
安倍元首相暗殺事件や参議院選という国内情勢ばかりのニュースの中に、ひっそりとスリランカ情勢のニュースが入ってきました。
【速報】スリランカのラジャパクサ大統領が辞任の意向示す|
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000260892.html
スリランカ情勢に関してはこのブログでも以前取り上げました。
スリランカの迷走と不幸
https://minkara.carview.co.jp/userid/3311343/blog/46114694/
5月18日に上げた前回記事以降の情勢ですが、前回記事で予想した通り、代わり映えのしない政権メンバーで状況を打破できるはずもなく、ウイクラマシンハ首相も
既に辞任しています(下記追記参照)辞任の意向を既に示しているとの事です。
そして今回ゴータバーヤ・ラージャパクサ大統領(冒頭写真)も辞任しました。
中国からの過剰投資という債務の罠に嵌ったのに、その資金を中抜きして私腹を肥やしていたラージャパクサ 一族が政権内に留まっていては何の問題の解決にもなりません。
今日は大統領官邸に市民が乱入する騒ぎになったようですが、このような鬱憤晴らしをしたくなる心情は理解できるものの何の解決にもならないのも事実です。
スリランカ“国家破産” 怒りの群衆が大統領公邸占拠|
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000261172.html
とりあえず政権の一掃が必要でしょうが、政権メンバーが変わったところで経済・財政状況が好転するとは思えません。
5月の記事にも少し書きましたが、中央銀行が2021年10月に固定相場制に移行した事が傷口を大きくしてしまいました。
債務の罠に嵌って多額の対外債務を抱えていながら、コロナにより観光業による外貨収入が途絶え、更に輸入に頼っていた資源エネルギー価格の高騰が追い打ちをかけました。
これで国内のインフレが進む中、その対策で固定相場制を導入すると何が起こるのか?
かつてのアジア通貨危機での教訓
を忘れてしまったかのようなこの政策は完全に失敗でした。
インフレということは需要に対して供給が不足した状態です。お金(自国通貨)は持ってるのに物がない状況です。これをドルと連動させて為替レートを固定にしたら、人々はお金をドルに換えて海外から購入しようとします。
外貨不足の状況で固定相場制を維持したければ、国家は流通してる自国通貨を減らす(自由な金融政策の放棄)か、外貨両替など海外との取引を規制(資本移動の自由の放棄)するしかありません。
外貨が不足しているのに資本取引規制もせずに、インフレの状況下で実効レートよりドル安のレートで固定相場制を導入しましたので、投機筋から大量のドル買いスリランカ・ルピー売りの投機アタックを仕掛けられました。
そうでなくても外貨が不足してデフォルト危機だったのに、泣けなしの外貨を吐き出して通貨防衛しなければならなくなりました。
それでも外貨が尽きれば終了です。今年3月には変動相場制に戻さざるを得なくなり、無駄に外貨を吐き出してヘッジファンドを儲けさせただけでスリランカ・ルピーは暴落しました。
外貨準備を失ったスリランカは対外債務をデフォルトするしか選択肢はなくなり、破産国家になりました。
これを期に出直して一からやり直すしかありません。幸い内戦の再来となる兆候は未だ伝えられておりませんが、予断を許しません。
︙
ところで、莫大な政府債務を抱える日本政府にも同じ事が起こりうるのか…?と言えば、そんな事はありません。日本政府の債務はすべて円建てです。外貨建て対外債務とは事情が全く異なりますし、日本は莫大な外貨準備や対外債権を持っています。
それでも将来日本政府がデフォルトし円が暴落すると思うのであれば、資産を持ってる人は円資産を売って外国通貨や株式、商品先物等に替えた方が良いでしょう。日本国債なんか間違っても買ってはいけませんw。
※7/13追記
ウイクラマシンハ首相は既に辞任したというニュースをどこかで見たように記憶しているのですが、ゴータバーヤ・ラージャパクサ大統領辞任を受けてウイクラマシンハ首相が大統領代行業務を行う事になった旨のニュースが流れました。
スリランカ首相、全土に非常事態宣言 大統領はきょう辞任表明 | ロイター https://jp.reuters.com/article/sri-lanka-crisis-emergency-idJPKBN2OO0HW
どうやら冒頭に紹介したテレ朝の報道を自分が読み間違えたようです。
修正してアップしなおしました。
Posted at 2022/07/11 21:06:00 | |
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