
このところイランの話を書いてきました。
国内の政治・経済状況が好ましくない中、ライシ政権としては
本音では「核合意」を復活させたいはずです。
石油を海外に売れるようになり経済制裁が解かれれば経済が好転するのは火を見るより明らかです。
しかし米国のバイデン大統領が副大統領だったオバマ政権時代に結ばれた「核合意」は、トランプ政権になってちゃぶ台返しにされた過去があります。
イランとしては米国から何らかの譲歩を引き出せなければ安易に復活させられません。
日本をはじめ欧州諸国などの各国としてみれば、核不拡散や資源エネルギー価格高騰対策として核合意復活が好ましいのは言うまでもありません。
米国としてはイランが弱って接近して来るのを待てば良い状況とも言えますが、米国もインフレに苦しんでいます。
中間選挙後の国内政治が厳しい状況のバイデン政権の苦境を見透かしたかのように、イランは対米姿勢を硬化させています。ロシアへのドローンや武器供与の話もその一環です。
近いうちにサウジアラビアの話も書くかと思いますが、
現状バイデン政権はサウジからもイランからも、ついでに北朝鮮の金正恩からも舐められています。
元はと言えば中東軽視の外交…というかバイデン政権の外交政策全般が色々と甘いように感じます。
このあたりは、「何をしでかすかわからない」トランプの方が何枚も上手です。
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現状を踏まえますと早期の核合意の復活はなさそうです。
しかし次期大統領に共和党候補が選ばれたら核合意の復活の可能性はなくなります。これはイランにとってもバイデン政権にとっても好ましい話ではありません。
イランにしてもバイデンにしても2024年の米大統領選の前までに「不可逆的」な核合意を結ぼうと色々画策するものと思われます。
イランと米国の外交関係は、そういう視点で見ていればある程度理解しやすくなります。
Posted at 2022/12/03 12:59:13 | |
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