
9月8日に観てきたので書きます。ていうかところどころ忘れてます。
音楽を聴くとジェイソン・ボーンに匹敵するのではと思える程の運転技術を魅せ警察を振り切る青年を主人公としてるだけあって、カーチェイスを始めとして所々で名曲をバックにしてテンポの良い演出に目を魅かれ小気味よかったです(カーアクション版『ラ・ラ・ランド』と評した方が居たのも頷けます)。それだけに、もし自分が楽曲への造詣がより深かったならもっと楽しめたのかもなあと思ったところもまあありましたが(楽曲が主人公であるベイビーの心理面を表していると思しきところがあったように感じたので)。
あと、主人公が「ベイビー」と呼ばれてる理由は本編では明確に述べられていませんでしたが、作中で描かれていた事柄を考えると大体想像はつきました(特に終盤で。ネタバレしてもアレなので詳細が書きづらいですが)し、そこに至る過程を考えると作品の魅力は「音楽×カーチェイス」もですがそれ以外に「ベイビーがどんな人物か」というのにもあるかもしれないと自分は感じました。
本題に入ります。
そもそもベイビーが「驚異的な運転技術から銀行強盗における運転手役の裏稼業を任されている」ことから、劇中では様々な車両が用いられています。パンフレットでの記述によれば、カーチェイスシーンは派手でなければいけないものの何よりもリアリティを大事にしており、エドガー・ライト監督は米国で盗難に最も合ってる車種を調べ上げた上で決めていったそうで、150台以上の車種全てに明確な役割を与えているらしく、また実際の運転手役からのリサーチで街中を普通に走ってるような白やグレー、赤の車や交通の流れに溶け込むような車が使われるそうです。

冒頭の銀行強盗からの逃走に於いて用いられたのは赤の2006年型スバル・インプレッサWRX(劇中やパンフレットでは「スバルWRX」と記述されてますが、それだと
後継車種の方になるので厳密には違います)です。
劇中での活躍は上記映像(因みに
日本語字幕版もあります)を観れば一目瞭然ですが後に削除される可能性をもあるので一応説明するなら、銀行前で停まってベイビー以外が降りた後は彼が音楽を聴きながらご機嫌に待機し(どうでも良いけどフロントガラスが渇いてる時はワイパーは動かさない方がいいと聞いたことが…)、強盗が済んで拾った後はまさに見ものと言えるでしょう。
バックしてからサイドターンで方向転換し、それから追ってきたパトカーを赤信号で振り切ったうえで交差道路の走行車両とクラッシュさせ、バンの見えたところで脇道に入ったと思ったらサイドターンで車両を躱し(元車種の駆動方式からか前輪でスライドさせてたので個人的にすごい軌道だと思いました)、更に前にスパイクストリップを置かれても上手い具合に躱して警察車両の方をパンクさせたり、後ろから大量のパトカーに追われ前に1台パトカーの妨害があったと思ったら反対車線に進入して対向車を躱し逃げ、ハイウェイに差し掛かったところで赤い車両2台が横並びになってるのを見つけるなり2台の間に入ってからトンネル内で上空から見て一番左側の位置になるよう移動して上空ヘリからの判別を掻い潜ってハイウェイを抜け最後は立体駐車場で乗り捨てました。
割とこれ目当てに観に行ったところはあったものの登場したのはここぐらいですが、存在感は個人的に日本国内だと割と大きかったように感じます(日本車ですし)。あと、スバル車と言えば青のイメージがある上に赤だと目立ちそうな感じがしましたが、先述の逃走車両運転経験者の発言もあるのでおかしくはないんだなと納得しました。
なお、撮影の用いられた車両は、2004年型のエンジンに換装された上に後輪駆動に改造されていたり(元車種は前輪駆動ベースの全輪駆動)、インプレッサWRX STI(例外はありますが、リアウィングが大きい方がWRX STIで小ぶりなのがWRXと捉えても差し支えないでしょう。なお、『キングスマン』序盤でエグジーらが盗んだ黄色い奴はWRX STIの方です)にWRX用ウィングを装着した個体などが用いられましたが、
前者に関しては後にeBayで売りに出されています。

なお、インプレッサを乗り捨てた後は黒の2014年型トヨタ・カローラ(
日本で発売されてるものとは違います)に乗り換えていました。

その後、最後の案件のつもりで参加した強盗では黒の2007年型シボレー・アバランチが用いられました。

ベイビーからすればいつも通りやる感じのつもりだったのでしょうが、バッツが職員を殺害したことを悟って動揺したのもあってか青の2002年型ダッジ・ラムにぶつけてしまうも何とかいつも通りの腕を見せて逃げられたと思いきや、ラムのドライバーが執拗に追いかけ突進しトラックのトレイラーに挟まれたりもしましたが抜け出し最後は未舗装地帯を通って別車線に移りました(ラムのドライバーも同じことをしようとしましたが、横転しました)。
ただその過程でバッツがラムのドライバーを殺そうとしたのを阻害したことで仲にヒビが入りかけた上に最終的に渋滞に巻き込まれて乗り捨てることになりました。

そのため土壇場で母子が乗っていた赤い2007年型サターン・オーラを奪取し、立体駐車場で乗り捨て用意された車両(最初はわかりませんでしたが2台のうちの片方は銀の2013年型フォード・トーラス)に乗り換えました。

