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2021年02月22日

市販車パーツをレーシングカーに使うという非常識!

市販車パーツをレーシングカーに使うという非常識! 納車まで間が持たないため、色々過去の文献を読み漁っています。私がかつて911でサーキット遊びにハマっていたころに、スポーツドライビングの教科書として愛読していた『ポルシェ911ドライビングバイブル』(中谷明彦著・三推社◎講談社)を読み返してみると、大変興味深い記載がありました。空冷ポルシェ乗り、または空冷ポルシェをこれから買おうという人以外にとってはあまり興味のない内容になるかと思いますので、スルーしてくださいw。

以下抜粋:ー

「(前略)962Cは当時のグループC規格にそって生まれた耐久レース用のマシンで、先代の956からの流れを受け継いだポルシェ最強のレースカーだ。すでにル・マン24時間レースを数年勝ちつづけ、日本国内の耐久レースシーンでも無敵を誇っていた。(中略)そんな962Cをドライブして感じたのは、「どこかで運転したことがあるな」と思わせるドライブフィールだった。間違いなく初めてのレースマシンであるにもかかわらず、懐かしい感じさえしてしまうこのフィールはいったいなんだ?答えはすぐに見つかった。実はこの962Cをドライブするにあたり、サーキットへと足を運んでいたわけだが、その足として当時デビュー間もない911カレラ4(タイプ964)を使っていた。そのカレラ4と962Cがじつに似たフィールをもっていたのである。

(中略)私の感覚に伝わるクルマからのインフォメーションはとても似て居た。それはエンジンの回るフィール、ミッションや駆動系の回転フィールやバイブレーション、ミッションがリンケージするときのシフト感、さらにはコクピットに座っていて感じられるクルマからのさまざまなインフォメーションだ。いったいこれはどういうことだ?と考え込んでしまった。(中略)その時にチーフエンジニアであるノバ・エンジニアリングの森脇基恭氏が答えを見つけてくれた。「中谷、見てみろこのクルマ(962C)、911とほとんどパーツを共有しているぞ」と。彼は962Cのパーツリストを示しながらいった。見てみると962Cのパーツの多く(特にエンジン関係)は、部品ナンバーが「911-」で始まっていた。911-930-○○とか、911-964-○○とかいった具合にだ。おわかりのようにこれは930の911あるいは964の911のパーツナンバーである。つまり、962Cには市販ロードカーの911と同じパーツがふんだんに用いられていることを示していたわけだ。

これはとんでもないことだ!と思った。レースカーとロードカーでは要求性能がまったく異なるのだから、用いられるパーツは精度もコストもまったく次元の違うものとなる、とそれまでは一般的に考えられていた。当然レース用のパーツは高価で、それをロードカーに用いたらとてつもなく高いクルマになってしまう。しかし、ポルシェはその逆をやっていた。つまり、ロードカーのパーツをレースカーに用いていた事になる。普通のクルマでもんなことをしたら、間違いなくレースカーとして成功することはない。しかし962Cはル・マンで何度も優勝し、しかも私をデビューウィンに導いてくれた。レースカーとしては疑うべくもなく大成功を収めたクルマなのだ。

つまり、こういうことだ。「ポルシェは市販の911をレースカークオリティで作っている」のだ。とすると、例の1000万円という価格はとてもリーズナブルなものといえる。いや962Cが1億円以上したことを思うと、むしろバーゲンプライスに思えて来る。従来の尺度でとらえていたら、この居住性、実用性、大きさで1000万円という価格設定が無意味なものに思えていたのだが、事実を知ってからは本当に納得のいく価格であると理解できるようになった。(中略)おもしろいことに、911オーナーは逆に911をサーキットで走らせてみたくなるものなのだ。それはおそらく、911はロードカーだが中身はレーシングクオリティが息づいているからに違いない。」


これを十数年前に初めて読んだ時には衝撃でした。今改めて読み返してみても衝撃です。衝撃を通り越して畏怖の念さえ抱きます。964の心臓部であるM64ユニットはレーシングカーと基本設計を同じくし、その911が水冷化されてもGT3系やターボ系に引き継がれることとなります。メンテナンス性の悪さから、ついに997型の後期型でこのドライサンプ式レーシングユニットはポルシェの表舞台から姿を消す事になりますが、一時代を築いた名ユニットであることは間違いありませんし、耐久性という点でも折り紙付きだということが良く分かります。

私は殊更に空冷911が優れているとは思いません。どの時代の911も、その時代で最高の技術をポルシェAGの技術者が結集した結果、生まれた孤高のスポーツカーだと思っています。先般、992GT3が発表になりましたが、驚異のニュル7分切、まさに最新のポルシェは最良のポルシェです。でもね。どの時代の911も最高なんですよ。ポルシェは新車であれ、中古車であれ、買った者にしか分からない良さ、凄さがあります。ポルシェを買うという事はポルシェの歴史を買う事でもあります。本音を言えば、全世代の911をガレージに並べたいというのが私の率直な願望ですw。

納車まであと5日♪
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Posted at 2021/02/22 14:39:40

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この記事へのコメント

2021年2月22日 15:28
空冷911は未知の世界ですが最後の文言は響くものがあります(^^)
brack frogさんにとってこの964は序章にすぎないのかもしれませんね、いや末恐ろし〜〜。
コメントへの返答
2021年2月22日 21:31
私にとっては、必ずしも空冷だから特別というわけではなく、どの世代のどのポルシェも特別な存在です。

残念ながらサーキット遊びは卒業式してしまったので、GT系に乗ることは恐らくもう無いと思いますが、代わりにレーシングスピリットが宿る964を愛でたいと思います^_^。
2021年2月22日 19:40
こんばんは。
宇宙戦艦ヤマトみたい…いや、秒読み開始ですね(笑)
最近でこそネオクラッシックとして扱われていますが、964が現役だった頃の書籍や雑誌を読むと、なかなか面白いです。
初期のターボのブレーキキャリパーなんて、917のそれですからね。
ファラオの棺みたいです。
それにしても楽しみですね~
コメントへの返答
2021年2月22日 21:44
あはは、宇宙戦艦ヤマト、って(笑)

959からの派生モデルで、結局開発途上で幻と化した965が964の原型というのは有名な話ですよね!

パリダカで活躍した959のスピリットを引き継ぎ、ル・マンで優勝しまくった962Cと多くのパーツを共有する964は正にレジェンダリーなポルシェですね(^^)

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何シテル?   08/09 17:43
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