日産・レパードについて先日まとめてみましたが、ふと「ライバルであるトヨタ・ソアラの方もあげるべきかもしれない」と感じたため挙げるに至りました。
レパード以上に疎いので間違っていたらご指摘を。

70年代の欧米において、日本車は小型大衆車は高評価を誇っていたのに対し上級車種の評価が芳しくないことに加え地元企業保護の観点で輸入台数制限が敷かれていたことから上級車種を投入しないと利益が見込めないという背景があったそうです。


またトヨタ社内でも同社の代表車種である2000GTのような新しいイメージリーダーを要求されていたのも背景にあったそうで、メルセデス・ベンツ・SLクラスやBMW・6シリーズといった欧州の高級グランツーリズモが目標とされていたそうです(これらに関してはレパードも一説では参考にしたといわれておりF31型でそれが顕著ですが真偽の程は不明です)。

やがてレパードのデビューの4か月後の1981年2月にZ10型ソアラが登場します。なお、その前年には「大阪国際モーターショー」(大阪モーターショーとは別物ですがある意味前身と言える催し)において「EX-8」の名称で参考出品されていたそうです。
出足こそF30型レパードから遅れましたが、過去記事でも述べたようにそちらのエンジンが従来のSOHC方式でかつ105~145馬力であったのに対しソアラの方はDOHC方式をとっていたことから祖霊所に高出力化を図ることができたのもあってか170~190馬力を発揮しています(その後145馬力)。またレパードは廉価モデルが4気筒だったのに対しソアラは全グレードで6気筒に絞っていました。

それに加えエンジン以外ではTCCS、ECT、TEMS、エレクトロマルチビジョンといった先進技術も採用されました。

こうしたこともありレパードがブランドイメージを落としたのに対しソアラは高級パーソナリティクーペとしての地位を築き上げることができ、それに伴い元々同じ車格で存在していたクラウン2ドアハードトップも1983年以降は製造されなくなったそうです。まあ好きな方には申し訳ないですが個人的にクラウン2ドアハードトップよりソアラの方が魅力的に映りますしそれでよかったのかもしれません(別にクラウンの方が悪いわけではないのですが…)。

デジタルメーターに関してはレパードのF30後期型およびF31前期型にも影響を与えたのかもしれません(但し個人的にはF31前期型レパードのそれが一番好きだったりします。画像は割愛)。
因みに『あぶない刑事』27話においてライバルであるF31型レパードとカーチェイスをしていましたが、勝俣州和さん演じる犯人の所有車両という設定もあって最終的にはパンクさせられ御用となります。また、どういうわけかテールランプの接触不良を起こしていました(放送時点では後述するZ20型が現行型ですがそれでもああなるかなあ、と不思議に思うところです)。
それ以外にもあるのでしょうが把握できてないです。

1986年1月にZ20型にフルモデルチェンジしました。翌月にフルモデルチェンジしたF31型レパードにもコンセプト共々影響を与えたとされるぐらいにZ10型のエクステリアがすぐれてるということなのか曲線調にはなってるものの基本的にZ20型でもスタイルは継承されています(3車とも個人的にそのスタイルは好きなところです)。またデジタルメーターはさらに発展させる形で続投されています。
機能面においてはスペースビジョンメーター、エアサスが新たに採用されています。
開発に際しては「日本のプリンシパル」の別名を持つ実業家で自身もZ10型オーナーである白洲次郎氏のアドバイスも得ています(但し白洲氏は前年11月にこの世を去ってしまってるので見届けることはできませんでした。なお余談ですが白洲氏は
白戸家の元ネタと言われています)。

インパネはZ10型同様のデジパネでした。
販売時期がバブル景気手前ということもあり高級にも拘らず売れています(F31型レパードも同様のことが言えそうですがあちらの場合『あぶない刑事』での活躍の方が強いといえるでしょう)が、暴走族も手を出してたこともあって社会問題化したそうです。

ただ裏を返せばチューニングベースとしてもよい素体ということなのかもしれません。何しろ兄弟車種がA70系スープラ(こちらの方が寧ろ素体としては良さそうですけど)ですし、販売終了から10年以上経っても現役で用いられた例は聞いたことがあります。フィクションも含めれば2015年公開の
『ガールズ&パンツァー』劇場版で自動車部が使ってましたし。それにしてもまさかあの作品で見られるとは…。
ガルパンの例に関しては自分の周囲でも話題になっていましたがそれ以上に浅見光彦シリーズにおいて主人公が白い個体を愛車としていることの方が有名でしょう。ただあの作品のシリーズは殆ど押さえてなくて疎いのですが『熊野古道殺人事件』によればローン支払いは完了したもののその後「軽井沢のセンセ」が事故廃車にしてしまったそうです。何ともひどい話です。
それ以外にも登場作品はあるでしょうが押さえられてません。

1991年5月にZ30型にフルモデルチェンジしました。
トヨタ自動車の高級車ブランドであるレクサスから販売されている「SC」(なお、レクサスにおいては初の2ドアクーペ)のバッジエンジニアリング版として登場しておりある意味でJY32型レパードJ.フェリーと経緯は似ていますが先代、先々代と比べてコンセプトががらりと変化したレパードJ.フェリーとは違いZ10型、Z20型同様の高級2ドアクーペとしてのコンセプトは不変でした(まあ、JY32型にフルモデルチェンジするまでの1年間はF31型だったのでその間は…ね)。

