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2021年07月10日 イイね!

空冷ポルシェの都市伝説

空冷ポルシェの都市伝説さて、愛車の退院を明日に控え、3か月ぶりにポルシェ・オーナーであったことを思い出しつつある不肖黒蛙ですw。私はかつて水冷ポルシェを3台乗り継ぎましたが、水冷ポルシェは良くも悪くも「普通」でした。ここで言う普通とは、性能的な事ではなく、いわゆる乗用車として真っ当、「普通に乗れる」という意味です。ウェット路面での高速走行はやや気を使いますが、その他の場面では数多あるスポーツカーと同じ感覚で乗れてしまいます。

そういう意味では、空冷ポルシェはやや敷居が高いと言いますか、ちょっと特殊なクルマであるという印象をお持ちの方も少なくない事と思います。そして、他のスポーツカーには無いちょっとした作法であったりクセがあるため、様々な都市伝説がまことしやかに囁かれています。本稿では、これから空冷ポルシェに乗りたいと思っている方の疑問を解消するために、巷でよく耳にする空冷ポルシェにまつわる都市伝説について少々私見を述べたいと思います。飽くまで私見ですので、空冷乗りの諸先輩方から見れば鼻で哂われてしまう内容かもしれませんが、まあ何せまだ空冷ポルシェについては初心者ですので、ご容赦くださいm(_ _)m。

都市伝説➀~アイドリングスタート~
ポルシェはクラッチが繊細で、エンジンのトルクが太いため、原則アイドリングスタートをすべし、という話をよく聞きます。これは本当でしょうか?私もかつて、他人様の空冷ポルシェを試乗させていただく際には、細心の注意を払ってアイドリングスタートを心がけたものです。しかし、実際にオーナーになってみると、少なくとも964以降の空冷ポルシェについてはあまり気にすることないというのが目下の結論です。かつての、「ポルシェシンクロ」と呼ばれた時代のトランスミッションについてはたしかに気を使う部分があったようですが、G50ミッションになって以降は、普通のクラッチミートで壊れたとかそういう話は一切耳にしません。

クラッチのミートポイントがやや手前なので、コツは必要ですが、普通につないで普通にアクセル入れてまったく問題ありません。それよりも、私が最初に面食らったのはオルガン式ペダルの独特のペダルタッチですね。水冷ポルシェの場合はアクセルペダル以外は吊り下げ式となっているため、まったく違和感なく操作できたのですが、空冷の場合は全ペダル床からにょきっと生えているため、操作性が独特です。加えて、ホイールハウスが車内にせり出している関係で、ややペダルが中心より右側にオフセットしているため、さらに慣れを要します。ただ、慣れてしまえば操作性が悪いというわけではありません。H&Tは無理ですけどね。私は端から諦めていますw。

都市伝説②~オイル漏れ~
空冷エンジンのクランクケースはいわゆる縦割りなので、構造上シーリングが劣化してくるとオイルが漏れます。クランクケースをつなぐボルトのパッキンが劣化しても漏れます。実は新車でも漏れるらしく、とにかく漏れます。空冷エンジンブロックが漏れるのは間違いありません。1000㎞走行で1Lほどオイルを注ぎ足さなくてはならないのは通常運転です。空冷ポルシェ乗りは、常に自宅にオイル缶の予備を置いていて、ゲージをチェックして減って来たな~、と思ったら注ぎ足します。ちなみに、通常のクルマと違って、空冷ポルシェの場合はエンジンを回した状態でオイルを注ぎ足すのが正解とのこと。大量のオイルでエンジンを冷却・潤滑する別名「油冷」エンジンですから、オイル管理は大事です。繰り返しますが、オイルは漏れます。

都市伝説➂~直進安定性が悪い~
空冷911はリアに重いエンジンを積んでいて、ホイールベースが極端に短い(2272mm)ため、直進安定性に欠けるという話をよく聞きます。どの速度域を以てそう評するかに拠ると思いますが、個人的にはドライ路面での通常の高速速度域(80km/h~120km/h)では直進安定性が悪いと感じた事はありません。以下、クローズドコースでの話になりますが、水冷911の場合は120km/h~180km/hはたしかに多少ふらつく感じがありました。しかし、さらに上の速度域になるとダウンフォースが効いて逆に安定する印象でした。空冷ではこのような速度域は経験したことないので、分かりませんが・・恐らくそう大きく印象は変わらないのではないか、と想像します。

