
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』を観ながら「『ミニミニ大作戦』観ないとなあ」と思い立ち1969年版、2003年版ともに観たので書こうと思います。
まず1969年の方から。
作品としては元々が低予算作品だとか60年代という時代ということもあってか良くも悪くもばかばかしく思えるような描写が拝めるのは素晴らしいといえるでしょう。
それでいて監督がカーアクションに拘りかつ原題が『The Italian Job(イタリア人の仕事)』で「イタリア警察の後手後手ぶりを皮肉ってる」作風にもかかわらずイタリア当局が撮影に全面協力したおかげもあって終盤のトリノ市内でのカーチェイスが普通に見ごたえありました。しかも車をピンからキリまで惜しげなく潰していく感じなので勿体なく感じる一方でよくぞやってくれたという想いもあったりします(潰さんほうが個人的にはいいですが、それでも惜しげなく潰すのは「妥協しない気概」ともとれるのでこれはこれでいいと思う口なもので)。
ただ、本格的活躍は終盤なのでミニクーパーの疾走だけが目当てなら我慢が必要かもしれません(自分は他の要素も楽しんだので問題なかったです)。
あとは当時30代だったマイケル・ケイン氏が若々しいのなんの(壮年になってからの活躍しか知らないもので)。
彼が演じるチャーリーの惚けたキャラもまた魅力の一つといえるでしょう。
そんなわけで登場車種について。
作品と関係ないネタも出しますがご容赦を。

言わずもがな最大の主役は赤、白、青のユニンジャックカラーの1967年型オースティン・ミニクーパーS 1275といえるでしょう。
最初の練習段階ではなかなかうまくいかない様子がうかがえましたが、本番では奪った400万ドルを乗せた後で現代の日本国内の軽自動車規格(全長3,400 mm以下、全幅1,480 mm以下、全高2,000 mm以下)を下回る全長3,051mm、全幅1,410mm、全高1,346mmという小さい車体で渋滞をものとせずトリノ市内の建物やアーケード街を横切り、ビルを飛び越え、下水道をくぐったり…を経てバスに乗り入れ、そこで金を回収したのちに峠で谷底に落として処分しました。
世界的にはこのいわゆるオールドミニといえばこの作品なのかもしれませんが、そもそもとして起用されたのは60年代英国を代表する車というのもあるそうです。
そして1959~2000年までの間さほど外観を変えず生産・販売されたのはそれだけ魅力があったのかもしれません。日本でも『シティーハンター』シリーズで冴羽さんの愛車になってる等してるぐらいですし。

冒頭、峠道を疾走する長回しのシーンではオレンジの1968年型ランボルギーニ・ミウラP400が登場していますが、トンネル内で重機に潰され爆発の挙句傾斜に落とされ粉々になって川に流されていました。
後継車種であるカウンタックなどと共にランボルギーニ屈指の名車の一つともいえるだけに何とも勿体ない使い方ですが、それだけになんとも豪快です(それこそ先述した想いもありますし)。

チャーリーが娑婆に出た後に引き取るのはシルバーの1962年型アストンマーティン・DB4コンバーチブルです。
その後もローナが乗って移動したり、ピーチ教授勧誘の際に女性をたくさんのせていたりしていましたが、峠道でのマフィアの襲撃で先述のミウラ同様の結末をたどることとなります。
アストンマーティンといえばDB5の印象が強いですが、こちらはこちらで美しいのでええなあ、と。


また峠道での襲撃ではジャガー・Eタイプ(オレンジの1961年型ロードスターと黒の1962年型クーペ)も登場していました。この2台も重機で潰されましたが谷底には落とされていませんでした(それでも廃車だろうなあ…)。
ロードスター仕様がメジャーな気がしますが、クーペもかっこいい(ただ、1971年以降のは)しS30型ダットサン・フェアレディZやトヨタ・2000GTももしかしたら無意識にその影響を受けたのではと個人的には思ってます。

400万ドル強奪作戦に於いてミニクーパー3台以外に用いたものとして裏道を使って渋滞をものとせずに輸送車を襲撃する際の1965年型ランドローバー・シリーズIIa 109があります。

イタリア警察のパトカーとして1963年型アルファロメオ・ジュリアTI(言わずもがなイタリアの国産車。補足するならフィアット系列)が用いられていましたが、ビルを飛び越えられず、建物の屋根で追い詰めたと思いきやまんまと逃げられ、下水道を抜けたらクラッシュして川流れに会う、など散々でした。

チャーリーらを追うマフィアが乗っていたのは黒の1967年型フィアット・ディーのクーペ2000でした。
最終的には渋滞に引っかかって身動き取れずとなっていました。

ミニクーパー3台を回収したバスは1964年型ベッドフォード・VAL14ハリントンでした。
なお、最終的には谷に引っかかって動かなくなる落ちになっていました。
次は2003年版について
1969年版でも感じたことながら、偶然かもしれませんが『ワイルド・スピード』シリーズも『MAX』以降の作風は半ばこんな感じだったよなあ、と観ながらふと思ったりもしました(2作目もややその様相はありますが4作目以降ほどではないでしょう)。
もしかしたらワイスピの後年の作風は『ミニミニ大作戦』の影響を無意識に受けていたのかもしれませんが、確固とした証拠はないので飽くまでも完全に自分の推測ということを強く念押ししておきます。
ただ、8作目の監督がF・ゲイリー・グレイ監督でジェイソン・ステイサム氏とシャーリーズ・セロン氏が共演してるとか、スピンオフではステイサム氏演じるデッカードが「昔ミニ使った」と発言してたりするので全く関連がないとも言えないでしょう(尤も作中に登場してたのは古い方であり2003年版で用いたのは新しい方なので細かいことを言えば異なりますが、それでもあの台詞はGJです)。
1969年版と比べるとアクション方向に力を入れかつ「何のためにやるか」のテーマで進めてた感があります(ピンク・フロイドの『マネー』のカバーが用いられていたのも「単に金のためだけじゃねえ」ってことでしょうし)。
どうあれ、1969年版同様深く考えず気楽に観るのがいいでしょう。
あと余談ですが、1969年版は動画配信サイトになかった一方でTSUTAYA京橋店でDVDを見つけて観ましたが、2003年版は同店舗に置かれておらずnetflixで観ました(U-NEXTでも確認のため観ましたが、こちらは吹替版がないようなので注意)。
そんなわけで登場車種について。

