
日本でも新型コロナウィルス感染症、COVID-19に対する小児へのワクチン接種が開始されることになりました。
2月中に幼児用コロナワクチンの接種開始へ=松野官房長官 | ロイター https://jp.reuters.com/article/vaccines-idJPKBN2KJ0KY
見出しの「幼児用」という言葉に違和感を覚えますが、5〜11歳の小児が対象になります。
日本小児科学会もワクチン接種を推奨する声明を出していましたが…
学会の考え方・提言・見解等|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=94
そしてこのブログでも早期に小児へのワクチン適応拡大が望まれる旨書いてきましたが…
「緊急事態宣言解除へ」
https://minkara.carview.co.jp/smart/userid/3311343/blog/45497945/
オミクロン株の出現により状況は変わってしまいました。
小児の場合、稀に「小児COVID-19関連多系統炎症性症候群」という川崎病類似の疾患を発症するケースもあるとされていてちょっと特殊ですが、基本的には成人に比べると無症状〜軽症で経過するケースが多いというのは皆様ご存知のことと思います。
もちろん心臓病や腎臓病、気管支喘息などの基礎疾患があって、感染してしまった場合に重症化してしまうリスクが懸念されるお子様もいらっしゃいますので、そのようなお子様達には積極的にワクチン接種をしていただきたいと思いますが…
オミクロン株主体の現在の流行で、感染、発症してしまうお子様の事例が増えているのは事実ですが、オミクロン株に対してワクチン接種による感染予防効果は限定的です。
現在ワクチンは感染予防や流行抑制のためのツールではなく、重症化予防のためのツールという位置付けです。
そういう状況ですので、私個人的には「基礎疾患のない健康な」小児や若年者へのワクチン接種は今やるべきではないと考えます(クドいようですが個人的意見です)。
ワクチン接種のリスクと効能が、重症化リスクの低い健康な小児や若年者に対してどうなのか…疑問が残ります。
また今のような流行期に発熱などの副反応が出た場合、コロナ感染による発熱なのかワクチンの副反応による発熱なのかを鑑別する必要が生じますし、副反応による発熱だったとしてもそこで発熱外来受診すればその場で感染してしまうリスクもあります。
小児科診療の現場が混乱してしまうのは目に見えています。
接種体制やワクチン確保の問題でリソースが限られ、そして現在進行形でオミクロン株が蔓延している中、優先的に接種されるべきなのは重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する人々です。
小児科学会としては「(ワクチン接種を)やらないよりはやった方が良い」という当たり前の提言をされているに過ぎません。
限られているリソースをどのように配分するかは行政や政治的なマターになりますが、こういう時こそ感染症医学の「専門家」が客観的、大局的な見地からの助言を行うべきです。
ただ、統計の数値ばかり見ていて医療現場を見ていない人には難しい話かもしれません。
尚、小児へのワクチン接種に関する厚労省のQ&Aのサイト(冒頭画像)のリンクは
こちら
小児接種(5~11歳)|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/child/になります。
Posted at 2022/02/15 03:35:09 | |
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