
まず最初に、私は経済のプロフェッショナルでも何でもありません。一クルマ好きに過ぎませんので、この点を踏まえて読み進めていただければ、と思います。さて、米国のインフレ抑制のための
金利上昇政策が止まりません。FRBは度重なる政策金利アップを行い、ついに今年に入りユーロ圏も重い腰を上げて追従し始めました。もはや世界の先進国でゼロ金利政策を推し進めるのは日本だけという状況です。
さて、欧米では
中古車販売業の倒産が過去最多を更新し続けています。北米ではもはやこの状況をcrisisと位置付けていて、金利上昇が始まった欧州も同じ道を辿るのではないかと言われています。何が起きているのか。政策金利は、メガバンクはもちろんの事、地方銀行や信用組合、果てはファイナンス会社の金利にも影響を及ぼすことは皆さんご存知の通りかと思います。日本では長らくゼロ金利が続いた影響で、ファイナンス会社(ローン、クレジット)も世界と比較すると
驚くほどの低い金利水準となっています。つい最近まで欧州でも似たような金利でしたが、ここに来て新車ローンで6~8%、中古車に至っては10~12%という金利になって来ているようです。
そもそも我々がなぜ中古車を買うのか、というと基本的には「新車よりも安いから」です。しかし、現金一括ニコニコ払いという人は世の中そう多くはなく、ほとんどの場合住宅ローン同様、ファイナンス会社と
ローンを組んで購入することが多いと思います。さて、例えば新車価格が500万円、中古車価格が400万円のクルマがあったとします。当然車両価格だけを見れば400万円の中古車の方が100万円安いわけですが、上記の金利を当てはめてみるとどうなりますでしょうか。前者で6%の金利だと、最終的に手数料は80万円となり、合計約580万円になります。では、後者で12%の場合は、というと手数料が約140万円となり、合計約540万円となります。
つまり、現金での差額は100万円あったわけですが、金利のマジックで、最終的な支払金額の差額が
新車と中古車で40万円まで縮まります。これは500万円という元金のケースですが、元金が大きくなればなるほど当然金利の影響は大きくなるので、ある金額以上になると「逆転現象」が起きるワケです。この事により、欧米では中古車の売れ行きが著しく鈍ってきていると言われています。そんなに差がないなら、新車にしておこうという心理が働くワケですね。日本では当面ゼロ金利政策が続くでしょうから、ただちに日本の中古車の販売が影響を受けることは無さそうですが、「海外ルート」が減速する影響は避けられないように思います(為替レートの値動きもあるので、そう簡単な話ではありませんが)。
中古車が売れない→買取価格が下がる→買い換え意欲が減退する→さらに中古車が売れなくなるという
負のスパイラルに陥っても不思議ではありません。したがって、これからクルマを買う際には、新車にせよ中古車にせよ、買い替え前提ではなく
ある程度長く乗る事を前提に考えた方が良いかも知れません。ほんの2年ほど前までは空前の中古車バブルと呼べる状況があり、下手すると買った時よりも高く売れるという
珍現象まで起こっていましたが、これからはそういうワケには行かないように思います。クルマの売却を考えている方は、まだ国内中古車市場に余力があるうちに売り抜いておいた方が良いかも知れませんヨ!
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四方山話 | クルマ
Posted at
2023/08/09 14:30:42