
前回に続いてこの話題です。
22日朝、6月の消費者物価指数が公表されました(冒頭画像)。
総合+2.4%、コア+2.2%、コアコア+1.0%でした。
特にサプライズのない数値と思います。
前日に金融政策決定会合をやったばかりですので当たり前ですが、日銀の金融政策に変化はないでしょう。
コロナが広がってますし原油価格が6月の前半をピークに下がり始めてますので、7月の数値はコアコア以外前月比マイナスとなる可能性もあります。
それにしても各メディアの報道が酷すぎます。
まずはNHKですが、コアコアの数値を報じてません。
6月の消費者物価指数 前年同月を2.2%上回る 2%超は3か月連続 | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220722/k10013730541000.html
コア指数で+2.2%という数値の何が不満なのでしょうか?むしろエネルギー価格高騰という背景がありながら低すぎる事を問題視すべきです。
更に雇用統計に触れずに実質賃金を持ち出すなど、経済学のまともな知見を持った人が書いたとは思えない、レベルの低い記事です。無知がこのような報道を生んでいるのではなく、意図的にやっているのではないかと疑わざるを得ません。
そして日経ですが、これも酷いです。
6月の消費者物価2.2%上昇 エネルギー・食品高騰: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21B090R20C22A7000000/
コアコアの数値を一言だけ報じてるだけNHKよりマシかもしれませんが、最後の一言に爆笑してしまいました。
21日の日銀の金融政策決定会合後に一時1ドル=138円台後半をつけた為替相場の影響が大きい
昨日の記事にも書いた通り、昨日の東京市場が閉じた後に一時的に円安に動きましたが、タイミング的に日銀の金融政策決定会合とは別要因です。
日銀政策決定会合の結果を受けて円が売られたかのような悪意ある印象操作でしょうが、残念ながらそこから一転して円高に相場は動きました。
そもそもこのような短期的な相場の動きに大した意味はなく、FXで盛大にレバレッジ掛けていなければ一喜一憂する話じゃありません。
さらにTBSのこれ…
経済界トップ 「円安にふれすぎている」「金融政策の見直しが必要」 日銀の金融政策に相次ぐ懸念 | TBS NEWS DIG
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/102757
発言の一部を切り取って恣意的に報じてるのか、財界人のポジショントークを真に受けているのか知りませんが、まあ酷いです。
日銀に限らず世界各国の中央銀行はインフレ率や雇用が望ましい水準に入るように金融政策を行なっています。その金融政策を受けて市場が為替相場を形成しているのであって、為替相場をコントロールする事が金融政策の目的ではありません。
そしてグローバル企業であれば為替変動リスクをヘッジした経営をしているのが当たり前であり、現在の為替水準について財界人があーだこーだ言うのは自らの無能っぷりをさらけ出しているだけです。
中国などで低コストで衣料品を作り日本に輸入してユニクロやGUで安価で売っているファーストリテイリングの株価が、円安にも関わらず低迷していないのが何よりの証拠です。このビジネスモデルで円安はキツい筈なんですけど…
円安という更なるインフレ要因がありながら何故日本は欧米諸国のような水準のインフレにならないのか?
インフレ率20%超という「狂乱物価」に至った1973〜74年の第一次オイルショックと現在とで何が違うのかを考察すれば自ずと答えは見えてきます。
ここで挙げているのはごく一部の報道ですが、このような質の低い、あるいは悪意のある報道が世論を誤った方向に向かわせます。
Posted at 2022/07/23 03:09:38 | |
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