
良く分からないタイミングで、ヘリテージシリーズ第2弾の「911 S/T」が発表になりました。今年は
911生誕60周年に当たる年で、これまで10周年毎に記念モデルが登場していたので、未だかと待ち望んでいた方も少なく無いと思います。そして、従来から噂されていた通り、
911 S/T(SとTの間にスラッシュが入ったのは予想外でしたが)という名称で登場しました。
911 S/Tは、初代『911 S(ST)』のスピリットを、ポルシェ911の最新モデルに表現したモデルだそうで、911の生誕年である1963年にちなんだ
1963台の限定生産だそうです。国内販売価格は
4118万円と、ついに4000万円の大台を突破しております(汗)。本モデルは、911 GT3 RSのパワートレインに、911 GT3ツーリングパッケージのボディを組み合わせ、911 S/Tのために特別に開発された軽量コンポーネントを採用しています。フロントボンネット、ルーフ、フロントウイング、ドア、ロールケージ、リアアクスルのアンチロールバーなどを、すべて軽量なCFRP製としています。
この他、マグネシウムホイール、PCCB、リチウムイオンスターターバッテリー、軽量ガラスを標準装備、断熱材の削減、リアアクスルステアリングの省略、パワートレインの軽量化により車両重量は1380kgに抑えられました(カレラTよりも100kgも軽く、992型としては、最も軽量なモデルです)。この軽量なボディにGT3 RS用の4.0Lフラットシックスを搭載(最大出力525hp)、ショートレシオの6速MTが組み合わせされます。また、911 S/T専用に新しい軽量クラッチを開発。シングルマスフライホイールとの組み合わせにより、回転マスの重量を10.5kg削減し、レスポンスが向上しているとのことです。
さあここまで読んで、いかがでしょうか?GT3RS譲りの自然吸気エンジンを搭載したMTモデル!最高のドライバーズカー?!しかも限定1963台!!プレミア必至?!!!と思われる方も多いかと思いますが・・私の中ではいくつかの
看過できない矛盾点があり、(どうせ枠なんてくるハズもないでしょうが)今回は見送りを決めました。購入を決めている方、前向きに検討なさっている方にとってはあまり耳心地の良い内容ではないと思いますので、該当する方はこの先はスルーでお願い致しますm(__)m。
矛盾点① ヘリテージ
911S/Tというモデル名、初代「911S(ST)」にちなんだとのことですが・・当時はそもそも初代911の高性能バージョンとして位置づけられたモデルで、現在で言う所の「カレラS」のような立ち位置だったハズです。そして、現在で言う所のGT3やGT3RSに相当するモデルが「カレラ(=ラテン語でレースの意)」という名称を与えられました。つまり、カレラ系>>911/911Sという関係性でした。しかし、今回の911S/TはGT3系の派生モデルで、まったく成り立ちが異なります。GT3ツーリングパッケージのフォアグラ・キャビア載せ(笑)のような内容となっています。まあ要は「全部載せ」状態のパッケージングでおよそ元祖911Sとは違うモデルとなっています。S/Tという名称はどうしても
無理やり感が漂います。
矛盾点② デザイン
一見カッコいいですよね、911 S/T。特にこのイメージ写真のブラックは
非常に引き締まっていてカッコイイですし、軽量マグネシウムホイールもスペシャル感があります。しかし、詳細に見てみるといくつかチグハグな点があり、気になります。まず、ヘリテージモデルなので旧車へのオマージュということなんでしょうけども、サイドガラスモールがメッキになっています。これはスポーツ性を前面に押し出したモデルとしてはどうなんでしょう?クラシックな印象を狙っているのでしょうが、先進的なデザインのMgホイールとはいかにもアンバランスです。リアのエンジンフードは通常モデルの縦ルーバーからメッシュタイプに変わっていて、これは良いと思いますが、ぱっと見はTPそのものです。
矛盾点③ 走行シーン
ポルシェはこのモデルをGT3/GT3RSと違い、
ストリートをターゲットにしたモデルと明言しています(まあそう言わないとGT系の立つ瀬がないですからね)。このため、リアアクスルステアリングも(軽量化のため)省いていますし、高速域で強力なダウンフォースを発生するリアウィングを持ちません。であるならなぜフルバケットシートが標準なのか?何故そこまで軽量化にコストを掛ける必要があるのか?
なぜリアにロールケージを持つのか?(OP設定であることが判明)ストリートユースであれば、どれも
不要な装備です。端的に言って、
私の中ではこのクルマを活用するシーンがどうも思い浮かびません。サーキットユースメインならGT3/GT3の方が理に叶っていますし、ストリートメインならどう見ても過剰装備でしょう。
ポルシェはモデル毎にテーマを掲げて世に送り出すワケですが、911S/Tについては大排気量エンジン終了前の
コスト回収のためにマーケティングありきで作られたモデルなのではないか、と推察します。このクルマが、通常のカレラボディで、軽量化の外装パーツはOP設定、ただしエンジンだけは4.0L自然吸気のモノだったらかなり個人的には食指が動いていたと思います。あの珠玉のエンジンは(やや使い回され過ぎている感もありますが)、やはりそれだけ
価値があると思います。しかし、現状2シーターモデルでしか楽しめないという縛りがあるので、せっかくの60周年記念モデル、
911=4シーターという強味を活かして敢えてカレラボディで出して来たていたら・・と思わずにはいられません。
まあ飽くまで個人的な意見ですし、恐らくこの公式発表を経てすでに各ディーラーでは
争奪戦が勃発していることでしょうw。が!私は本モデルについては、上記矛盾点が看過できないので、敢えて見送りたいと思います。992.1は恐らくこのモデルを以て終了、今冬から来年にかけて992.2の正式なアナウンスがあるものと思われます。992型で有終の美を飾るヘリテージモデルはナナサンカレラの再来、「911カレラRS」と噂されていますので、ダックテールの採用も含め、こちらには大いに期待したいと思います^^。それまでにタイカンを3台くらい買っておけば、ウェイティングリストに載せてもらえますかね?ww
※カーコンフィギュレーターの反映を受けて一部加筆修正しました
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Posted at
2023/08/02 14:31:16