
昨年11月にひっそりと
とある道交法が改定されました。運転免許証を取得する際、これまでは教習所に通い始める段階で、AT限定免許証か、MT免許証を選べたワケですが、今年の4月からそれが
出来なくなります。どういう事かと言いますと、入校時点では全員がAT車一択、MT免許証が欲しい人は見きわめ検定後に追加の実技教習、試験を経て初めて「AT限定解除免許取得」という
二段構えとなります。
分かりやすく言いますと、これまではMT免許証が欲しい人は、実技教習は基本的にMT車の実技に充てられたのが、今後は無駄な(敢えて無駄、と書かせていただきます)AT車の実技を
延々と受けさせられた挙句、MT免許証取得する際には
わずか4時間のMT実技を経て試験に臨む必要があります。いやいや、未経験者にとっては非常にハードルの高い半クラ、坂道発進、間歇クラッチを僅か4時間で体得せよ、と。
ムリゲーでしょw。しかも、見きわめ検定後に改めて限定解除の講習を受けるとなると、免許証取得の
コストも上がりますし
期間も伸びます。試験場での一発テストという手ももちろんありますが、現状
合格率2パーセントという狭き門。AT免許証を持っていたとしても、いきなり合格するにはあまりにもハードルが高過ぎます。新規運転免許証取得者全体の75%がAT限定免許証という現在、この法改正でほぼMT免許証取得者は
絶滅するでしょうね。ぶっちゃけMT免許証が必須な職業ドライバー以外は完全に消えてしまうのではないでしょうか?
なぜ警察庁は今回このような改定に踏み切ったのでしょうか?理由については私の渉猟し得た範囲内では明かされていませんが、まれに見る
改悪と言わざるを得ません。やっぱり、クルマの基本的な構造を知る意味に於いても、「運転の怖さ」を身に染みて理解する意味に於いても、本来的には
AT限定免許証などというものはそもそも存在すべきではない、と私は予てから思っています(昭和のオジサンなもんでねw)。運転免許証を取得して以降は好きなクルマに乗れば良いと思いますが、マニュアル操作を知らずしてクルマの運転が出来るということに違和感がずっとありました。そこに追い打ちを賭けるような今回の改定。つまりは国が「クルマの運転はATがデフォですよ」、と言っているようなモンです。そんなにMT免許証取得の
ハードルを上げて一体何がしたいのでしょうか??しかもこの改正で、万が一AT限定解除検定に落ちると、再度試験を受ける際には見きわめ検定前に必須だった一部のAT車教習を
再受講しなきゃいけないという
意味不明っぷりです。
令和7年(2025年)4月1日から、運転免許(普通車・普通二種)の教習の課程が変更されます。
これまでMT免許を取得するために教習所に入校した方は最初からMT車に乗って教習を受けましたが、令和7年(2025年)4月1日からはMT免許を取得するために教習所に入校した場合であっても、基本的にAT車で教習を進め、AT車の見極めに合格したらMT車の教習を受け、卒業検定を受ける形に変わります。
わかりやすくいい直すと、AT限定免許と限定解除を一体化させたような教習の課程に変更されるということです。令和7年(2025年)4月1日から順次新しい教習の課程に移行するため、これから免許を取得しようとする方は、MT免許でもAT限定免許でも、基本的にAT車での教習になります。
それでなくとも若者のクルマ離れが叫ばれる昨今。もちろん、マニュアル車の需要そのものが減っているのは理解出来ますが、今回の法改正で
拍車がかかるのではないでしょうか?世の中的には少数派かもしれませんが、クルマが好きでマニュアル車に乗る事に憧れて免許証を取得しようとしている若者もいるハズです。そうした若者が
不憫でなりません。お金はかかる、時間もかかるではもはや
取るのを辞めようと考えてもなんら不思議ではありません。ちなみに教習所によってはこの法改正を受け、
MT車の講習自体を取りやめる所も出てきているようです。MT免許証取得者が激減すれば、メーカーだってマニュアル車の開発を再考するようになるかもしれません。だって、そんなんじゃ
ビジネスとして成り立ちませんもんね。本当におかしな世の中になったモノです。EVシフトの後押しもありますが、変速機という120年以上に渡るクルマ文化を支えて来たモノが
絶滅の危機に瀕するのもそう遠くない先のことかもしれません(悲)。
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四方山話 | クルマ
Posted at
2025/01/27 13:45:51