
先日のこのブログで
エチオピアについて触れ「内戦で混乱が続いてる」などと書きましたが、エチオピア政府は3月24日、北部ティグレ州の反政府勢力ティグレ人民解放戦線(TPLF)との戦闘に関し「無期限の人道停戦の即時発効」を宣言したとのニュースが流れました。
エチオピア政府、停戦を宣言:時事ドットコム
https://www.jiji.com/sp/article?k=2022032401449
詳細は不明ですが、長期間断続的に内戦が続いてきた同国に平和が訪れる事を期待したいところです。
近代においては欧州列強の侵略を受けながらも古代からの王朝・帝政を維持し続けてきたエチオピアでしたが、1970年代に社会主義革命が起こり王制が崩壊しました。
その後、社会主義政権の圧政や内戦、旱魃等の影響で多くの難民が発生し、80年代にはそれが世界的な社会問題となりました。これら難民を救済する目的で世界中のミュージシャンが集結して85年に開催されたチャリティーコンサート「Live Aid '85」に関して、
以前このブログでもご紹介した事がありました。
90年代に入りエリトリアの分離独立とともに社会主義体制が崩壊し、「エチオピア連邦民主共和国」として新憲法の下再スタートしたエチオピアでしたが、エリトリアとの国境紛争が長期間続いていました。
この国境紛争に決着をつけ、エリトリアとの和平を成し遂げたのが今のアビィ首相てす。
アビィ首相はこの件でノーベル平和賞を受賞しましたが、今度はエリトリアに隣接する北部ティグレ州の分離独立勢力「TPLF」との対立が深刻化し内戦となります。
一時はTPLFが首都アジスアベバにまで侵攻してきそうな状況でした。
ティグレ人勢力、要衝を制圧か エチオピア
2021年10月30日23時38分:時事ドットコム
https://www.jiji.com/amp/article?k=2021103000490
この後政府側の攻勢によりTPLFが後退を余儀なくされた状況での今回の停戦です。
エリトリアの分離独立で内陸国となったエチオピアですが、スーダン、南スーダン、ソマリアといった「失敗国家」に囲まれた地理的条件下にあります。比較的まともかと思われるケニアでさえ「失敗国家ランキング」ワースト32位と、パレスチナやレバノンよりも低評価です。
List of countries by Fragile States Index - Wikipedia
https://en.m.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_Fragile_States_Index
日本の周囲も微妙な国家が揃ってますが、エチオピアの場合内陸国家で地続きです。
難民となって国外に脱出しようにも安心できる行き先がありませんし、これらの周辺国の存在自体がエチオピアの不安定化要因です。
英国やイタリアなど、かつてこの地域を支配していた欧州列強がこのエリアの安定化に責任を持つべきと思いますが、現実はそうではありません。
旧仏領のジブチ共和国には日本の自衛隊を含め西側諸国や中国の軍事基地が設けられ、アデン湾の海賊警備や中東エリアでの軍事拠点として活用され、その結果としてジブチ共和国の治安の安定や安全保障が維持されていますが、混乱が続く他の脆弱国家に笑顔で接近してくる大国は…中国しかありません。
このエリアで中共のプレゼンスが拡大していくことは、将来の地球レベルでの不安定化要因になりかねません。
ウクライナ問題がきっかけになって世界大戦の危機が現実問題になっています。
地球レベルでの大戦という最悪の事態を避けるためにも、日本をはじめ西側諸国もこのような不安定な地域の安定化にもっと貢献しなければなりません。
Posted at 2022/03/26 10:08:52 | |
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