コモンレールインジェクターの清掃・脱着法
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R5.4.4加筆修正
R5.6.2再加筆修正
仕事が終わった後に作業したので画像が暗いのです、申し訳ありません。
インジェクターの脱着は各部の締め付けトルク管理と、いかにインジェクターを垂直に固定するか、しかありません。
が、燃料ラインですから組付け不良は車両火災や潤滑系統にスラッジを発生させ、致命的な不都合に直結する可能性があります。
ここが怖いところです。
インジェクターのカプラを外します。
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インジェクター清掃脱着のキモは組む時のトルク管理。
組付けトルクを厳格化することで後のトラブルを防止します。
組付けトルクの割り出しのためにまず、いたるところに合いマークを打ちます。
組む時には燃料や洗浄液で消えてしまいますから、マーキングした部分を一旦緩め、トルクレンチでマーキングした位置まで締めこんだ際のトルクの平均値を割り出すためのもの。
この方法なら整備マニュアルが無くてもトルクを割り出せます。。
燃料レールとインジェクターへのパイプのトルクは、両端ともアストロの17mmクロウフットレンチを装着した状態で20Nm
パイプを外します。
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同様の方法で割り出した、インジェクター直上の低圧側パイプのユニオンボルトは12Nm
ユニオンボルトはパイプから抜きません。パイプをユニオンボルトごと外します。
こうすることでユニオンボルトとガスケットの落下紛失とボルトの位置が入れ替わるのを防止します。
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インジェクターを押さえる分厚い穴あきシーソー板(黄色〇)を押さえる文鎮ナット(赤〇)はたったの4Nm。
このナットは天辺に黄色と白のマーキングと横腹に1本と2本線が入っています。
組付けの際に「正確に同じ回転数で同じトルクになるように組みなさい」ってことです。
外すときは元の位置にあったナット、ワッシャーを使うようにキッチリ並べて保管します。
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引っこ抜いたインジェクター。
ノズルの根元にワッシャーが入っています。
これ、ガスケットでした。
私はワッシャーだと気が付かなかったw
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ガスケットを外してノズルを清掃します。
特に黄色〇の部分はえぐるようにカーボンを掘り出します。
ここにカーボンがあるとガスケットに均等に面圧がかけられず、燃焼ガスがインジェクターホールに吹き抜けます。
また、ノズルの側面はこすっても大丈夫ですがノズル先端(赤〇)はヤバいかもしれません。
先端部にはポッチの根っこにくびれがあって、そこに噴射口があるそう。
噴射口の中は小さすぎて無理だが噴射口の周囲をキレイにすれば実質噴射口の長さが短くなる。
この部分を清掃するのにインジェクターを外したんです。
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家にある薬剤でいろいろ試してみましたが、どうもしっくりこない。
ネバついた茶色いものと石のように固い黒いものの2種の汚れで、最終的にはクレのキャブクリーナーと同社のエンジンコンディショナーを交互に使用し、歯ブラシで擦ってウエスで拭きとりました。
(後の作業で砂のような汚れが見られた。カルシウム系のアッシュのようにも見えた)
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ノズルの穴は0.1mmらしく、老眼が進んだ私の目では穴は見えませんでした。
持ってるカメラも相当古く映らない。
カメラも老眼なんでしょう。
0.1mmの穴から燃料が高圧で噴き出し、瞬時に火炎となって燃焼します。
上死点で3回も。
この厳しい条件化で育ったカーボンですから並の洗浄ではキレイにならないんじゃないかと思います。
超音波洗浄機以外はケミカルに頼ったほうが無難です。
というかそれしかない。
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ブログのほうにも書きましたが噴射口の周りのガビガビカーボンを人力で清掃して噴射口はケミカルさんにお任せって感じです。
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インジェクターホール内にはスラッジがあります。
燃焼ガスでオイルがスラッジとなって隙間を埋める仕組みなのでしょうか?
