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2023年01月13日 イイね!

#エルドアン の豪腕外交;北欧二カ国のNATO加盟問題

#エルドアン の豪腕外交;北欧二カ国のNATO加盟問題コロナの感染拡大の影響で職場がやや混乱していた事もあり、更新が少し滞りました。

色々ネタはあったのですがこれまでの記事と被ったり簡潔にまとめられなかったりしていたせいでもあります。



んな訳で今回はこの記事から

全部は無理 NATO加盟へトルコの要求―スウェーデン首相:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023010900537


いきなりこの記事を紹介されても普通の日本人にはなかなか理解するのが困難かと思いますが…

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、世界中の、特に権威主義国家の脅威に晒されている国々が自国の安全保障について神経質になっています。

日本も例外ではなく、防衛費の増額が決められたのは皆様ご存知の事と思います。

歴史的にソビエト〜ロシアの脅威に晒されていたフィンランドやスウェーデンという北欧の二カ国も同様で、自国の安全保障のために長年続けていた中立政策を破棄しNATOへの加盟を申請しました。

これにトルコのエルドアン大統領が難色を示しました。特にリベラルな気風で難民受け入れに積極的なスウェーデンの加盟に難色を示したと言われています。



トルコのクルド人問題については以前書きました。

クルド人問題
https://minkara.carview.co.jp/userid/3311343/blog/46562028/


トルコからの分離独立を目指すクルディスタン労働者党 Partiya Karkerên Kurdistanê (PKK)をエルドアン大統領は「テロ組織」として弾圧していましたが、弾圧から逃れるために亡命を求めたクルド人の多くを難民として受け入れたのがスウェーデンでした。

エルドアンは両国のNATO加盟の条件として両国に逃れていたクルド人「テロリスト」の身柄引き渡しを求めたと言われています。

安全保障上背に腹は変えられない両国はこれを受け入れ、昨年6月に両国のNATO加盟の手続きが開始されました。

NATO首脳会議 フィンランド・スウェーデン 加盟手続き開始へ | NHK | ウクライナ情勢
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220630/k10013695061000.html


この後両国のNATO加盟手続きは順調に進んでいたものと思っていたのですが、世の中…というかエルドアンはそんなに甘くはなかったようです。

NATO加盟か人権か 北欧の選択は NHK解説委員室
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/478284.html




昨年9月にはスウェーデンの総選挙が行なわれ政権与党の左派連合が敗北、アンディション首相(冒頭画像右)は辞任に追い込まれました。

総選挙は野党の右派連合が勝利、首相は辞任を発表(スウェーデン) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/09/4c6cd2b83a757203.html


積極的に移民を受け入れていた「高福祉リベラル国家」スウェーデンでしたが、移民達による治安の悪化やインフレ等の問題で右派が勝利する流れになりました。



ウクライナ紛争に関して、黒海の入口であるジブラルタルボスポラス海峡(5/11追記:赤っ恥な大間違いしてました…修正します)を管理しているトルコが、ウクライナからの穀物輸出の船舶の安全を守ったり、NATO加盟国でありながらも比較的中立の立場を取り両国の停戦の仲介を試みたりと、エルドアン大統領は現在の緊迫した世界情勢の中で存在感を示してきました。

もちろんこれらは慈善事業でやっているのではなく、自身や自国の最大利益を考えての行動です。支持するかどうかは別として、外交の場では当然の行動です。エルドアンの豪腕外交には舌を巻くしかありませんが、完全に足元を見られた北欧二カ国の狼狽ぶりが滑稽です。そのスウェーデンの新首相クリステション氏(冒頭画像中央)の「泣き言」を伝えているのが冒頭の記事です。

安全保障と引き換えに「売られた」形になったPKKの人々も悲惨ですが、縁もゆかりもない「高福祉国家」の「善意」に支えられて生活していた立場上負わなければならないリスクであったとも言えます。



第一次世界大戦の結果オスマン帝国が解体され、ケマル・アタチュルクにより世俗主義国家「トルコ共和国」が建国されてから100年という節目の今年、エルドアンは大統領選を勝利し権力を固め、アタチュルクを越える存在になるべく邁進しています。

世界の中では現在決して大国とは言えないトルコ共和国の大統領ですが、国際政治の場において1プレーヤーとして存在感を示しています。

彼が後年どのように評価されることになるのかはわかりませんが、21世紀前半の世界情勢を語る時に欠かせない政治家として歴史に残るのは確実でしょう。
Posted at 2023/01/13 02:03:30 | コメント(0) | トラックバック(0)

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