先日、みん友さんのlidocaineさんにお願いして、991.2カレラに試乗する機会をいただきました。当日は992カレラTで行き、大黒PAで合流。991.2を試乗させていただき、その後自分の992カレラTに乗り換えて世田谷まで968を見に行ったので本当にside by sideの比較をする事が出来ました。991のMTは初でしたので、大変貴重な体験となりました♪
さて、まずlidocaineさんの991.2カレラの仕様ですが、左MT、スポクロなし、スポエギなしという本当にうどんに例えるなら
素うどん みたいな仕様w。ここまで「素のモデル」というのも珍しく、逆にこのモデルの素性が大変良く分かったように思います。おさらいをしますと、991.2は2016年に、991.1のマイナーチェンジ版として登場しました。大きなトピックスとしては、前期型カレラが3.4LNA、カレラSが3.8LNAだったのに対し、後期型は同じ3Lという排気量の
ダウンサイジングターボ・ユニット に変更となりました。デビュー当初、
カレラ系なのにターボ?? という、MCやFMCの際に恒例となっている「批判の声」が巻き起こったのは言うまでもありません。また、このユニットは基本的にこのまま992.1にキャリーオーバーされることになります(992.2カレラもタービンと冷却系以外は同じユニット)。ちなみに991.2には後にカレラT、カレラGTSという派生モデルも産まれましたが、残念ながら日本ではいずれもPDKのみ、という選択でした。すなわち7MTが選べたのは、カレラとカレラSのみ=非常にタマ数が少ない、ということになります。
もう一つの性能面での大きなトピックスは全車に
PASMが標準装備 となった事。また、992にも引き継がれることになりましたが、991.2カレラSではスポーツPASM(10㎜ローダウン)に加え、ポルシェトルクベクタリング(PTV)、ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)、そしてリアアクスルステアリング(RAS)もオプションで選択出来るようになりました(素カレラではこれらのオプションは選択出来ませんでした)。インフォテインメントシステムも刷新され、Apple Car Playにも対応するようになりました。外装のフェイスリフトも一目でそれと分かる内容になっており、前期型との差別化が図られました。とまあ、MCと言いながら
実質FMCに近い内容 となっています。本題から逸れますが、昨今のポルシェは前期・後期よりも、
前モデルの後期と次期モデルの前期の方がキャラクターが近い ように感じています。997前期(ポート噴射NA)→997後期(直噴NA)→991前期(直噴NA)→991後期(直噴ターボ)→992前期(直噴ターボ)→992後期(ハイブリッド導入)といった具合に。
さて、おさらいはこのくらいにして、試乗インプレに移りたいと思います。991.2の外観は、992と
似て非なるモノ です。実際に見比べてみると分かるのですが、991.2のほうが996から連綿と続く凝縮感のあるシルエットを纏っており、992は
一気にグラマラス になっています(実際の車幅の差は50㎜にも満たないのですが、それ以上に差を大きく感じます)。これは内装にも言えて、比較的
タイト で
コンパクト な991.2の室内空間に対し、992のそれは広く(悪く言えばユルく)感じます。今度機会があれば、内寸の実寸比較をしてみたいと思います。クルマの実際のサイズ差以上に992がデカく感じる要因、一体感を感じにくくする要因がここにはあるのではないか、と思います。実際991.2のシートに身を置くと、座った瞬間から
クルマとの一体感 が得られ、996~997世代に慣れ親しんだ身からすると懐かしさを覚えます。992に乗ると、デカさになれるのにちょっと時間がかかるのに対し、991.2は0秒で馴染みます。メーターはアナログ、物理スイッチもややうるさすぎるきらいもありますが、操作性の良さが光ります。カップホルダーの位置も素晴らしい!w
シフトは直前にlidocaineさんが
ショートシフターに換装 していたようですが、小気味良く決まります。992カレラTは最初からショートシフターが入っており、同じZF製7MT(PDKベース)と言いつつ、大分フィーリングが違います。よくGT3のゲトラグ製6MTがフィーリング最高とか言われますが、個人的にはこの991~992の7MTで何ら不満はありません。クラッチについては、個人的にはやや軽すぎる992に対し、991.2は程よいです。とは言え、997世代以前のように渋滞路で脚が攣るほど重いワケでもなく
