
本日は例の問題について。ついに米トランプ大統領が
追加関税の詳細を明らかにしました。外国産自動車に対し、EUには20%、日本には24%、韓国には25%、そして中国には34%の関税を課すことを表明しました。この数字の根拠は良く分かりませんが、世界最大の自動車市場に於けるこの関税は
世界中に衝撃を与えており、さっそく日経平均株価は1600円以上下落しています。
さて、そもそも「関税」とは何か?関税とは 歴史的には古代都市国家における手数料に始まり、内国関税、国境関税というような変遷を経てきましたが、今日では一般に「輸入品に課される税」として定義されています。 関税は、他の租税同様、その収入は
国庫収入となります。 かつては、国家の財源として重要な位置を占めていました。トランプ大統領は予てから
自動車貿易の不均衡を訴えており、平たく言えば世界のクルマは売れているのに、自国のクルマ=アメ車が売れていないのが
不満、ということです。裏では現政権に深く関与しているテスラCEOの
イーロン・マスク氏の意向も色濃く表れている事は言うまでもないでしょう。さて、ここで非常に複雑なのは、昨今の自動車産業というのは輸入と輸出が入り乱れている、という点です。サプライ品をすべて自国で調達している国はまず無いので、半導体はアジアから輸入、鉄鋼はヨーロッパから輸入、という風に部品の輸入は避けられません。こうしたモノに対し、
報復関税をかけられてしまったら、関税で得た利益は吹っ飛ぶ可能性もあります。
1900年代後半の貿易摩擦以降、世界は出来るだけ関税を撤廃し、
モノの流れを良くする方向に動いて来ました。そして、結果的に世界全体が発展してきた経緯があるワケですが、トランプ大統領の関税措置は完全に
時代に逆行するものです。多くの日本人が想像している以上に、米国では日本車が多く買われており、日本車の価格が上がる事はとりもなおさず
米国民にとっては非常に大きな打撃になることは目に見えています。加えて、米国で販売される日本車の70%は米国内で生産されており、
多くの雇用を産んでいます。日本車の売れ行きが鈍り、工場の稼働停止や閉鎖ということが起きれば、多くの人が職を失います。また、こうして失職した人たちを全部救済できるほど米国車の市場は大きくありません。テスラにしても、イーロン・マスク氏に反発する国内外の動きもあり、前年度比売り上げが三分の二ほどに激減しています。そもそも
自国製品の魅力が薄いから海外で売れていないだけなのに、逆切れして関税を課すなど誰がどう見ても
アホとしか思えません。一部の白人労働者階級にはアピールするかもしれませんが、世界を敵に回し、自国民を不幸にする政策など悪でしかありません。
第一次トランプ政権の時も「アメリカファースト」を掲げ、かなり強引な政策を推し進めたトランプ大統領ですが、周りに止める人が居なくなり、
暴走に拍車がかかった印象があります。それでなくとも値上がりが続くポルシェはこれで一気に北米市場の売れ行きは厳しくなるものと予想します。中国経済の破たんに加え、北米の関税、そしてEVに対する逆風・・ポルシェは本当にこのまま生き残れるのか、不安を覚えます。もちろん、日本企業もダメージはあると思いますが、日本車は北米以外の世界各国で売れまくっています。一時的には相当な売り上げダウンになることが予想されますが、変にすり寄るよりも、これを機に
脱アメリカを進めて行った方が長期的には良いように思います。昨年末オーストラリアを訪問した際にも、走っているクルマは
ほぼ日本車でした。オセアニアに限らず、アジア、そしてヨーロッパの多くの国々でも日本車は売れに売れています。アメリカが日本車を輸入したくない、というのなら他の国に売るまで、です。日米同盟などというのはハッキリ言って
まやかしに過ぎないので、日本政府はぜひこうしたアメリカの暴走に対し、
毅然とした対応をしてもらいたいと願います。
Posted at 2025/04/03 11:27:36 | |
四方山話 | クルマ