『ナイトクローラー』における主人公の愛車遍歴（ネタバレ含む）

2015年に観た映画の中でも好きな方なのになぜか今まで触れてこなかったのでこの際書きます。
（因みに野暮なことを言えばこれ以上に好きな作品はいくらもありますが…書こうにも登場車種を把握しきれてなかったりしてかけないです）

主人公のルイスは最初の時点で1985年型トヨタ・ターセル（劇中では灰色。観てるときは車種が分からず後で調べて判明）に乗っていました。
正直言って自分にはぼろく感じましたがある意味『悪の教典』において主人公の蓮実聖司があばら家に住みダイハツ・ハイゼット（実写版ではS100/110P型、漫画版ではS200/210P型）に乗ってたのと同じような感じかも知れません。作品を観れば一目瞭然ですがルイスもまた根底は蓮実と同じく精神病質で所業が空恐ろしいものでしたし。あるいは冒頭でフェンス泥棒をしてたので単に貧乏だったからかもしれませんが。
その後、ルイスは動画を撮影しそれをテレビ局に売る仕事を始めるに際してもこの車を用いていますが、リックという兎に角金を稼ぎたいだけの謂わば屑な若造を助手席に乗せ事件現場へ車を走らせるもルート係として役に立たなかったりで不利を強いられたりしてました。

それから暫くして金が入ったことで2012年型ダッジ・チャレンジャーSRT8を手に入れます。
すみません、自分は当初これ目当てに観ることにしてました。ただ後にネタバレしない範囲で語られてる感想を観てそれ抜きで気になって観たところ…おお、これはある意味清々しい、って感じでした。
話を戻します。アメリカンマッスルカーとだけあって走行性能が高いですし個人的にはかっこよくて好きな車の1台ですが、これもまたいち早く現場にたどり着いて映像をゲットするぞというルイスの思いがにじんだチョイスかも、と思いました。とにかくターセルと比べると「成り上がってるなあ」って感じます（別にターセルを貶める意図はないです）し、ターセルよりこっちの活躍の方が多かったかも。
終盤では強盗（因みにキャディラック・エスカレードを仕様）VS警察のカーチェイス（パトカーはクラウンビクトリアと思われ）の中をチャレンジャーで追っかけてた三つ巴が印象的です。ドアミラーが落ちそうになってたし如何に激しいことか…（そしてカーチェイスの末にチャレンジャー以外横転してますし）。
尤も、それ以上にリストラ（意味深）の方が空恐ろしいですが。それ以前には死体を動かすわ普通に住居不法侵入してるわライバル社の社用車を弄って事故らせそれをスクープするとかしてますし…。

ラストでは会社がでかくなりシボレー・エクスプレスバン（車種に関しては調べるまで把握できてなかったです）をベースとした車両を2台導入してました。厳密には社用車ですがルイスが社長なので挙げてます。
なんていうか、とんでもねえこいつ。やばい所業のオンパレードの末にあそこまで成り上がってるんですから。
ただ犯罪なので本来はアウトですが意外と合理的なんですよねえ…。

観る前に「車の変遷で主人公の成り上がる具合が分かる」と述べていた方がいましたがまさにその通りでした。
作品の本質的な売りは「成功するためなら裏で何でもやるサイコパスな主人公のサクセスストーリー」「主人公は自分の中の掟はちゃんと守っている」ってところだと思いますがそういう視点で観ても面白いな、と思える作品でした。

あと今更ですが、ヒナタカさんに何度かご自身のブログで紹介していただけて誠に光栄です。こちらの更新ペースもあるので流石に毎度ってことはないでしょうが、紹介し忘れた際に謝罪したうえで追加してくださったこともあるので本当にありがたく思います。
「今週は紹介されてないけど関心の範疇外か見逃してるだけかもしれないしまあいいか」程度に思ってましたが、追加してくださったことを知ったときは驚くと同時に「以前も述べたけど書く意義があったんだな」としみじみ思うところです。