良い塩梅 です。やはり操作系というのは
ハンドル、ペダル、シフトすべての重さやストロークが調和して初めて一体感を得られる んですよね。そういう意味で991.2は
ほぼ理想的なフィーリング になっていると思います。991.1が登場した当初インフォメーションに欠けると言われた電動パワステもかなり良くなっていて、個人的には992と遜色ないと感じました。むしろアシスト量は992の方が多め(ステアリング軽め)なので、991.2の方が好ましいと感じました。そしてキーを差して、イグニッションを捻ると慣れ親しんだ3.0Lターボが目を覚まします。
VIDEO
冷感スタート時のエンジンサウンドは992とほぼ一緒ですが、カレラTは遮音材が省かれている分、やかましく感じます。エギゾーストノートについては、走行中もこれはこの通りで、ロードノイズ含め991.2カレラはかなり
物静かな印象 を受けました。オーナーのlidocaineさんも音に関しては少々
物足りなさ を感じておられるようで、調べられた所どうも日本(というかアジア?)ではPSES(スポーツエギゾースト)を後付け出来ないとか・・。テクイップメントにもしっかり掲載されているのに、付けられないなんてことあるのか??と思ってしまいますが、いずれも自分でも確認してみようと思います。ただYouTubeの動画を観ていると、991.2のPSESあり、無しでそれほど大きな差があるようには感じません。むしろ、デザイン的にはリア4本出しの純正マフラーの方が好ましく見えます。であるなら、スイッチボタンは付きませんが
社外マフラー を入れた方が幸せになれるのかな、とも思います。一方、スポクロはやっぱりあった方が良い気がします。エンジンマッピングが変わると、エンジンのバブリング演出もあるので、
速さだけではないメリット があるように感じます。
試乗は高速メイン、一般道少々走ってみましたが、非常に
走りは気持ち良かった です。991.2カレラは370㎰、大して992カレラTは385㎰。15㎰の差があるハズなんですが、正直その差はあまり感じませんでした。むしろ不思議だったのが、992カレラTの方が30kgほど重い(車検証上私の992カレラTは1460kg、lidocaineさんの991.2はたしか1430kg)にも関わらず、軽く感じます。空気感が違うんですね。別の言い方をすると、991.2の方が
塊感 が強い。そして、これが自分の中では決定的に違ったのですが、991.2の方がRASが無い分、当然の事ながら「911っぽい動きをする」んですね。992カレラTはRASが付いているので、難しい事を考えなくても
グイグイ曲がる のですが、991.2はかつてのモデルほどではないにせよ、911の流儀に則って運転してあげる必要があります。そういう意味では
自分の中に沁みついた感覚 と
クルマの挙動 がピッタリ一致するので、気持ち良く感じました。992カレラTは微妙に感覚と挙動との間に
ズレ があって、もし今後992.2を買うような事があればRASは付けまいと心に誓っています(と言いながら、992.2GTSでは標準装備みたいですね)。
長くなって来たのでそろそろ
結論 を。比較してみて、やっぱり最新が最良という結論に至るかと思いきや、さにあらず。992カレラTにも、991.2カレラにも、それぞれの良さがありました。よりモダンで、車内が広く、難しく考えることなく速く走りたい人には992が向きますし、ギュッと凝縮感があって、どことなく昔ながらの
旧き良き911の匂い を纏ったモデルが欲しい人には991.2が向くと思います。私は・・というと正直
991.2の方が好み と言えば好みかもしれません。やはりあの座った瞬間に
ピタッと一体感 が得られる体験は992世代になり残念ながら失われてしまった歴代911の大きな美点だと思います。性能面では最新が最良と認めつつも、5連アナログメーターや、捻るイグニッションなどのヘリテージ捨ててまで最新を追い求める必要があるのか?
再考の余地 ありです。正直、試乗から本日に至るまで
ずっと991.2のマニュアルを探して いますw。もし991.2カレラ(カレラSならRASなし)、スポクロ、PSES、左MTという仕様が出てきたら後先考えず逝ってしまうかもしれません^^;。そのくらい良かったです。貴重な機会を下さったlidocaineさん、改めてありがとうございました♪
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試乗記 | クルマ
Posted at
2024/06/12 13:56:05