
ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で日本人に向けたリモート演説を行ないました。
既に多数報道されていますので、その内容については皆様御存知の事と思いますが、念の為日本語訳を文字起こししたサイトをご紹介しておきます。
ゼレンスキー大統領、国会演説、AI全文文字起こし – SAKISIRU(サキシル)
https://sakisiru.jp/23887
日本の国会での演説に先立って行なわれた米国議会での演説で9.11同時多発テロや真珠湾攻撃の話が持ち出され、それに関して日本でも若干の物議を醸しました。
軍事施設を先制攻撃した真珠湾攻撃と、民間施設や原子力発電所にまで攻撃を加えている今のロシア軍とを同列で語るのは不適切だとは思いますが、あくまでも米国人向けのリップ・サービスです。
現在のゼレンスキー氏が置かれている状況を考えれば、重大視すべき問題とは思いません。
先の大戦でのソ連対日参戦と今回のウクライナ侵攻が若干オーバーラップする部分もあるかとも思ったのですが、北方領土問題を含め今回の演説では触れられませんでした。
当時のソ連軍にはウクライナ人もいたでしょうし、デリケートな問題ですので賢明だったかと思います。
演説の中でゼレンスキー大統領は、ロシアによる化学兵器攻撃のリスクに関連し「サリン」という単語を口にしました。日本でかつて発生した宗教カルト集団「オウム真理教」によるサリンを用いたテロ事件のことを意識した発言かと思います。
そしてウクライナ国内の原発の状況について訴えてきました。
この件については米CBSの記者(?)エリザベス・キャンベル氏のツイートで、ウクライナのクベラ外相の発言として伝えられた話として自分も知っていました。
"According to the information I have, they (Russians) try to arrange a kind of a logistics base near Chernobyl with the understanding that it will be more- it will be impossible to attack that logistics base because of its vicinity to the nuclear power plant"(私が得た情報によると、彼ら(ロシア)はチェルノブイリの近くに物流拠点のようなものを配置しようとしており、その物流拠点は原子力発電所の近くにあるため、攻撃することは不可能だろうという理解を持っている。) - @DmytroKuleba
https://twitter.com/ECampbell360/status/1502759714106580998
チェルノブイリ原子力発電所周辺の土壌には、爆発事故以来積もり積もった放射性物質が含まれていますので、ここを爆撃すると放射性物質が舞い上がり拡散してしまうためウクライナ軍はここを攻撃出来ない…ということのようです。
この状況の重大さを最も理解してもらえるのが(福島原発事故を経験した)日本人であろうとゼレンスキー氏が判断したのだと思いますが、もちろん日本人にとっても他人事ではありません。
各種報道では今回の戦争において日本が果たしてきた貢献に対する謝意を述べた旨を強調する物が多いですが、ゼレンスキー氏が今回最も伝えたかった事はこの件であったように思います。
原発に関しては
前回の記事でも書きましたが、原発の安全が担保されなければカーボンニュートラルの達成は勿論、最悪人類の存続に関わる問題になります。
これはロシアが核兵器や化学・生物兵器を使用するかどうかという話に勝るとも劣らない問題です。
欧州最大と言われるザポリシャ原発を攻撃したり、チェルノブイリ原子力発電所を「人質」にして兵站の補給拠点にしようとしているロシア軍やプーチンが批判されるべきなのは言うまでもありませんが、日本国としては「遺憾の意」以上の対応が求められています。
ゼレンスキー氏が演説で指摘されていたように、
今回の件で国連は何の役にも立っておりません。
世界大戦や核戦争にエスカレーションしないように配慮しつつ、如何にしてロシア・プーチンの暴走を止めることができるのか?
原発事故での経験値を含め、日本の原子力技術によるウクライナへの貢献は勿論のこと、外交・軍事両面での日本の貢献が求められています。
日本国として、日本人として、我々は今何をすべきなのか?何ができるのか?何を求められているのか?そしてどうするのが日本の国益にとって最善なのか?
どうにも他人事のように考えてる人も多いように思います。国会演説の最中、林外相がアクビしていたのが映像に捕らえられてしまいました。
外務大臣がこれでは日本人として悲しすぎます
。・゚・(ノД`)・゚・。
ゼレンスキー氏の要望に満額回答しろというつもりはありませんが、東アジア情勢も不穏な中、日本も他人事ではありません。
Posted at 2022/03/24 20:21:19 | |
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