ここの部分はキャブクリーナーを吹き込みスラッジを溶かし、たっぷりのパークリでシリンダー内にバンバン流し込み、長いストローでピストンの凹みに溜まった液を吸い取った後、ストローにエアを接続して1分ほど吹きっぱなしにし、可燃ガスを燃焼室から排除しました。
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パークリなどの可燃物は吸気または排気バルブが開いているシリンダーがあるでしょうから、そこに入った可燃物に引火する可能性があります。
このリスクを少しでも減らすためにエアを1分ほど吹きっぱなしにする。
そうしないとエンジンがかかった瞬間にレッドゾーンまで回っちゃう恐ろしいことになりかねません。
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いよいよ組に入ります。
1.インジェクター先端部のガスケットは脱落防止のためにワセリンで接着し、インジェクターホールにインジェクターを収める
この時、タペットカバーのインジェクターとのオイルシールが密着しないことを防ぐ意味合いで、インジェクターのオイルシール当たり面にもワセリンを薄く塗布する。
2.台座抑えのワッシャーをいれて文鎮ナットをスタッドボルトに通しておく。手締めすらしない。
3.燃料レールからのパイプを接続し、軽く手締めしてインジェクターのねじれを防止する。
4.台座板がシーソーになるようにし、シーソーの高いほうの文鎮ナットを手締めして台座板に接地したところでシーソーを逆にし、もう一方も同じように接地したところで締め込みをやめる。
こうして文鎮ナットの締め込みスタート基準位置を出す。
5.文鎮ナットを同じ回転量で台座板に接地するまで手締めで締めこむ。
(シーソーの吊り合ったど真ん中の位置で文鎮ナットを台座板に設置させる)
6.文鎮ナットを正確に同じ量回転させ、2Nm、3Nm、と締めていき、最終的に4Nmで固定する。
この時、台座板はシーソーになっているので片側を締めこんだ時に例えば2Nmに達したら、必ず締めていたナットを少し緩め、反対のナットを締めて「同じ回転量」を保ったまま2Nmになるようにする。
(わかりにくくて申し訳ないです。
片方を90度締め込んだ時に目標の締め付けトルクに達したら、45度戻してもう一方のナットを45度締めて目標のトルクでの締め付けになるようにする)
ここは厳格に行うこと。
7.燃料パイプのナットを20Nm(アストロのクロウフット17mm使用)で締め付ける。
これも15Nm,17Nm、20Nmと3回に分ける。
8.インジェクターの頭の燃料パイプのユニオンボルトはインジェクターに刺さりにくい。
3番インジェクターにユニオンボルトを刺してから両方向に少し引っ張って残りのボルトを突っ込むと少し楽。
締め付けトルクは12Nm。
ここはユニオンボルトでデリバリーパイプ両面ガスケットを締め付けるため、12Nm1発固定で仕上げる。
ここを締めたり緩めたりするとガスケットに傷が入って燃料がにじむ。
9.各ガスケットは砥石で表面の傷を消せば再使用は可能。
が、推奨はしない。
ちな、私はR5.4.4時点で9回目の再使用(ペラペラなので次回は新品)。
10.パーツクリーナーなどで各部を脱脂乾燥させ、エンジン始動し10分ほど様子を見て各部から燃料のニジミなどがないか確認すること。
あとは燃料に混ぜた洗浄剤(マツダのデポジットクリーナーがおすすめ)が噴射口内部を洗浄してくれます。
50kmほどでエンジン音が変化し、100kmで燃焼音がガソリンエンジンっぽくなります。
まるまる1タンク分の燃料を使い切るころには良い感じになるのではないかと期待してます。
ちなみに洗浄直後は超絶ラフアイドル。
噴射量や噴射状態が変化しますから当然っちゃ当然です。
「やっば、壊したんじゃね?」くらいのラフアイドルですから驚くと思います。
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