
金曜日夜は久しぶりに外泊したんですけど翌土曜日の朝、出先で朝食取ってる時にテレビが民放の報道番組流してまして…
それで相変わらず「物価がー!」って話をやってて、その内容が見るに堪えない話で、折角の朝食が不味くなってしまいました。
何に閉口したかというと、
「物価高倒産が急増してる!」って話をやってた訳です。
最初から見ていたわけじゃないんでどういう流れでそういう話になったのかよくわからないですけど、おそらくドル円が¥140/$を超えたという話からだとは思うんですが…
この「物価高倒産」の話、先月もニュースになってました。
7月の「物価高倒産」過去最多 約8割が中小企業「確実に体力を奪っている」|FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/articles/-/400352
原油や原材料などの価格高騰による「物価高」の影響を受けた倒産が7月だけで31件と急増している…(冒頭画像)
この記事はFNNですが、土曜日朝に見たのは別の放送局です。
んで先月このニュース見た時に、当然「これは全体の倒産件数の何%くらいなんだろう…?」って思うわけで、ちょっと調べてみたんです。日頃全国の倒産件数なんて興味ないのでどれくらいあるのかなんて全然知らなかったですし…
それで検索して出てきたのがこのニュース。
7月の倒産件数 低水準ながら4カ月連続の増加、新型コロナ関連倒産は169件(東京商工リサーチ) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/c774f6c88fa16e750c2023cea019091622bab52c
2022年7月の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、件数が494件(前年同月比3.7%増)、負債総額は845億7000万円(同18.3%増)だった…
「物価高倒産」は倒産件数の
1割にも達してません
(´・ω・)
そして月間の倒産件数が500件弱というのがどの程度のものなのかよく知らないのですが、年間6000件弱ペースとしてどんなものなのか?
気になりますね。
いかにも景気の悪い話として伝えられてますので、上の記事では「低水準ながら…」とは書いてあるもののどうなのかと思いきや…
全国企業倒産集計2021年度 | 倒産集計 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]
https://t.co/J7iDYthy3k
2021年度報
(2021年4月1日~2022年3月31日)
年度倒産件数は56年ぶりの6000件割れ
︙
︙
年間6000件ペースって
凄く少ないって事じゃん
(´・ω・`)
上の東京商工リサーチの記事では前年同月比+3.7%という事なので情報ソースの違いによるデータの誤差が多少あるようですが、帝国データバンクのデータでは昨年7月の倒産件数は490件です。
いずれにしても、倒産件数はかなり低い水準なのは確かです。
それなのに一体何なんでしょうか?
大手グローバル企業であれば為替変動リスクをヘッジするための充分な対策がなされているでしょうが、中小企業の中にはそうでもない企業もあるでしょう。
価格転嫁したくてもなかなか難しい事もあるでしょうし、それでどうにもならなくなって倒産に至るケースも出てくるでしょう。
それでも経済全体のパイが増えていれば新たなビジネスチャンスも生まれるわけですし、倒産の結果解雇された従業員も再就職に然程困らないでしょう。
デフレで値下げ圧力が強くて、結果として利益を出せずに倒産に至った場合だとそうはいきません。そもそもの倒産件数も増えますし、解雇される従業員数ももっと多くなります。経済全体のパイが縮小してますので新たなビジネスチャンスも少ないですし、解雇された従業員の再就職は困難を極める…というのは長年のデフレ下の日本でよく見られた光景です。
どっちがマシですかね?
先日はこんなニュースが流れました。
トヨタ、国内でも新車値上げの兆し---日本製鉄と鋼材価格大幅引き上げで合意
https://response.jp/article/2022/09/01/361273.html
円安と原材料価格高騰で自動車用鋼材の原価が上昇しているであろう事は容易に想像できます。その状況で鋼材価格を引き上げなければ鉄鋼メーカーの利益は下がり、当然従業員の賃金も上がりません。
日本製鉄がトヨタに価格転嫁を呑ませたというこのニュースをポジティブに受け取るか、ネガティブに受け取るか…?
結果的にトヨタが新車価格を引き上げる事になったとして、それが悪い事なのか…?
高くなった新車価格を見て、それでもそのクルマを買うかどうかは消費者が決める話です。価格に見合った価値を見いだせれば買うでしょうし、見いだせなければ他の選択肢を探します。
売れなければ値引き販売されるでしょうし、結局値段は需要と供給で決まってしまいます。
ここでもう一度、日銀のインフレ目標が2%だという意味をよく考えるべきです。何年にも渡ってそのインフレ率を安定的に維持するためには何が必要なのか?
原材料価格高騰や円安という一時的要因がある中、今の「物価高」をどう捉え理解していくべきなのか?
それとも経済全体が縮小して物価が安くなっていくデフレ経済の方が望ましいと考えるのか?
価格転嫁して値上げしたら文句を言う一方で、価格転嫁できずに倒産してしまった企業が増えたと文句を言う…メディアが伝える経済報道は人々の不安や不満を煽るだけの有害無益な愉快犯にしか見えません。
もうちょっと真面目に考えて報道できないんですかね?
困ったものです。
Posted at 2022/09/04 01:41:40 | |
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