
映画館で観たものの、吹替版はやってなかったので改めてレンタルして観ました。
個人的には結構好きですが、暴力描写は割と遠慮してない(特に終盤)ですし、主役のリックやクリフの人間性が割とアレに思えるので観る人は選ぶかもしれません。
ただ、暴力描写の点は個人的にはある意味痛快です。また、人間性に関してはアレでもプロ意識がないわけではなさそうですし、「まあ、
あいつが指揮してた集団よりはましだよなあ…」ってなります(ただ、リックやクリフはともかく、ブルース・リー氏に関しては親族から「現実の彼はこんな人じゃない」と苦言を呈されていますしパンフレットにおいて町山智浩氏がタランティーノ監督にインタビューした際にも氏から不満が出ていました。これに関しては、生前のビデオや発言を見るに高慢な側面は実際にあったものっぽいと監督が町山氏に返しており、また個人的には「あれは現実のブルース・リー氏じゃなくて作中のだから」と納得していました)。
嘗ては名を馳せていたものの今や落ち目の俳優およびスタントマンが描かれていますが、ある意味これは当時の映画業界を懐かしむタランティーノ監督の思いの側面とともに、ひとりの若い女優の前途洋々さとの対比や現実において彼女を襲う事件の悲劇性を個人的には余計に感じるところです。
あの事件に関しては作品以前に偶然知っていましたが、なんとも胸糞が悪いです。一連の事件で犠牲となった方々や遺族だけでなく、
自分の楽曲を聞いて凶行に及んだとされたビートルズからしてもたまったもんじゃないでしょう。
知らずに前の住人がいるものと思って襲撃したのか、劇中にあるように住人が変わっていると知っていて襲撃したのか、実際のところは当人のみぞ知るところです(2017年に亡くなってますし訊くことはかないませんが、僕は前者だと思っています)が、いずれにしても理不尽極まりないです。
タランティーノ監督が真に何を思ったかはわかりませんが、「せめて映画の中ででは…」とは思ってたのではないかという意見はあり、僕もおおむね同意です(そしてそれが個人的にはいい点だと思いました)。
いずれにせよ、終盤のあれは妙に印象に残ります(あの曲はもともと好きでしたが、あれでより印象に残りました)。
出典:https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=017310
あと、主役二人の関係性にブロマンスを感じたという意見もあります。
個人的にも納得ですし、その意味でふと『フォードVSフェラーリ』におけるシェルビーとマイルズの関係性が浮かびました(劇場観賞時はともかく、レンタル時には当該作品は観てるので。ちなみにそちらもレンタルしたので後日執筆予定です)。どちらも現実の出来事が下敷きとなっている共通点はありますし。
尤も、あちらの場合マイルズはともかくシェルビーはそこまでアレな感じは個人的にはないのに加え舞台となる年代はやや異なりますが(さらに言えばあちらは二人とも実在人物ですが、先述の文ではあくまで現実のではなく劇中の人物のことを言及したので敬称は省いてます)。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:A172_(24193062889).jpg
本題に入ります。なお、劇中劇の登場車種は省きます。
リックの愛車として登場し、クリフが運転する車として黄色い1966年型キャデラック・クーペドゥビル(劇中でも字幕版では名前が登場しています)が登場しています。良くも悪くも当時のアメリカらしい車といえるもので僕も割といいなと思います。
リックを彼の自宅や撮影現場に送ったりしたほか、リックの『対決ランサー牧場』撮影の合間にはヒッピー少女のプッシーキャット(
あれな響きがしますが置いときましょう)を彼女が仲間と暮らしているというスパーン牧場を送りますが、奇しくも彼にとって馴染み深い撮影所であったことから違和感を抱いたことから着くなり彼女の仲間を説得して牧場主のジョージ・スパーン(なお、ブルース・ダーン氏が演じていますが、元々はバート・レイノルズ氏が演じる予定が前年に他界したことから友人のダーン氏が演じる運びとなりました)と久々の再会を果たすと共に、ジョージが両目失明・記憶混濁した状態で監禁されかつ牧場がマンソン・ファミリーのコミュニティとなっていることを知ります(なお、クリフ云々はともかくとしてコミュニティにされていたこと自体は史実通りです)。
その後、ヒッピーらからヤジを飛ばされつつも帰ろうとしますがパンクさせられたことに気づくと嘲笑したクレム・グローガンをボコってタイヤ交換させたのでした(まあ、そりゃ切れますわ。ていうかわかってたことですがあいつら普通にどうかしてます)。
なお、ボコったことはチャールズ・マンソン(通称「チャーリー」)の耳にも入りましたが、彼の到着前にクリフは牧場を後にしてリックを迎えに行きました。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:VW_Karmann_Ghia_Cabrio_(2014-09-13_7155).jpg
