
秋の日、恒例の季節の区切り(
閉館エベント)も来週に迫った頃、あらためてまた故人のクルマ造りの哲学を振り返ってみた。今回は4気筒車にまつわる話題、初めて知ったこと、その当時は櫻井さんの愛車が4気筒車だったとは。実は
自分も初めての
スカイラインが4気筒車(
1800TI-ES)だったので、今回のお話には親近感と深い理解を覚えた。クルマというのはグレードではなく、合理的な装備と、全体のバランスと実感。
続きは次週の
聖地行きで・・・・。
スカイラインと私―――13 (スカイライン設計主査・故・桜井真一郎)
いくつもの調味料を使わない
できるだけシンプルな味にしたかったのです。
人間の視覚というのはつくづくおもしろいものだと思いますね。つい先日も「スカイラインの1800や1600の室内空間も、2000ほど大きければいいのに・・・」というようなことを耳にして、なるほど排気量の少ないクルマはすべてが相似形で縮小されているという視覚の先入観がはたらくんだなあと。もちろん、排気量とは関係なくフロントピラーからリヤピラーまでの寸法はまったく同じなんです。さらに1800や1600の4気筒のスカイラインは2000の6気筒に比べて加速感が違う――これは乗っていただく方の経験や体質に合わせて多少性格の異なった性能になっていることはありますけど、それもロングノーズとかいったスタイリングあるいはGTとかGLといった呼び方の違いから受ける印象に負っていることがよくあるのです。このように私が突然4気筒の話をするのも、実はこれまで何回となく言ってきたクルマのバランスのこと、レースで培われた技術上の財産のことは、特別に6気筒だけに限定したものではないからです。たとえば、車の安定性の問題にしても“高速安定は6気筒のほうがいい”といった単純な考え方は間違っています。気筒数の多少とは無縁なものですし、ただ機構上の違い――ステアリングの構造だとかサスペンションのシステム、これはやはりお客さまの経験や体質に合わせて、例えばバウンダリーというか限界に近い乗りこなしをなさる方は6気筒車のほうが満足していただけるでしょうし、日常生活でそれほどシビアな使い方をなさらない方には4気筒車があるわけです。いわゆるハイグレードとかローグレードということではないんですね。いらない機能を押しつけがましく付けても意味がなく、要は構造をできるだけ合理的にして、その中でスカイラインらしい調和のとれた味を出したいと――実際、私の愛用しているスカイラインは4気筒ですけど6気筒車とはひと味違った味があり、どこへ行くにも何ら支障はありませんね。
Posted at 2011/11/06 11:04:25 | |
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