
992のマイナーチェンジ情報が錯そうしています。一説に拠れば数カ月以内に正式アナウンスがあり、最初はICEとマイルドハイブリッドが併売になる、とか。はたまた別の一説に拠れば、前期型バックオーダーがまったく捌き切れていないため、992.2は当初の予定から6か月~1年先送りになり、当面現行992.1のみ販売を続け、途中からマイルドハイブリッドを追加投する、とか。
まあ所説ありますが、992後期型について最大の注目ポイントは➀カレラ系でNAエンジンが復活するのか、➁ハイブリッドモデルが追加になるのか、の2点に尽きるように思います。で、結論から言うと私は現時点で
カレラ系NAモデルの復活にはかなり懐疑的です。と言いますのも、基本的に今後欧州排ガス規制が厳しくなることはあっても、緩くなることは無く、いわばNAはすでに絶滅が運命づけられた技術だからです。メーカーというものは未来に向けて開発なり、投資なりをしていくのが普通なので、時代に逆行することは
ユーザーサイドの幻想であるように思います。911に限らず、ポルシェ全モデルのハイブリッド化、そして最終的にはEV化は
規定路線だと思ってまず間違い無いと思います。
で、そもそも何故皆それほどNAが良いのでしょうか?確かに、ターボラグがあったり、高回転化が技術的に難しかった時代(もう10年以上も前の話です)は
NAの良さが光っていました。カミソリのようなレスポンスや高回転までのふけ上がり、またリニアなパワー特性もサーキット派のような本気で走る人にとっては
大きな魅力でした。しかし、ターボ技術もここ10年ほどで飛躍的に向上しており、
ドッカンターボなんてとっくの昔に死語ですし、PDKとの相性もあって
ラグ?何それ?という状況です。とにかくレスポンスが良く、低回転からのトルクの立ち上がりは凄まじいです。パワーも高回転まで綺麗に出ています。
実際、データを見て見ましょう。これは海外のフォーラムでは有名なグラフですが、991.1と991.2のエンジン出力特性を比較した物になります。991.1はトルクカーブ、パワーカーブともに非常に緩やかで、トルクについては常用域でのもっさり感が目立ちます。実際、991前期型までの911はRRなのでトラクション性能こそ高いですが、実際に体感的な速さはそれほど感じません。一方で、991.2のグラフを見ると、違いは一目瞭然、2000回転以下でピークトルクを発生し、パワーカーブもとてもターボとは思えないほどフラットでリニアです。逆にパワーカーブに盛り上がりが無さ過ぎて、つまらないと感じる人が居るのも頷けます。
一方、下のグラフは992.1カレラSのグラフですが、991.2とほぼ同じような印象です。8000回転オーバーまで回るGT3ユニットとは明確に味付けが異なりますが、ストリートメインで乗る分にはまったく過不足ありません(というか、公道で7000回転以上回す場面ってありますか?)。たしかにトップエンドでは
やや頭打ち感が出てしまいますが、そもそもそこまで使い切る事はほぼ不可能と思われます。むしろ低回転域のトルク感の方が体感的には「速さ」を感じるので、こちらのパワー・トルク特性の方がむしろスポーツカーとしてはらしさを感じられると思います。
あとはサウンドですが、GT3系を除くカレラ系では私は996~997前期NAのサウンドが一番乾いていて好きです。空冷も悪くはないのですが、粒の揃った如何にも高性能なエンジンという雰囲気は996~997前期型がベストです。高回転域まで回していくとシャーンと更に粒の揃った音に変わり実に心地の良いサウンドです。これが997後期型にになると、直噴化の影響なのか、触媒の影響なのか、残念ながら一気に
もっさりとしたサウンドに変わってしまいます。で、991後期型に至るまでエンジンそのものは良いんだけどサウンドはイマイチ・・というのが私の偽りなき印象です。
ところがところが、992前期型になると直噴ターボエンジンとは思えない
乾いたサウンドに戻っていました。スピーカーから音を出しているとか色々揶揄されますが、実際にキャビン内で聞く限りは992のサウンドは十分満足の行くモノです。GFPが変更になった、という話もあり私も992カレラTは唯一サウンドが心配でしたが、少なくともYouTubeの車載動画を観る限り、私の996C4S(純正スポーツエギゾースト+社外エキマニ)に匹敵するサウンドを奏でていました。遮音材が省かれているのも良い方向に働いているようです。296のV6ハイブリッドもそうですが、百聞は一見に如かず、ですね。
レスポンス良し、サウンド良し、フィーリングも悪くないとなれば、
ターボエンジンのネガはほぼ払しょく出来たのではないか、と個人的には思っています。ハイブリッド化についても私はどちらかというと肯定的です。これは296GTBに乗ってみて、
スポーツカー新時代の幕開けを目の当たりにした、というのが一番大きいのですが、とにかくモーターアシストを上手く使えばターボエンジンを搭載したスポーツカーが内包するネガをほぼ完全に払拭することが出来るのではないか、と考えています。唯一の懸念材料は
車重増です。現行911はそれでなくとも軽いとは言い難いクルマなので、ハイブリッド化を前提としてどこまで軽量化出来るか、は重要だと思います。
極論すれば、空冷ナロー並みに軽量コンパクトに造れるのであれば個人的には
911のEV化もアリだと思っています。むしろ、見た目ナローで中身最新EV、インホイールモーターのRRとかだったらめちゃくちゃ愉しそう!ICEにはもちろんICEの良さが有りますし、それを否定する気持ちは毛頭ありませんが、そろそろ911も様々なシガラミから解放されて、最新・最高の技術を惜しみなく投入した形で造ってもらいたい気もします。ポルシェにとっての「最適解」がどうなるかはまだまだ未知数ですが、向こう数年間は試行錯誤が続くと思います。
過渡期だからこそ楽しめるモデルというものもあるハズなので、頭から毛嫌いするようなことなくフラットに見守りたいと思います♪
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Posted at
2023/02/03 14:27:24