主役はもちろん赤・白・青のミニですが、本作では青・白がR50系BMW・ミニクーパー、赤がR53系BMW・ミニクーパーSとなっています。なお、青はチャーリーが、白はハンサム・ロブとレフト・イヤーが、赤はステラが用いていました。
90馬力の通常仕様を116馬力に出力向上させたのがクーパーでそれにスーパーチャージャーを装着し163馬力に出力向上させたのがクーパーSですが、外観としては給油口(カバーがあるのがクーパーで、カバーがなくキャップ丸出しなのがクーパーS)とマフラー(右1本出しがクーパーで、真ん中2本出しがクーパーS)の差異があります(違ってたらすみません)。
標的である邸宅へ金塊50億円分奪還にあたって幅183cmの廊下をくぐるために小さめの車両を使うのがいいと考えミニ(全幅1690㎜)を用意しコースを作って練習→コンディションに合うよう改造を経ていざ実践!…のつもりがいざ現場に行ったら隣家のパーティによって計画を変更し、ぶっつけで輸送車を襲うこととなります。
そして階段を降り、ホームを疾走して線路に降り(ロブの個体は地下鉄にリアを接触していましたが無事線路に着地)指定場所で輸送車(爆弾で道路ごと落とし孔に看板を落としてました)の金塊を奪ってからは追手のバイクから逃げながら下水道をくぐり(1969年版と同じですが、銃弾を躱しつつという差があります)、ロブの個体がドアを開けてバイクを倒したりしていました。
その後はチャーリーの個体がヘリコプターをひきつけ駐車場で一騎打ちとなり、ローターで左部分を抉られつつも抜け出し駅で他の2台と落ち合い列車に乗せられました(1969年版と違い処分はされませんでした)。

そしてステラの愛車として赤の1997年型ローバー・ミニクーパーが用いられ、大型SUV2台の間に縦列駐車したり、チャーリーとともにメンバー全員集合の際に登場しました。
いざという時に最終兵器として登場したら…と思ったりもしましたが、たとえ少しの活躍でも登場が拝めたのがよかったです。


序盤のベニスでの仕事を終えて場を後にする際に用いられたのは1996年型イヴェコ・デイリーです。
途中、雪山で仲間のスティーブの裏切りが発覚し、スティーブの仲間が1993年型ランドローバー・ディフェンダー110で立ちはだかったことに加えてステラの父でチャーリーが慕うジョンが凶弾に倒れたことからロブの機転で湖に発信させ難を逃れますが、ジョンの命が失われることとなりました。



それから1年経ちジョンの弔い合戦でスティーブの金庫を奪うためにチャーリーはベニスのメンバーとステラを誘います。
その際、ライルは黄色のドゥカティ・748に、レフト・イヤーは茶色の1976年型キャデラック・セヴィルに、ロブは黒の1997年型BMW・840Ciに乗って集まりました(その後もちょくちょく登場します)。

なお、その際にロブが高速道路で大勢のパトカーに追われカーチェイス記録を塗り替え、刑務所にはテレビを見た女性たちからのファンレターが110通も来たという話がされていましたが、その時に乗っていたのは黒の1970年型シボレー・ノヴァでした。

また金庫奪還計画に際し渋滞状況を確かめていたロブの前にいた警官役の練習に没頭して信号が変わったのに気づかずロブにクラクションを鳴らされた男が乗っていたのは黒の1986年型クライスラー・レバロンコンバーチブルでした。


スティーブの家には清掃業者を装い1998年型ダッジ・ラムバンに乗って侵入しますが、そこでスティーブが緑の2002年型アストンマーティン・V12ヴァンキッシュを所有していることを知ったロブから「俺の車を盗みやがった」と毒づかれていました。これに関しては「ベニスの仕事が片付いたら手に入れようとしてたものをよくも…」って意味でしょう(ライルも似たようなことを毒づいてました)しオチでも反映されていますが、役者的には『ワイルド・スピードSKY MISSION』のデッカードがアストンマーティン・DB9に乗ってたのを思い出しました。
後のシーンでは外出するにあたって乗り付けていました。その隙に乗り込んで爆破しようとしますが、隣家のパーティによりできずステラがディナーに行ってスティーブを誘う羽目に陥りました。


スティーブが口封じに殺害した仲介人の従兄弟が乗っていたのは2002年型キャデラック・セヴィルSTSと2003年型キャデラック・CTSでした(いずれも黒。後者は『マトリックスリローデッド』の高速道路のシーンをふと思い出します)。

終盤、チャーリーの乗るミニを追うにあたってスティーブは通りすがりの赤の1995年型フォード・ブロンコを奪い追いかけていました。

全てが終わった後、ロブは黒の2000年型アストンマーティン・DB7ヴァンテージヴォランテを入手していました。
それにしても慣らし運転で速度違反とは…w(注意だけで済みましたが。なお、レフト・イヤーは豪邸を、ライルは女の服を吹き飛ばせるスピーカーを、チャーリーはステラとの人生を手に入れています)。