なお、奪取の際にベイビーは赤子をちゃんと母親のもとに返してやっていましたが、バッツからさらに目を付けられることとなりました。尤も、これに関してはそれ以上の失態をやらかしたJ.D.の方が重罪だったらしくその後死体となってトーラスのトランクに入れられていましたが…。
そのトーラスは後にドクの指示により、ベイビーの手で死体ごとスクラップにされましたが、この時ベイビーは両親の死の原因となった交通事故を思い出していました。彼にとっては車≒呪縛の意味合いもあったのでしょう。

堅気になったベイビーをドクが半ば強引な形で誘うこととなった郵便為替強盗の際には青い9代目三菱・ギャラン(なお昔は日本でも同名車種が販売されていましたが、それとは別の北米専売車種)が用いられました。
参加したものの、これまでの件で他の面子(主にバッツ)が自分と違って他者の命を軽んじてる節があったことに加え一刻も早くデボラと駆け落ちしたいと思っていたベビーは運転を拒否、するとバッツが銃口を向け動かすよう言いますが、ベイビーは後退ではなく前進させたことで前に停まっていたトラックから出ていた鉄棒でバッツを串刺しにします。いきなりの行動にバディ、ダーリンは驚きベイビーとともに乗り捨てたのでした。
因みに車内で待機していたベイビーは行員が近くに現れた際に、このままだとバッツらに殺されると踏んだために離れるよう促していました。彼が本当は優しい人間であることを指し示す描写の一つですが、結果的にこれがラストの展開に繋がるのが本当に好きです。
ところでストーリーと関係ないどうでもいいですが、「赤いスバル車と青い三菱車って逆だろ」感がするのは自分だけでしょうか。いや、それはそれで好きですがイメージとしては色が逆なので。

その後警察に追われながらベイビーは婦人から紫の1986年型シボレー・カプリスを奪取し里親の家に戻ります。
この時は銃で脅してはいましたが乗り気だったわけではなさそうでしたし、またラジオで流れてる曲を状況に合ったものにして調子を取り戻すと婦人にバッグを返したうえで立ち去っていました。これもまたベイビーの優しい人格だよなあ…。

デボラの勤務先に赴いたベイビーはそこで、ダーリンが死んだのを逆恨みして追ってきたバディと一触即発になるも咄嗟の隙を突いて発砲し、それから偶然遭遇した赤い2015年型ダッジ・チャレンジャーSRTヘルキャットを奪取しドクのアジトに向かいました。なお、持ち主から携帯は返してほしいといわれましたが返してもらえませんでした。しかもその後アジト地下駐車場で暴走したバディによってクルマも大破させられましたし…ご愁傷様です。
それにしても「もしかして『ナイトクローラー』ぽくなるのかなあ」と観てる間思ったりしてましたが、赤いチャレンジャーがまさか現れるとは思ってませんでした。まあ、あちらは年式もグレードも違いますが(寧ろワイスピ7でレティが乗ってたやつの赤い版といった方が適切)。

バディが地下駐車場に現れた時には2011年型ダッジ・チャージャーパーのアトランタ警察車両に乗っていました(該当するようなのが見つからなかったのでワイスピMEGA MAXの奴の画像を今回は使いました)。デボラの勤務先において、ダーリンが「バディは怒らせるとバッツより怖い」旨が述べられていたのでもしかするととは思ってましたが、ダーリンを喪った怒りを露にしてベイビーとデボラに襲い掛かりました。
地下駐車場に現れると、ドクの銃撃にもびくともせず彼を跳ね飛ばし、Sクラス(後述)のキーを掴んだベイビーのことも跳ね飛ばそうとしていましたが彼も発砲しパトカーを躱して壁に突っ込ませた後ドクの愛車に乗り込んで応戦します。立体駐車場でバックしながら逃げる車両を追うも駐車車両に激突、その後車両が乗り捨てられたのに気づくと車内の拡声器を使って「O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?(おおロミオ、あなたはどうしてロミオなの)」と呼びかけますが、それからベイビーの策により横っ腹に突っ込まれ動きが止まったところを駆け付けた警備員に発砲した後で前方からベイビーの運転する車両に突っ込まれ押され発砲して応戦するも弾切れ(この時BGMとリンクしてるのが面白いです)を起こし最後は地面に真っ逆さまに落ちるます。それでもバディはぎりぎりで脱出し応戦してベイビーの聴覚にダメージを与えますが、デボラが攻撃しもみ合ったすきをついて発砲し、バランスを崩したバディは地に落下しパトカーと運命を共にすることとなりました。
ベイビーとデボラVSバディの様子がクイーンの『ブライトン・ロック』にのせて小気味よく展開されていたのは実に印象的です。

チャレンジャーは使えなくなり、半ば仕方ない形にせよ逃亡を手助けしてくれてたドクもバディに轢き殺されてしまいますが、ベイビーとデボラは彼の愛車である黒いW222型メルセデス・ベンツ・S550を用いて、バディから逃走します。それにしてもバックで応戦するとは…バックカメラがあるとはいえ狭い立体駐車場内でなのですげえ…。
とはいえ最終的には裏を掻かないとバディに勝てないこともあり乗り捨てました。
なお、これ以前にも成功報酬をトランクから取り出したり、ベイビーがドクの甥と共に銀行の下見する際にも用いられていました。

それから二人は1987年型シボレー・K5ブレイザーに乗り換え応戦します。
バディとの死闘の後に二人で逃避行を行ないますが、最終的に警察が待ち受けており、ベイビーは出頭したのでした。
書ける分は以上ですが、思い出したらまた追記するかもしれません。