイムで、12位に落ちてる…
泣きの一発で11位を奪還…そして予選終了。
決勝11番グリッドが確定した。
■決勝
57、000人以上のファンが見守る中…500kmにも及ぶレースの火蓋が切って落とされようとしていた。
360号車の作戦は、スタートYoshida選手、2番手RYU、最後のスティントをTanaka選手。
作戦的にはスタート、セカンドを燃料満タンのロングで引っ張り、最後のピットストップのロスの分を稼ぐ作戦。燃料満タンの走行限界は40周。
作戦の確認を終え、前座で行われているPCCJをモニターで見ながらお弁当を食べる。
おなかいっぱいになって気が緩んだのか、居眠りしてしまい、気がつくとレース進行がスタートしてマシンはグリッドに向かっていた。…何事も無かったようにグリッドへと足を向けると、居眠りの証拠写真をニヤニヤしながら見せてくる薫カメラマン(T_T)
グリッドウォークが終わり、いよいよ決勝がスタートする。
2周のフォーメーションラップの後、シグナルグリーンでGT500クラスがスタートを切ると、続いてGT300クラスも無事にスタートを切った。
最初のスティントからマージンのほしい状況下の4周めに突入した直後、ホームストレートで88号車がコンクリートウォールに接触しバラバラになっている状況がモニターに映し出される。ドライバーは無事なようで一安心…SC導入で数週ひっぱりレース再開後、走行を続ける360号車。
そして18ラップに差し掛かったところで再びSCが導入された。
ここで、作戦を切り替えたチームがピットインを始める。
今回、2回のピットインが義務付けとなるレギュレーション上、タイムロスの少ないSC中に1回目のピットを済ませ、有利に展開を進めることが出来るからだ。
燃費やタイヤの作戦上ギャンブル性が高すぎるためピットインの選択ができない360号車はマージンを失う。
SC中に1回目のピットストップを行ったチームが後ろに沈んだため、40周引っ張った状況で見た目上は上位まで順位を上げるも、ルーティン1回目のピットストップと満タン給油で順位を落としてゆく。
そしてRYU担当の第2スティント。SCの介入もなく、40周引っ張り、見た目上はシングルの位置につけるが…結局2回目のピットストップで順位を落としてゆく。。。
終スティント、前を行くアストン、R8を射程に捕らえたペースではあったものの、16位でチェッカーを受けることとなった。
悔しさの残るレースとなったが、しかし、無事に完走を果たしデータと経験をつむことが出来たスーパーGT FSW。チーム一丸となり次回ポイント獲得を目指し、オートポリスへ全力をかたむけるのであった!!
応援してくださった皆様、ご支援いただいた皆様、チームの皆様、本当にありがとうございました。