なお、クリフ自身の愛車は水色の1968年型フォルクスワーゲン・カルマンギアコンバーチブルで、自宅であるトレーラーハウスに帰る際に登場しました。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:68_Lincoln_Continental_(7810753574).jpg
スタントマンコーディネーターのランディ・ミラーの妻であるジャネットの愛車として青い1968年型リンカーン・コンチネンタルが登場しますが、過去にクリフとブルース・リーとの間で喧嘩になった際にクリフがブルースを投げて右側が凹む事態となりました(これがクリフの活動を狭める遠因となります)。
そもそもとして人の車を傷つけるのがよくないのはいうまでもないですが、さらに言えば高級車(「リンカーン」はフォード・モーターの高級車部門のブランド)なだけに尚更な感があります。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1950_MG_TD_(932306839).jpg
ロマン・ポランスキーの愛車として黒の1950年型MG・TDが登場し、シャロン・テートを助手席に乗せてプレイボーイ・マンションで行われるパーティに向かっています。
いやはやおしゃれです。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1969_Porsche_911_2.4.jpg
なお、シャロン自身の愛車は黒の1968年型ポルシェ・911Lスポルトマチック(ただし撮影に用いられたのは1973年型911S)で、自宅前に停められている他にはヒッチハイク中のプッシーキャットを乗せて談笑する場面がありました。
後の展開を考えると彼女が実行犯の一人でないとはいえ割と恐ろしい気もしなくはないです…。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1968_Pontiac_Firebird_(7974429089).jpg
シャロンの友人(というより元カレ。作中の現在でも未練があるためポランスキーがやらかすのを待つために夫妻と行動を共にしているとのこと)のジェイ・シブリングの愛車として黄色い1968年型ポンティアック・ファイアーバードが登場し、劇中では1969年8月8日夜に身重であるシャロンを含めた友人らとともにレストランに向かう際に用いられました。
なお、現実のシブリング氏は翌日の悲劇の犠牲者の一人です。
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:67_Cadillac_Eldorado_(14275949112).jpg
1969年8月9日昼にシャロンの友人であるジョアンナ・ペティットが彼女のもとを訪れた際には薄緑色の1967年型キャデラック・フリートウッドエルドラドが用いられました。
なお、実際にこういう感じだったかは定かではないもののペティットさんがテートさんのもとを訪れたこと自体は史実通りです。
出典:https://www.barrett-jackson.com/Events/Event/Details/1959-FORD-GALAXIE-500-4-DOOR-HARDTOP-97243
チャーリーの指示でシャロン襲撃に向かったマンソン・ファミリーの面子であるテックス・ワトソン(通称「テックス」)、パトリシア・クレンウィンケル(通称「ケイティ」)、スーザン・アトキンス(通称「セイディ」。なお、2021年9月時点で彼女だけ鬼籍に入っています)、リンダ・カサビアン(通称「フラワーチャイルド」)が乗っていたのは黄色い1959年型フォード・フェアレーン500ギャラクシータウンセダン(一部錆びていますが、そういうところに無頓着なのがヒッピー的な面ということかもしれません)でしたが、あまりにもみすぼらしくノロノロと走っており排気音もミキサーをかけているリックでさえ気づくほど大きく少なくとも襲撃の時間帯には迷惑となるものであったことから泥酔状態の彼から恫喝を受け一時撤退、その後相手が『対決ランサー牧場』に出ていたリック・ダルトンであることに気づくと、「彼のような殺人する役柄を演じた西部劇スターこそが自分たちに殺人を教え込んだ張本人だし、殺しを教えた奴らを殺そう」という訳のわからない提案から標的を彼に変えると改めて徒歩で襲撃に向かうつもりがフラワーチャイルドだけ怖気づき忘れ物をしたと嘘をついて戻り乗って逃げたのでした。
結果的に戻らなかった3人はリックやクリフにより惨殺されてしまうので怖気ついて逃げたほうが正解だったこととなります。
その後は史実と異なり生存ルートを辿ったジェイやシャロンがリックを招くところで終わっておりその後どうなるかは描かれていませんが、まあもう襲撃してこないでしょう(なお、現実ではチャールズが事件から1週間と経たぬうちに逮捕されたものの証拠不十分で釈放された後、10月に別のメンバーが逮捕された際にファミリーの悪行を告白したことで芋づる式に改めて実行犯ともどもチャールズも逮捕されています)。
以上となります。
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劇中車 | クルマ
Posted at
2021/09/11 00:52:40