都市伝説➃~カミソリのようなエンジンレスポンス~
ナナサンカレラの時代の排気量の小さいエンジンを積んだ空冷911はバイクのようにシャーンと回って、ストンと回転が落ちるエンジンだったと聞きます。964(カレラ系)は、というとそこまでではありません。一番の要因は964カレラで採用されているダブルマスフライホイールにあると思います。低速域では極めて扱いやすい一方、空冷らしいレスポンスとシャープさには少々欠けます。クラッチO/Hのタイミングで、RS用のシングルマスフライホールに交換する手もありますが、エンジンマッピングが合わなくて、かなりエンストするみたいです。サーキットを走るならまた話は別でしょうが、通常の街乗りでは多少もっさりしていてもダブルマスフライホイールの扱いやすさの恩恵の方が大きいでしょう。

ちなみに水冷モデルですが、空冷同様のGT1クランクケースを持つ996GT3RSはシングルマスフライホイールと相まって、正にカミソリのようなレスポンスでしたね(今でも個人的には996GT3RSが「現代のナナサン」だと思っています)。排気量が3.6Lもあるにも関わらずあのレスポンスの鋭さは驚愕するほかありませんでした。ただまあ日常使いとなるとクラッチワークに気を使いましたし、やはりサーキットが主戦場というモデルであることは間違いありません。話が逸れますが、現行992のGT3系ももちろん素晴らしいと想像しますが、個人的には996前期型GT3クラブスポーツをぜひいずれ所有してみたいと密かに狙っています!

都市伝説⑤~まるで金庫の中にいるようなボディ~
これも良く聞きますね。ドアを閉めると、Gクラスに通ずる「カキーン」とも「ガチャン」とも取れる独特な金属音がして、物凄い気密性の高い空間の中にいるような感覚になります。モディサイズの小ささが一役買っているのもあると思いますが、何とも言えない凝縮感と塊感です。水冷ポルシェの普通乗用車っぽい「ボスッ」と閉まるドアの感覚と一番差を感じることの出来る空冷らしい部分かもしれません。そして操作系も、フロントスクリーンもとにかく身体に近い。「ポルシェを着る」という言葉がありますが、まさに言い得て妙です。今のポルシェは肥大化してしまって、どんなに高性能であっても、この「着る」感覚だけは到底空冷911にはかないません。現代の最新技術で空冷911サイズのEVポルシェとか出したらバカ売れする気しかしないのですがねぇ、ポルシェさんw。

都市伝説⑥~サイズが小さいのに小回りが利かない~
ハイ、コレも本当です。とにかくステアリングの舵角が有り得ないくらい小さく、まったく小回りが利きません。普通の幹線道路のUターンでさえやっとこさというレベル。それもそのハズ、最小回転半径5.6mもあるらしいです(汗)。しかも、パワステのクセにステアリングも激重なので、車庫入れとかも望外に苦労します。普通に走っている分には何ら違和感なく、ハンドリングも極めて良いのですが、とにかく極低速域での取り回しが難儀します。同じ世代のクルマでも、メルセデスベンツなんかは圧倒的にステアリングが切れるんですけどね・・。なので、この点に関してはホイールベースも全長も全然長いE63AMGの圧勝です(最小回転半径5.3m)。空冷911はとにかく小回りが利きません、ハイ。

いかがでしたでしょうか?まあ正しい都市伝説もあれば、間違った都市伝説もある、といったところでしょうか。空冷ポルシェというと、とにかく何かと敷居が高い印象が付きまといますが、個人的にはちょっと古いロータスとか355以前のオールドフェラーリと比べれば遥かに敷居は低く、維持しやすいと思っています。パーツにしても、今回のタコメーター騒動でお伝えしました通り現在進行形でポルシェAGが供給してくれていますし、とにかく壊れたら治せないというパーツはほぼ皆無なので、サステイナビリティという点でもかなり安心感があります。空冷に興味がおありであれば、あまり巷の都市伝説にビビらず、ぜひめくるめく空冷の世界に一歩足を踏み入れる事をお勧めします。ただし泥沼になっても責任は負いかねますが、ねw。
Posted at 2021/07/10 14:23:33 | コメント(2) | ポルシェ | クルマ

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何シテル?   06/21 13:46
趣味車:992.1カレラT(2023年式左MT) アシ車:GR86“リッジグリーンリミテッド”(2024年式右MT) ファミリーカー:カイエンGTS(2024...
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