デジパネも続投ですし。
ただ、北米市場では受けたものの日本市場においては過去のモデルと比べて日本人になじみが薄いデザイン故に販売は不調だったそうです。それでもレパードJ.フェリーと比べればマシだったのか結果的に10年ほど販売されることとなります(過去のモデルの場合スパンは大体5年ぐらいですしレパードと比べて人気だったのにそちらの方がスパンが長かったりします)。

あと、この代は最近でも意外に見かけますし、ハイパワーFRクーペなのでD1グランプリでも一時期使用されていました。尤も、兄弟車であるA80型スープラの方がより競技に用いられることが多かったでしょうが。
因みに誕生の経緯上輸出は念頭に入れられてましたが実際に輸出されたのはZ30型になってからです。Z10型・Z20型の頃に輸出されなかった理由は不明ですがZ30型がSCのバッジエンジニアリングとなりその代から輸出されるようになったのはインフィニティ・M30の存在だろうなと勘繰ってしまいます(どちらもエンジン排気量は3リッター仕様がありますし)。
Z20型同様浅見光彦シリーズにおいて主人公が白い個体を用いていますがこれはZ20型が軽井沢のセンセの所為で廃車となった後に彼が弁償したからと聞いたことがあります。というかZ20型よりも寧ろZ30型の方がテレビドラマ版ではよく用いられています。
また『64ロクヨン』後編でもとある人物が白い個体を所有していました。

2001年4月にZ40型にフルモデルチェンジしました。
Z30型同様レクサス・SC(エンジンが4.3L V8だけなので「SC430」。以下同表記)のバッジエンジニアリングとなるのですが、過去3代が2ドアクーペだったのがZ40型ではクーペカブリオレとなったことに加え後席はかなり狭くなってしまいました。
また外観の感じが変わってしまった挙句ジェレミー・クラークソン氏から酷評されたこともあります。
エンジンは過去3代で採用されていた直列6気筒が廃止されV型8気筒(UCF30型セルシオにも搭載された4.3リッターモデル)だけとなりました。

インパネもZ30型までのデジタル式からアナログ式メーターに変わりました。
タイヤに関してはトヨタ車で初めてとなるランフラットタイヤ(パンクしてもある程度の距離が走れるタイヤ。当時は現代と比べ採用数が少なかった)がオプション採用されていました。
しかし先述の不格好なデザインに加え車格に不相応な大排気量や自動車税、MT仕様がないこともあって販売は不調でした。

そして2005年8月に「レクサス」ブランドが日本でも展開されるのに従いソアラの名は廃止され日本においてもSC430を名乗ることとなりました(その際マイナーチェンジが加えられています。個人的にはマイナーチェンジ後の方がデザイン的には好きです)。SC430を名乗って以降はサービス向上に伴い価格も向上しましたが売り上げも向上したそうです。とはいえ2010年7月には生産終了となりZ10型ソアラからの29年にわたる歴史に終止符が打たれました。
因みに『ターミネーター3』ではマイナーチェンジ前のSC430が登場しており、T-Xが「この車気に入った」と言って元の持ち主を殺害して奪い、それからケイトの職場に向かっていますがT-850と交戦の際に大破していました。公開が2003年(つまりレクサスの日本進出の2年前)のためDVDの字幕では「そこのソアラ、止まりなさい」(吹き替え版では「シルバーのレクサス、止まりなさい」)となっています。またT-Xの重量(設定では150kg)でSC430の骨格が軋むシーンも撮影されてたようですが「最新鋭なら重量問題が改善されてないのはおかしい」という意見からカットされたそうです。
あと、『ワイルド・ルーザー』でも地味に登場してました。

あと、モータースポーツの場ではスープラに代わりSUPER GTのGT500車両としてデビューし2013年まで活躍していたほか(なお、画像は2013年度参戦仕様)、一時期D1グランプリにも参戦していました。

29年の歴史に幕を閉じてからは後継車種はありませんが、2009年から2014年にかけてレクサスにおいてクーペカブリオレとして「IS C」が存在しておりこれが代替ポジションと言えるでしょう。
4代でコンセプトがばらついてたレパードと違いソアラはどの代もある程度ばらつきは少ないですし一応ずっと2ドアだったのでどの世代の系統でもつながるといえるでしょう。

2014年にはその後継として「RC」が登場しているので現行車種ではこれがポジションを担うといえます。
車格的には違うかもしれませんが、Z40型以外には連なるかと。

またそのハイパフォーマンス仕様である「RC F」をベースとした(尤も、SC430の頃にも言えることとして「厳密には外観を似せた」ですが)マシンがSC430の後継としてGT500に参戦しています。
GT300クラスにもGT3仕様が参戦しています。
因みにGT500、GT300ともに日産・GT-Rが参戦していますが過去記事で(半ばこじつけながら)レパードのポジションを担う現行車種と述べたことがあるのでその意味では「レパードVSソアラ」の関係性は現在でも「GT-R VS RC F」という形で受け継がれているのかもしれません。

2017年にはSC430とほぼ同じ車格で「LC500」が登場することが予定されています。
また同車はGT500仕様が登場し同年度から参戦するとの噂がある(可能性は高いのですが確定はしていません)ので「GT-R VS LC500」で(やはりこじつけですが)本格的に受け継がれるのかもなあ、と考えたりもしてます。
記事は以上です。